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エピローグ

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 この桜庵で多くの人が亡くなった。桜道筋と不倫関係にあった仲居の木下散梨花・山里愛子・竹下育美。この3人は、産まれる子供が女だと知った桜道筋により、桜舞のお腹の子の始末を頼まれていたそうだ。実の父による間接的な殺人事件により、桜舞の産まれるはずだった娘芽里は、命を落とした。死ぬ直前メリーさんと同化を果たした芽里は、3人への復讐を誓い殺害する。そして、最後は、人質となった母を救うため父を身代わりに差し出した。村田力待・村田力持は、村田環を使い美人局を行い金を騙し取っていた。そのことを恨んだ被害者による書き込みにより村田環は、ドッペルゲンガーこと渡来司の標的とされ、命を失った。桜庵の先代女将桜華は、先代旦那桜並利に子種が無いことを知ると林田勲から子種を分けてもらい桜並利の子供として、桜道筋を産む。桜道筋と桜並利に違和感を持った桜道筋の両親は、DNA鑑定を依頼。親子関係がないことを知り、桜華を強く憎むこととなる。そして、渡来司の次なる標的となり命を落とした。記者の安藤保志は、仕入れたネタを大袈裟に盛り、多くの人間を貶めた。貶められた人たちの中には、渡来司本人もいて、私怨も重なり、標的となり命を落とした。7人、いや8人の命がこの桜庵で亡くなった。橋の復旧が完了し、助け出された私たちは、それぞれの帰路に着くこととなる。8人も亡くなった桜庵で、桜舞は、これからも女将として、責務を全うするとのことだ。林田勲もそれを残りの短い人生をかけて支えるそうだ。だが板前が居なくなったのは、大きく営業再開まで、多くの日数を要すると思わらていたのだが意外な人物が板前に名乗りをあげた。阿久魔弥吉である。彼は、あんなヤンキーみたいな感じだが料理の専門学校に通っていて、今年卒業なのだが研修のインターン先が決まっていなかったらしい。
「困ってる人救うってのも悪くねぇだろ」
「あらあら、私は嬉しいけど良いのかしら?」
「おぅ」
「やっちゃん、就職先の上司に対して、その口の聞き方はダメ。言い直す」
「テンねぇちゃん。わかったよ。よろしくお願いします」
「よろしい」
「クスクス、私は、どっちの弥吉君も良いと思うわよ」
 娘の芽里の想いを知ったからだろうか?復讐という邪悪なオーラを纏っていた桜舞はそこには存在せず。甲斐甲斐しく世話を焼いていた優しい桜舞だった。全て、芽里さんが天に持っていたのだろう大好きなお母さんに取り憑いた悪いものを。
「ほら、テンねぇちゃん。女将さんもこう言ってくれてるし。なっ」
「はいはい」
 南野天使は、今回のことで検死に興味を持ったらしく看護師と監察医の二刀流を目指すそうだ。その道は、険しいだろうが応援したい。
 鈴宮楓による記事で、安藤保志によって、貶められた多くの人の汚名が返上された。だが残念なことに、耐えきれず自死を選んでいた人も中には居たようで、全員とは言えなかった。
 山波宇宙は、2度目の怪異事件に遭遇したことで、より一層、そういう危険な怪異と遭遇するかもしれない仕事をしている怪異ライターの鈴宮楓を守るべく。配送業をやめ、カメラマンとして、追従することを決めたそうだ。
 そして私は、安藤保志の書いた最後のネタが無くなる前にアップされていたことにより、警察組織の失態として、責められることとなった。鈴宮楓の記事により、収まるかに思えたのだが世間の警察組織に対する失望を回復させるには至らず。警視総監により、自主退職か懲戒免職のどちらかを選べと言われることとなる。そう、警察官としての私は今回の事件で終わりとなる。私は、今回のことで、謎の現象や怪異に苦しむ人を助けたいと強く思うようになった。それを専門にするには、警察官としてよりもフリーになる方が良いのではと考えたのだ。そういうこともあり、自主退職を選び退職金を得た私は、その金で探偵事務所を開くことに決めたのだが私の行きつけの店であるバラガモスのマスターが空いている2階を貸してくれることになったのだ。ここから、私の第二の人生が始まるなんてことはなく。私は、やめた警察の副総監に呼び出されていた。
