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<おまけ企画>不明な聖夜の先手必勝
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困ったなあ。
私は深くため息を落とす。
目の前に用意された豪華なディナーの数々。
ローストビーフにポタージュスープ、ブッシュ・ド・ノエルまで。
全部高山の手作り。
夕方、突然難解な用事を頼むから変だと思った。
外出先から帰ってきたらいきなりクラッカーでパーン。
「メリークリスマス」
満面な笑顔でしかも正装なんかしちゃってさ。
私も着替えさせられてドレスアップ。
傍らにはクリスマスツリー、ろうそくに火をともしてムード満点。
こんなこと、全く予想してなかったつーのに。
「驚いただろ?」
高山は得意そうに腕を組む。
「ま、まーね」
私は冷静を装いながら頭を押さえる。
確かにさ、クリスマスって行事は知ってるわよ。
そもそもキリスト誕生を祝う宗教的イベントなんだし。
日本じゃそれにあやかって恋人や友達、家族なんかで楽しく過ごすように使われてるけど。
だけどさ、ここまで本格的に仕込んでくるとは全く思ってなかった。
ケーキを食べるぐらいの参加の仕方でこれまで過ごしてきたクリスマス。
あってもせいぜいどこかで食事するんだろうな程度の感覚だったし。
「どうぞ、召し上がれ」
高山自らご丁寧に取り分けて置かれたお料理。
口に入れれば悔しいぐらいに美味しい。
食が進んで時間が経てば経つほど動揺してくる。
だって食事が終わればきっと…。
「開けてみて」
高山は上着の中からそっと綺麗にラッピングされた小さな箱を出す。
言われるがまま包みを開き、箱を開けてみるとコバルトブルーに光る石。
凝視の最中、高山は私の左手を掴むとそれを薬指にはめる。
「とっても似合うよ」
嬉しそうに笑いながら高山は手の甲に口付ける。
ろうそくの明かりに反射した指輪は綺麗に光っていた。
「それで、未来からは?」
そう問われて瞬時に固まる。私が頭を抱えていたのはそこ。
プ、プレゼントなんて用意してないっつーの!!
「まさか無いってことないよな?」
いや、その通り。どこをひっくり返しても無いものは、無い。
「オレよりすごいものを用意してそうだもんな、未来は?」
意地悪そうな顔で笑う高山。無いって言ったらどうなる?
キス攻めに合いそうでそれだけは勘弁。
「高山、ちょっと目をつぶってよ」
ええい、こうなったらヤケクソだ。
先手必勝、先に手を打つしかない。
私は高山の顔を掴むと頬に唇を当てる。
すぐさま離れると高山の驚いた顔。
「今、未来からキスしたよな?」
信じられない様子で私に確認する高山。訊くなよ、バカ、恥ずかしいんだから。
「すごいもの貰った。…だけど足りない」
高山は素早く私の身を寄せると抱きしめキスをした。
結局、聖なる夜はキスの嵐と化してしまった。
私の口付けを返せ~、バカヤロー!!
-END(クリスマス小ネタ企画 06/12/24)-
私は深くため息を落とす。
目の前に用意された豪華なディナーの数々。
ローストビーフにポタージュスープ、ブッシュ・ド・ノエルまで。
全部高山の手作り。
夕方、突然難解な用事を頼むから変だと思った。
外出先から帰ってきたらいきなりクラッカーでパーン。
「メリークリスマス」
満面な笑顔でしかも正装なんかしちゃってさ。
私も着替えさせられてドレスアップ。
傍らにはクリスマスツリー、ろうそくに火をともしてムード満点。
こんなこと、全く予想してなかったつーのに。
「驚いただろ?」
高山は得意そうに腕を組む。
「ま、まーね」
私は冷静を装いながら頭を押さえる。
確かにさ、クリスマスって行事は知ってるわよ。
そもそもキリスト誕生を祝う宗教的イベントなんだし。
日本じゃそれにあやかって恋人や友達、家族なんかで楽しく過ごすように使われてるけど。
だけどさ、ここまで本格的に仕込んでくるとは全く思ってなかった。
ケーキを食べるぐらいの参加の仕方でこれまで過ごしてきたクリスマス。
あってもせいぜいどこかで食事するんだろうな程度の感覚だったし。
「どうぞ、召し上がれ」
高山自らご丁寧に取り分けて置かれたお料理。
口に入れれば悔しいぐらいに美味しい。
食が進んで時間が経てば経つほど動揺してくる。
だって食事が終わればきっと…。
「開けてみて」
高山は上着の中からそっと綺麗にラッピングされた小さな箱を出す。
言われるがまま包みを開き、箱を開けてみるとコバルトブルーに光る石。
凝視の最中、高山は私の左手を掴むとそれを薬指にはめる。
「とっても似合うよ」
嬉しそうに笑いながら高山は手の甲に口付ける。
ろうそくの明かりに反射した指輪は綺麗に光っていた。
「それで、未来からは?」
そう問われて瞬時に固まる。私が頭を抱えていたのはそこ。
プ、プレゼントなんて用意してないっつーの!!
「まさか無いってことないよな?」
いや、その通り。どこをひっくり返しても無いものは、無い。
「オレよりすごいものを用意してそうだもんな、未来は?」
意地悪そうな顔で笑う高山。無いって言ったらどうなる?
キス攻めに合いそうでそれだけは勘弁。
「高山、ちょっと目をつぶってよ」
ええい、こうなったらヤケクソだ。
先手必勝、先に手を打つしかない。
私は高山の顔を掴むと頬に唇を当てる。
すぐさま離れると高山の驚いた顔。
「今、未来からキスしたよな?」
信じられない様子で私に確認する高山。訊くなよ、バカ、恥ずかしいんだから。
「すごいもの貰った。…だけど足りない」
高山は素早く私の身を寄せると抱きしめキスをした。
結局、聖なる夜はキスの嵐と化してしまった。
私の口付けを返せ~、バカヤロー!!
-END(クリスマス小ネタ企画 06/12/24)-
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