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第七章
オワリ
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彼は、慌てた素振りでナイフを見つけて掴み取り、そのままの勢いで私の横腹に突き立てる。
一度目。
二度目。
三度目。
彼は,鬼のような形相で必死になって私を刺す。
何度も、何度も突き刺す。
私が彼を本気で殺すとでも思っていたようだ。
痛い。
熱く鈍い痛みが、横腹から全身に響く。
刺されるたびに、体が少し揺れる。
私に反抗しようとすればするほど、自然と私の手は力を強めた。
脂汗を掻きながら清々しいほどに、私は笑顔だ。
彼は、ついにその手を止めた。
彼の意識も飛んでいた。
彼が力を抜き、ナイフが手から零れ落ちた。
その瞬間、私は安堵した。
そのせいだろう。
私は、倒れた。
彼の体に抱き着くように、私は倒れた。
そこから先、意識はない。
目が覚めると、僕のお腹の上にあの女が寄りかかっていた。
意外にも重たいその体を、上手く退かす。
その瞬間、腹にズキンッとする痛みが走る。
まだ、鋏が突き刺さったままだった。
僕は、突き立てられた鋏を抑えて、立ち上がる。
立ち上がるときに着いた手を見ると、真っ赤に染まっていた。
床はあの女のせいで、ドロドロとした赤に染まっている。
女を見る。
女はそれが幸せとでも言いたげな表情で、安らかな眠りについている。
僕は許せなかった。
床に転がるナイフを手に取り、背中から改めて意を決し、勢いよく突き立てる。
僕は、女をそこに放置して、一階に降りる。
リビングにある救急箱から、包帯を手に取り、腹に巻く。
グッと力強く巻き、鋏を抜く。
血を滲ませながら、包帯を巻く。
膝に空いた穴には、ガーゼを挟み、包帯を巻いた。
もう一度あの部屋に戻り、冷たい女の横で服を着替える。
簡単な鞄を肩から下げ、数千円しか入ってない財布をポケットに入れる。
少しのどが渇くので、床に転がる置物の女から赤を掬い取り、一舐めした。
僕は、リビングの机に置いた血まみれのナイフを持って、外に出る。
気づけば、夜も更けている。
僕は、その果てしない暗闇の中に消えた。
私は、彼を愛した。
私には、彼が壊れていくことを容易に想像することができたから。
私には、彼があまりにも手の届かない存在と知っていたから。
私は手を伸ばした。
禁断の果実を貪る獣のように。
手の届かない太陽に手を伸ばすように。
彼は私を誘惑する。
彼の弱さを見せて。
彼の面白さを教えて。
彼はいつだって、私にとっての愛情を注ぐ存在だった。
だから、私は愛した。
一度目。
二度目。
三度目。
彼は,鬼のような形相で必死になって私を刺す。
何度も、何度も突き刺す。
私が彼を本気で殺すとでも思っていたようだ。
痛い。
熱く鈍い痛みが、横腹から全身に響く。
刺されるたびに、体が少し揺れる。
私に反抗しようとすればするほど、自然と私の手は力を強めた。
脂汗を掻きながら清々しいほどに、私は笑顔だ。
彼は、ついにその手を止めた。
彼の意識も飛んでいた。
彼が力を抜き、ナイフが手から零れ落ちた。
その瞬間、私は安堵した。
そのせいだろう。
私は、倒れた。
彼の体に抱き着くように、私は倒れた。
そこから先、意識はない。
目が覚めると、僕のお腹の上にあの女が寄りかかっていた。
意外にも重たいその体を、上手く退かす。
その瞬間、腹にズキンッとする痛みが走る。
まだ、鋏が突き刺さったままだった。
僕は、突き立てられた鋏を抑えて、立ち上がる。
立ち上がるときに着いた手を見ると、真っ赤に染まっていた。
床はあの女のせいで、ドロドロとした赤に染まっている。
女を見る。
女はそれが幸せとでも言いたげな表情で、安らかな眠りについている。
僕は許せなかった。
床に転がるナイフを手に取り、背中から改めて意を決し、勢いよく突き立てる。
僕は、女をそこに放置して、一階に降りる。
リビングにある救急箱から、包帯を手に取り、腹に巻く。
グッと力強く巻き、鋏を抜く。
血を滲ませながら、包帯を巻く。
膝に空いた穴には、ガーゼを挟み、包帯を巻いた。
もう一度あの部屋に戻り、冷たい女の横で服を着替える。
簡単な鞄を肩から下げ、数千円しか入ってない財布をポケットに入れる。
少しのどが渇くので、床に転がる置物の女から赤を掬い取り、一舐めした。
僕は、リビングの机に置いた血まみれのナイフを持って、外に出る。
気づけば、夜も更けている。
僕は、その果てしない暗闇の中に消えた。
私は、彼を愛した。
私には、彼が壊れていくことを容易に想像することができたから。
私には、彼があまりにも手の届かない存在と知っていたから。
私は手を伸ばした。
禁断の果実を貪る獣のように。
手の届かない太陽に手を伸ばすように。
彼は私を誘惑する。
彼の弱さを見せて。
彼の面白さを教えて。
彼はいつだって、私にとっての愛情を注ぐ存在だった。
だから、私は愛した。
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