詰め合わせ箱

生死

傷口の液体が見えない様に。
何も傷つけないように。
もう、怪我は飽きるほどした。 

目を覆いたくなるようなことに目を背け、
目を見開きたくなる癒しだけに目を向け、

耳を塞ぎたくなることに耳栓をし、
耳を澄ましたいことに耳を傾け、

逃げてばかりの人生も、終わりにしようか、

目を覆いたくなる事実も、耳を塞ぎたくなる喧騒もすぐ側にある。

もう止めないか？
もう辞めないか？  

こんな人生なんてもう飽きただろ？

光に手も届かず、闇は迫り、


たったの一歩踏み出すだけで、この世から、解き放たれ、光に包まれる。

辛い思いももうしない。

何も知らない家族の元に、帰りたい。

あと一歩。たったの一歩。

一歩踏み出すだけで、楽になれる。

染めた手を。足を洗い、今までと違う普通の世界に戻りたい。

普通の世界はどんな所か？
誰も知らない。いや、ほとんどの人は、知っている筈なのに、自分だけが知らない。

まだ、闇の中で、過ごすことも出来る。
甘い汁を啜ってられる筈なのに。
もう、くすんだこの世には、居たくなかった。




綺麗な足を宙に浮かせ、今、光に飛び立つ。