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夜が来て朝を迎えると
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関係者への書き込みとその情報から裏サイトから情報を集めるとすっかり夜となっていた。精神状態を保つために全員で食事を取ることを決めたので、食堂へと向かう。女将の桜舞が迎えてくれた。
「刑事さん、皆さんもうお集まりですよ。刑事さんが来るのをお待ちしておりました」
「すいません。事件の調査をしていて、少し遅れてしまいましたね」
「いえいえ、こんな状況では刑事さんだけが頼りです。なんでも協力しますので、犯人逮捕のことよろしくお願いします」
「はい」
私が中に入るとやはり空気はどことなく殺伐としていた。山里愛子と竹下育美は、女将の桜舞を睨みつけ。村田兄弟は時間の融通が効くということで疑っている阿久魔弥吉と一触即発となっていた。
「だから俺じゃねぇって言ってんだろうがオッサン」
「ウッセェ。刑事さんの話が正しいなら犯人は、こん中におるんじゃ。今までのドッペルゲンガーの殺人を考えたら時間の融通が効くお前が怪しいんじゃ。はよ。白状せぇや」
「やめてください。やっちゃんが殺人なんてできるわけないです。血を見るのも都市伝説にすら怯える年相応の高校生なんです」
「煩いわ。男同士の喧嘩に女が口出すなや。チチデカ女は、黙っとれ」
「うぅ」
「オッサン、てんに謝れや」
「謝る?なんでワシがそないなことしやなあかんねん。犯人を庇い立てする女や。犯人の一味やろが」
「やっちゃん、やめて」
「てんがこんな目にあわされて、黙ってろって?俺はそこまで人間できてない」
「はーい、そこまで。それ以上やったら2人とも傷害罪で逮捕しますよ」
私の言葉を受けて、一触即発の状態を解除する2人。
「刑事が来よったか。フン。命拾いしたな小僧。俺は絶対環を殺した奴を見つけ出して、この手で同じ目に遭わしたるからな。覚悟せぇよ」
「俺を犯人呼ばわりして、てんに乱暴したこと絶対許さんからな」
「犯人やない言うんやったら証拠持ってこいや。こん中で時間の融通が効くやつなんて、お前しかおらんやろが」
「決めつけんのも大概にしろや。愛する人を亡くしたことには同情する。けどな、関係ない俺やてんに言いがかりをつけんなや」
尚も口で罵り合っている2人。こんな中、食事を食べる。空気が悪いとせっかくの美味しい料理も台無しだ。ゴホンと咳払いが聞こえると桜道筋が料理の説明をしてくれる。
「まぁ、なんだ。料理の説明をさせてもらう。今日の料理は鯖の味噌煮と根菜の味噌汁に、アサリの炊き込みご飯だ。こんな状況下だけどよ。安心してくれ、料理に毒なんて仕込んでねぇからよ。俺は夫としては最低だったかもしれねぇが料理人としては一流のつもりだ。毒を仕込んで殺すなんてことは絶対にしねぇ。だから今この時は温かい料理を楽しんでくれ」
桜道筋の言葉で、皆食べ始める。そこら中から美味しいという言葉が聞こえる。私も食べ始める。鯖の味噌煮なんて、久しぶり。外は味噌でカリッとしていて、中はホクホク。身も引き締まっていて肉厚。根菜の味噌汁を啜る。野菜のシャキシャキ感と味噌が合わさって、凄く美味しい。そしてアサリの炊き込みご飯だ。家で炊くとジャリジャリとした食感のときあるよね。桜道筋の言葉は正しい。夫としては最低だけど料理の腕は超一流。ペロリと平らげてしまい。自然と笑みが溢れる。それは、私だけではなく、この場の皆も同じだったようだ。だが食事が終わると同じ空気を長いこと吸っていたくないとばかりにゾロゾロと出ていく宿泊者たち。事件が起こってからは大浴場に行くことが無く。もっぱら皆、部屋に備え付けてある露天風呂で済ませているようだ。1日の汗を流し、お風呂で疲れを取り。眠りにつく。そして朝を迎える。聞こえてきたのは「きゃーーーーーーーーー」という誰かの叫び声だった。私は飛び起き浴衣のまま廊下に出ると、悲鳴の聞こえて方に向かった。そこには、柱に糸で、手と足をピンと貼られ、身体中を殴られたのだろうか。殴打痕があり、あられもない姿で息絶えている山里愛子の遺体があった。廊下で悲鳴を上げたのは大女将の桜華さんで、腰を抜かしていた。
「あわわわ。刑事さん、舞さんを保護してくだされ。竹下が斧を持ち出して、殺すと駆け出して行ったのですじゃ」
「えっなんですって!」
刑事がいるのに殺人に及ぶ。竹下育美の心理状態は、とてつもなく追い詰められているということだ。木下散梨花と山里愛子に同調していた竹下育美にとって、2人を亡くすということは、精神を保てなかったのだろう。すぐに探さなければ、私は大女将の桜華の指し示した方に向かい。桜舞と竹下育美を探す。やがて怒鳴り声が聞こえてくる。
「アンタが散梨花さんと愛子さんを殺したのよ。アンタさえ死ねばアタシは殺されない。やられる前にやってやるわよ」
「落ち着いて竹下さん。私には何が何だかわからないのよ」
