UNLUCKY?

おりのめぐむ

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不快な同居の始まり 4 ~留まる理由~

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「はい、中へどうぞ」

 高山はお構いなしに案内を続け、結局そのまま部屋の前まで連れてこられた。
 私を先に玄関に入れるとようやく手を離した。
 ふーん、広くてきれいそうなところじゃん。
 広い玄関から室内の様子を伺っていると、

「一応、2LDKのマンションで採光性に優れてる」

 背後で説明する高山。

「入ってすぐ左手奥が洗面所と浴室。正面奥がリビングダイニングルーム。右手側に8帖と10帖の洋室がある。まあ、とにかく実際に見てみれば分かるよ」

 しぶしぶ上がってみるとさっきから光を放ってる正面へと向かった。
 確かリビングダイニングルームとか言ってたっけ?
 ガラスドアを開けるとソファーやテーブル、観葉植物などがあり、ゆったりとした空間が広がった。
 私の家と大違いのリビングだ。
 その左後ろはカウンター式の対面キッチン。
 ご丁寧に鍋や食器類が備え付けてある。

「どう? 気に入った?」

 アレコレと観察中の私ににっこりと笑いかける高山。

「…ま、まあね」

 何となく用意周到な部屋に違和感がありつつも、センスのいい空間を堪能。

「次はこっち」

 高山は私の肩を抱くとリビングダイニングをいったん出て廊下に戻る。
 玄関からLの字になった廊下を挟んで向かい合わせのドアの間に立つ。

「さてこの部屋は何でしょう?」

 ドアを開け、見るように勧める。
 覗いてみると私の部屋にあった家具がすっぽり入ってる!?

「ここは書斎兼勉強部屋」

 中に入り、荷物をチェック。
 机や椅子、本棚などまさに勉強の空間。
 だけど見慣れない机や本棚もいくつかあり、あれぇ…?
 不審がってる私を尻目に次の部屋へと引っ張る。

「そしてココは寝室」

 反対側のドアを開けると巨大なベッドが飛び込んできた。

「わ、私の部屋にあったベッドは…?」

 どう見てもダブルサイズ以上はありそうなベッドが一つしかない。
 それも何故か枕が二つ。一つは今まで私が使ってたものだし?

「クイーンサイズのベッドだし、二人でも余裕だから必要ないだろ?」

 は? 今なんて言った?
 ふ、二人でも余裕だとぉ?

「…ちょ、ちょっと待て! 私のベッドが必要ないぃ~~?」

「そ、一緒に寝るんだからベッド2つもいらないし」

「い、一緒に寝るだとおおぉ?」

「今更何を驚いてるんだ? 特別施設でマンツーマンレッスン、だろ?」

 ニコニコと笑いながら平然と述べる高山。

「い、意味が違うでしょうが、あんたが言ってることって!」

「ん? どんな意味なんだ? 倉持、教えてくれ」

 ベッドに男と女が一緒に寝るってコト自体…その…。
 こっちが赤面しそうな答えを求める高山の野郎!!
 詳しくは知らないけど、お前の得意分野だろうがぁ~~!!

「ふっ、ふざけやがってぇ~~!!」

 体中が熱くなり怒りがピークに達する。
 冷静を保つはずだったのに頭に血が上り一気に爆発してしまった。

「お、倉持が本気で怒った」

 嬉しそうに笑う高山に余計腹が立つ!!

「そうやって素直に感情を出すのはいいこと♪」

 そう言いながらどさくさにまぎれて私をぎゅっと抱きしめた!!
 この~~!! 調子に乗りやがってぇえええ! エロ教師がぁああ!!

「じょ、冗談じゃないぃ~~!! キャンセルする! 全部中止!! 帰る!!」

 力任せに突き飛ばすと玄関へと向かう。

「…どこに行く気だ?」

 ため息交じりの高山はヤレヤレといった感じ。
 その態度にムッとしつつ、分かりきった答えを聞くなと憤慨。
 家! 自宅に決まってるじゃんか!
 そうは思ったものの、ふと我に返る。
 校長自らやってきて両親を説得し、おまけに荷物を移動済み。
 つい先程高山のお迎えも大歓迎で送り出されてきた状態。
 しかもご近所さんの様子から全て広がってる雰囲気。
 あの分だと契約済みだろうし、簡単に戻れやしない、と。
 くっそぅ~~!! 何だって言うのよ~~!!
 私に断りなしに勝手に決めるなっつーの!!
 ぶつけようの無い怒りにただただ地団太を踏むのみだった。うう。
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