「やぁ、出雲君、よく来てくれたね」
「はっ明石副総監」
「もう警察を辞めたんだろう。そんな畏る必要はないよ。入ってきたまえ」
「あらーん、美和ちゃん、お久しぶりねぇ。警察を辞めちゃうなんて私ショックだわ」
「柊管理官、御苦労様です」
「明石・柊、俺を呼び出すってことは、大事な要件なんだろうな?」
「えっマスター!?」
「おぅ。美和ちゃん」
スグルのところで、美和ちゃんが探偵事務所開くって聞いたからには、呼ばないとねぇ」
「2人はお知り合いなんですか?」
「お知り合いって言うよりも私たちは同期よ~」
「じゃあ、マスターも警察官だったんですか!?」
「元だよ」
藤堂トウドウはな、ある怪異が関係していた事件を最後に警察を辞めたんじゃ。まぁ出雲君の前任者みたいなもんじゃ」
「怪異と関わるとろくなことにならねぇ。明石、俺言ったよな。美和ちゃんになんかあったらゆるさねぇぞって。怪異のせいで警察クビになるしよ。どうなってんだよ莉子リコ
「私に怒鳴らないでよ」
「煩いコン。御主人様が蛇巫女様のことが心配だって言ったんだコン」
稲荷イナリ、勝手に憑いて来たのに一丁前に言いやがって」
「酷いコン。でもそんな御主人様のことが大好きだコン」
「えっええええええ!狐が喋ってる!?」
「今更だコン。蛇巫女様」
「蛇巫女って何なの?」
「あらあら、美和ちゃんは、その力に完全には、目覚めてないみたいね」
「白蛇出て来るんだコン」
「我が眠りを妨げるな稲荷よ」
「えっ何私の神鏡から声が聞こえる」
「ふわぁ。我が主人よ。そう驚くでない。小さい時からそばにおるのだ。蛇巫女を守るのが我が務めゆえな」
「じゃあ、あの不思議な夢も貴方が?」
「夢?あやつの仕業か?ここに因幡イナバはおるか?」
「いない?ふむぅ。我が主人よ。不思議な夢を見せたのは因幡という兎じゃ。とあるお方の眷属なのだが」
「いつからこの世界は、こんなに動物が人語を話す世界になったのかしら?」
「我々を動物と呼ぶとは、我が主人よ。我らは、皆この世界を作りし神に仕える眷属なのだ。このように人の姿となることもできる」
 神鏡から飛び出した白蛇は、真っ白な服に身を包んだ老人へと変わった。
「どうじゃ我が主人よ」
 私は、目の前で起こる超常現象に腰を抜かしていた。
「どうやら、我が主人を驚かせすぎたようだ。昔から怖いものが苦手なくせに、困ってる人は放っておかない娘であったな」
「ここに、因幡がいないってことは、きっとその桜庵に居た人の中に兎憑きが居るんだコン。妙に感が鋭かったり、考えてることを読まれたりしたことはなかったかコン?」
 私には、思い当たる節があった。南野天使だ。そのことを話す。
「きっと、その人が兎憑きなんだコン」
「美和ちゃんに簡単に説明してやるとだな。霊感のある奴は、神の眷属に気に入られやすいんだ。俺は、狐憑き。南野天使って嬢ちゃんは、兎憑き。美和ちゃんは、蛇憑き。ってな感じでな」
「ほんと羨ましいわよ」
「あぁ、ワシらには見えんからな。とそういう話をするために出雲君を呼んだのではないのだ。単刀直入に言おう。警察直属の怪異探偵になってくれんか?」
「どういうことですか?」
「怪異に困る市民に声を傾けたくても、実害が無いと動けないのが警察組織なのじゃ」
「そういうことならお引き受けします」
「そうか、良かった。これで一安心じゃ」
「では、失礼致します」
「うむ」
 こうして、私は警察を辞め警察直属の怪異探偵となった。そして、小学生の女の子から依頼を受け、次なる事件学校の七不思議に挑むのである。
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