だから、私は愛した。

惰眠

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第四章

爆風

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 その日、私はしっかりと正気を保った状態で、自身の部屋へとたどり着く。

 布団にダイブし、彼と連絡を交換したスマホを思いっきり抱きしめて悶える。

 私は、自身の部屋で静かに押し殺した不気味な笑みを解放した。

 私はあまりにも騒音と相違なくなりそうだったために、布団に顔を埋める。
 下品なその笑い声は、布団と私の耳に吸収されていく。

 なんて、幸せなのだろう。

 私の住む家には私だけではなく、面倒な家族が住んでいる。

 面倒な面というのは、私のこの暗い面を理解してくれないことを知っているからだ。
 また、私にとって自由な場所というのは、この空間のみという閉鎖感を与えている点もそうだ。

 あの人たちがいるお陰で、私はここでも本当の私は抑え込まないといけない瞬間がある。

 できることなら、持てる凶器という凶器で、私以外の存在を消してしまいたい。

 しかし、あの人たちは、私にお小遣いをくれ、住む場所、生活に困らない空間を提供してくれている。
 そこが、一番の悩ましいところだ。

 私は、そんな苦悩に頭を悩ませながら、スマホの電源を付ける。

 そこには、今日隠れて撮った彼の写真が、待ち受け画面として提示されている。

 早く、私のものにしてしまいたい。

 チャットアプリを開き、一番上の彼のメッセージを開く。

 彼は奥手なのか、私よりも先に家に着いてるはずだが、なんのメッセージもない。
 仕方なく私は先にメッセージを送った。

『今日はありがとう。楽しかったよ♪』

 そして、かわいいクマのスタンプを追加する。

 きっと、私の好感度は高いままを維持してくれている。

 数分して、彼が返信を返してくれた。

『ありがとうございます。楽しかったのだったらよかったです。』

 彼は、硬い文章で送ってくる。

 さっきまでの砕けた感じとは一変して、そのギャップがまた私の意欲をそそらせる。

 この文章について私が触れると、きっとショックを受けてしまうだろう。
 本当はそうして、彼のことをいじってしまいたいが、まだ彼を引き込み切れていないだろうと考えると、悔しい気持ちだ。

 私は、彼の顔を妄想しつつ、返信を返す。

『次会えるのは、学校だね。』

『ですね。』

 彼の緊張が分かってしまう。

 私は、クマがおやすみというプラカードを持ったスタンプを押す。

 彼はそれに答えるかのように、一言返信を残した。

『おやすみなさい。』

 その文章を見た瞬間から爆笑しそうだったが、親に迷惑がかかることを気にして押し殺すのだ。

 そして、私は安眠に着く。

 次学校で会う時の彼や、彼に立ちはだかる彼らの姿を想像するだけで早く日が経ってほしいと願いを込めて。

 今日は金曜日、二日の連休が挟まり学校となる。

 きっと彼は、学校で会えることを心待ちにして夜も眠れないことだろう。

 だからこそ、ゆっくりと眠れるのだ。


 そして、月曜日となった。

 二日ぶりの学校。

 私にとっては、特に代わり映えのないような景色も、彼にとっては違うことだろう。

 教室の窓から、彼が来るのを待つ。

 やはり、今日の彼の首の角度を見れば、いつもよりも心持が違うことがわかる。

 そして、段々と彼は、教室に近付いていく。

 彼の内側しか変わっていないという現実を、目の当たりにするために。

 今日も彼はその扉を開いた。
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