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第2話 稲穂から現れたのは…
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運転中での出来事。
そこはまだ新しくできた道路らしく、アスファルトが色濃かった。
二車線の幅の広い道で時々ゆったりと右折レーンもあった。
左手にはまだ田んぼがずっと続いていてその奥には森も見えた。
反対側は時折、コンビニらしきものやテイクアウトのお店屋さんがあったぐらいで開拓途中といった感じだった。
そんな場所で大々的に切り開かれた道を車で走らせていた。
当然、スピード標記ものんびりとした感じだ。
慌てることなく車窓から時々チラチラと景色を楽しむこともできた。
のどかだなぁとフロントガラスから左サイドにかけてまっすぐ伸びた稲穂が目に入っていた。
頭《こうべ》を垂れるにはまだ早く、これから色づき始めるだろうがこれ以上は伸びないというほどの成長しきった様子だ。
そんな景色を横目で眺めつつ、前方にも注意しながら運転していた。
するとかなり先の方で伸び切った稲穂がさわさわと揺れているのが目に映る。
風でも吹いているのかと思っているとその揺れが走っている道路に近づいているようにも見えた。
―――何か変だなぁ。
そう思いながらも車は進行方向へと進む。
ちょうど前方に信号機が見え、それが赤へと変わりつつあった。
ゆっくり止まると何気に左側を見る。
稲穂がやっぱり動いていた。
それもちょうど真横に近づくようにがさがさと。
どうやら何かがかき分けながら歩いているように見えた。
―――猫かな?
稲穂の揺れ具合といい、その幅といい、小動物っぽかった。
田んぼの中を歩く猫なんてどんなヤツだとワクワクしながら見守る。
けれど信号もそう長くは止められない。
正に時間との勝負。
―――ああっ、変わってしまう!
先頭の車が動き出す。
ちょうどその時、目の前の稲穂が割れた。
全く、予想もしていなかった。
―――えっ? マジ?!
瞬時に目が合う。
…なんと、ウリ坊だったのだ。
そいつは一瞬固まり、すぐさま踵を返す。
「わぁ~、かあちゃ~~~ん!!」
今までこちらに近づいてきた速度の何倍もの速さで稲穂が揺れる。
それを横目に車をスタートさせたがあっという間に姿が消えていた。
猪突猛進、なるほど。
でも小さくて可愛かったと和んだ初秋の始まり。
そこはまだ新しくできた道路らしく、アスファルトが色濃かった。
二車線の幅の広い道で時々ゆったりと右折レーンもあった。
左手にはまだ田んぼがずっと続いていてその奥には森も見えた。
反対側は時折、コンビニらしきものやテイクアウトのお店屋さんがあったぐらいで開拓途中といった感じだった。
そんな場所で大々的に切り開かれた道を車で走らせていた。
当然、スピード標記ものんびりとした感じだ。
慌てることなく車窓から時々チラチラと景色を楽しむこともできた。
のどかだなぁとフロントガラスから左サイドにかけてまっすぐ伸びた稲穂が目に入っていた。
頭《こうべ》を垂れるにはまだ早く、これから色づき始めるだろうがこれ以上は伸びないというほどの成長しきった様子だ。
そんな景色を横目で眺めつつ、前方にも注意しながら運転していた。
するとかなり先の方で伸び切った稲穂がさわさわと揺れているのが目に映る。
風でも吹いているのかと思っているとその揺れが走っている道路に近づいているようにも見えた。
―――何か変だなぁ。
そう思いながらも車は進行方向へと進む。
ちょうど前方に信号機が見え、それが赤へと変わりつつあった。
ゆっくり止まると何気に左側を見る。
稲穂がやっぱり動いていた。
それもちょうど真横に近づくようにがさがさと。
どうやら何かがかき分けながら歩いているように見えた。
―――猫かな?
稲穂の揺れ具合といい、その幅といい、小動物っぽかった。
田んぼの中を歩く猫なんてどんなヤツだとワクワクしながら見守る。
けれど信号もそう長くは止められない。
正に時間との勝負。
―――ああっ、変わってしまう!
先頭の車が動き出す。
ちょうどその時、目の前の稲穂が割れた。
全く、予想もしていなかった。
―――えっ? マジ?!
瞬時に目が合う。
…なんと、ウリ坊だったのだ。
そいつは一瞬固まり、すぐさま踵を返す。
「わぁ~、かあちゃ~~~ん!!」
今までこちらに近づいてきた速度の何倍もの速さで稲穂が揺れる。
それを横目に車をスタートさせたがあっという間に姿が消えていた。
猪突猛進、なるほど。
でも小さくて可愛かったと和んだ初秋の始まり。
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