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第7話 日渡瑠璃①-1
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私には、小さい頃仲の良かった男の子がいた。学校でも家に帰ってからも、本当に四六時中と言っても過言ではないぐらい常に一緒にいた。お風呂にも一緒に入っていたというのは、今で考えれば赤面もので、誰にも言えない秘密の内の一つだ。
もともと目つきが悪く、誰からも第一印象を良く受け止めてもらえなかった私は、順調に人見知りの道を歩んでいった。相手から声をかけてもらえることなど当然なく、それゆえ嫌われているのだと思い込んでしまっていた私は、自然と誰かに声をかけることが出来なくなっていった。
けれど、とある日。私が学校へ行こうと家を出た時、ほぼ同時に隣の家から男の子が出てきた。ああ、同じクラスで見たことがある男の子だと、それだけの感想を持って私はそのまま一人学校へ向かおうとした。
その日は、何も特別な日ではなかった。いつもと変わらない、普通の日常の中の一日だった。漫画やアニメならきっと、ここで劇的なシーンが訪れるのだろうけれど、そんなこともなく、普通だったのだ。
違うことがあったと言えば、その男の子が私に声をかけてくれた、ということだけ。
「同じクラスの奴だよな? へえ、隣に住んでるんだ。一人はつまらないし、一緒に学校行こう」
彼の言葉に私はどんな反応をしたのか、あまり覚えてはいない。突然のことに混乱して、頭があまり回っていなかった。おそらく、何も言わずにただ首を振って首肯しただけだろう。
その日から、私は毎日男の子と一緒に登校した。下校も、一緒だ。遊ぶ時も、一人でおままごとをすることもなくなって、二人でテレビゲームをしたり、公園で走り回ったりした。ママから、最近楽しそうね、と言われたことを覚えていて、当時の私は自慢気に男の子の存在を話していた。
そうして月日が経ち、小学校高学年になった頃、これまでは男子の中に紛れていても女子なのかどうか判別し難い様子だった私だったけれど、徐々に女子としてのあれこれが現れ始めた。身体つきも変わり始め、女性特有のものも訪れ、ママに相談しながら自分の変化を受け入れていった。
そして。私が女子であり、あの子が男子なのだと認識し始めてから数日後、あの日が来た。
もともと目つきが悪く、誰からも第一印象を良く受け止めてもらえなかった私は、順調に人見知りの道を歩んでいった。相手から声をかけてもらえることなど当然なく、それゆえ嫌われているのだと思い込んでしまっていた私は、自然と誰かに声をかけることが出来なくなっていった。
けれど、とある日。私が学校へ行こうと家を出た時、ほぼ同時に隣の家から男の子が出てきた。ああ、同じクラスで見たことがある男の子だと、それだけの感想を持って私はそのまま一人学校へ向かおうとした。
その日は、何も特別な日ではなかった。いつもと変わらない、普通の日常の中の一日だった。漫画やアニメならきっと、ここで劇的なシーンが訪れるのだろうけれど、そんなこともなく、普通だったのだ。
違うことがあったと言えば、その男の子が私に声をかけてくれた、ということだけ。
「同じクラスの奴だよな? へえ、隣に住んでるんだ。一人はつまらないし、一緒に学校行こう」
彼の言葉に私はどんな反応をしたのか、あまり覚えてはいない。突然のことに混乱して、頭があまり回っていなかった。おそらく、何も言わずにただ首を振って首肯しただけだろう。
その日から、私は毎日男の子と一緒に登校した。下校も、一緒だ。遊ぶ時も、一人でおままごとをすることもなくなって、二人でテレビゲームをしたり、公園で走り回ったりした。ママから、最近楽しそうね、と言われたことを覚えていて、当時の私は自慢気に男の子の存在を話していた。
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そして。私が女子であり、あの子が男子なのだと認識し始めてから数日後、あの日が来た。
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