「煩い煩い煩い。散梨花さんだけでなく愛子さんまで、殺しといて、まだしらを切るつもりなのね。良いわ。殺せば良いのよ。そう始めからこうしてれば良かったの。バイバイ」
間に合わない。斧が桜舞に振り下ろされるその瞬間不思議なことが起こる。
「刑事さん、皆さんもうお集まりですよ。刑事さんが来るのをお待ちしておりました」
「すいません。事件の調査をしていて、少し遅れてしまいましたね」
「いえいえ、こんな状況では刑事さんだけが頼りです。なんでも協力しますので、犯人逮捕のことよろしくお願いします」
「はい」
私が中に入るとやはり空気はどことなく殺伐としていた。山里愛子と竹下育美は、女将の桜舞を睨みつけ。村田兄弟は時間の融通が効くということで疑っている阿久魔弥吉と一触即発となっていた。
「だから俺じゃねぇって言ってんだろうがオッサン」
「ウッセェ。刑事さんの話が正しいなら犯人は、こん中におるんじゃ。今までのドッペルゲンガーの殺人を考えたら時間の融通が効くお前が怪しいんじゃ。はよ。白状せぇや」
「やめてください。やっちゃんが殺人なんてできるわけないです。血を見るのも都市伝説にすら怯える年相応の高校生なんです」
「煩いわ。男同士の喧嘩に女が口出すなや。チチデカ女は、黙っとれ」
「うぅ」
「オッサン、てんに謝れや」
「謝る?なんでワシがそないなことしやなあかんねん。犯人を庇い立てする女や。犯人の一味やろが」
「やっちゃん、やめて」
「てんがこんな目にあわされて、黙ってろって?俺はそこまで人間できてない」
「はーい、そこまで。それ以上やったら2人とも傷害罪で逮捕しますよ」
私の言葉を受けて、一触即発の状態を解除する2人。
「刑事が来よったか。フン。命拾いしたな小僧。俺は絶対環を殺した奴を見つけ出して、この手で同じ目に遭わしたるからな。覚悟せぇよ」
「俺を犯人呼ばわりして、てんに乱暴したこと絶対許さんからな」
「犯人やない言うんやったら証拠持ってこいや。こん中で時間の融通が効くやつなんて、お前しかおらんやろが」
「決めつけんのも大概にしろや。愛する人を亡くしたことには同情する。けどな、関係ない俺やてんに言いがかりをつけんなや」
尚も口で罵り合っている2人。こんな中、食事を食べる。空気が悪いとせっかくの美味しい料理も台無しだ。ゴホンと咳払いが聞こえると桜道筋が料理の説明をしてくれる。
「まぁ、なんだ。料理の説明をさせてもらう。今日の料理は鯖の味噌煮と根菜の味噌汁に、アサリの炊き込みご飯だ。こんな状況下だけどよ。安心してくれ、料理に毒なんて仕込んでねぇからよ。俺は夫としては最低だったかもしれねぇが料理人としては一流のつもりだ。毒を仕込んで殺すなんてことは絶対にしねぇ。だから今この時は温かい料理を楽しんでくれ」
桜道筋の言葉で、皆食べ始める。そこら中から美味しいという言葉が聞こえる。私も食べ始める。鯖の味噌煮なんて、久しぶり。外は味噌でカリッとしていて、中はホクホク。身も引き締まっていて肉厚。根菜の味噌汁を啜る。野菜のシャキシャキ感と味噌が合わさって、凄く美味しい。そしてアサリの炊き込みご飯だ。家で炊くとジャリジャリとした食感のときあるよね。桜道筋の言葉は正しい。夫としては最低だけど料理の腕は超一流。ペロリと平らげてしまい。自然と笑みが溢れる。それは、私だけではなく、この場の皆も同じだったようだ。だが食事が終わると同じ空気を長いこと吸っていたくないとばかりにゾロゾロと出ていく宿泊者たち。事件が起こってからは大浴場に行くことが無く。もっぱら皆、部屋に備え付けてある露天風呂で済ませているようだ。1日の汗を流し、お風呂で疲れを取り。眠りにつく。そして朝を迎える。聞こえてきたのは「きゃーーーーーーーーー」という誰かの叫び声だった。私は飛び起き浴衣のまま廊下に出ると、悲鳴の聞こえて方に向かった。そこには、柱に糸で、手と足をピンと貼られ、身体中を殴られたのだろうか。殴打痕があり、あられもない姿で息絶えている山里愛子の遺体があった。廊下で悲鳴を上げたのは大女将の桜華さんで、腰を抜かしていた。
「あわわわ。刑事さん、舞さんを保護してくだされ。竹下が斧を持ち出して、殺すと駆け出して行ったのですじゃ」
「えっなんですって!」
刑事がいるのに殺人に及ぶ。竹下育美の心理状態は、とてつもなく追い詰められているということだ。木下散梨花と山里愛子に同調していた竹下育美にとって、2人を亡くすということは、精神を保てなかったのだろう。すぐに探さなければ、私は大女将の桜華の指し示した方に向かい。桜舞と竹下育美を探す。やがて怒鳴り声が聞こえてくる。
「アンタが散梨花さんと愛子さんを殺したのよ。アンタさえ死ねばアタシは殺されない。やられる前にやってやるわよ」
「落ち着いて竹下さん。私には何が何だかわからないのよ」
「煩い煩い煩い。散梨花さんだけでなく愛子さんまで、殺しといて、まだしらを切るつもりなのね。良いわ。殺せば良いのよ。そう始めからこうしてれば良かったの。バイバイ」
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