BL短編集 ラムネ

桜

｢もう遅いよ｣
もしあの時、君がもう少し引き止めてくれれば、君が早くに気づいていれば、君があの子に好かれてなければ。

後悔はいつまでも付き纏う。これは、俺が許すとか許さないとかの問題ではない。

全て、君が悪いんだ。

嬉しかった思い出も、散り散りになって色褪せて、思い出すことも出来なくなったら。君は直ぐに俺なんて忘れてしまうだろうから、やっぱり好きなのは俺だけじゃないか。

大学に入ってからもきっと、直ぐに俺を忘れて放ったらかしにする君は、俺のことなんて考えてもいないんだろうね。

ここが節目の時だ。

桜が散る前に、俺の思いも思い出も散り散りに破って、一緒に遠くへ飛ばそう。
俺が直ぐに君を忘れられるように。
君に会わなくても生きていけるように。

いつか笑い話になって、二人でまた話せるように。