14 / 16
攻略対象者、全員集合!!!
しおりを挟む
「良かったですわ、気が付きましたのね」
傍らにはブロンドの髪を靡かせた美少女がいた。え、アナベル?
だだっ広くてお高そうな家具に囲まれ、大きなベットの上で横たわっている私。
どう見ても宿舎である私の部屋ではないことが判るし、思わず不審そうにアナベルを見つめた。
「こちらは王宮の一角ですわ。ユナさんはひと月ほど眠っていらしたの」
「え、それは、どういうことですかね?」
「伺った話では禁書庫内で魔法が暴走して魔力が枯渇したらしく、御倒れになったのよ」
なんてこったい。あの時全部終わらせてやる! とか思っちゃったもんな。
あまりに腹が立ったから怒りに任せて正気を失ったらしい。
「……それは、お騒がせしました。申し訳ありません」
反省の意を示し、身を起こしながら謝罪していると突然声が聞こえてきた。
「アナベル、どうだ? 上手くいったのか」
うおっ、エリン王子っす。さらにその背後からぞろぞろと現れる人物たち。
カミル、レオナルド、ノア、ジョージ、カイルの攻略対象者全員じゃん!!
久しぶりに拝見する彼らは相変わらずキラキラと輝いていた。
「ええ、おかげさまで皆様のご協力でもって助かりましたわ、ありがとうございます」
アナベルが微笑みながらそれに応えると彼らは彼女を囲み嬉しそうに笑っている。
どゆこと? そして私は何を見せられているのか。ハーレムエンド、再び!
「では皆様、部屋でお待ちくださいね、すぐに参りますから」
用が済んだとばかりにアナベルが促すと対象者たちが少し残念そうな顔をし合った後、待ってるよと名残惜しそうに退出していく。
二人きりになった途端、祈るように私の手を握りしめ、彼女は目を潤ませた。
「やはりユナさんはヒロインですね。今まで何をしても全く反応せずに目を覚まさないので怖かったです。もしかしてと攻略対象者を全員この場に集めたら気が付いたんですよ。ものすごく不安で心細かったので本当に良かった。ハッピーエンドしかない世界のはずなのに悲しいことが起こるなんて嫌ですから」
アナベルって臭わせたのを最後に会ったきりだったけど転生者であることも確実だし、しかも完全に良い悪役令嬢だよね、ホント。
「これで安心できたので失礼しますね。それにライリー殿下にも知らせなければ」
足早に立ち去るアナベルに首を傾げつつ見送った後、入れ違いに銀色の髪を靡かせて部屋に入ってきたのは書庫の主!
「良かった。意識が戻ったようだな。……君は本当に無茶をするから」
傍らに近づいて心配そうな顔を向ける。青い瞳が私を映し出していた。
いつものマント姿でない正装をした凛々しい雰囲気の上、私に触れて唖然となる。
てか、生身? 生きてる? 実体あるよね、今?!
「えっと、あの、すいません。……触れてるのは間違いないですかね?」
意識が戻って間もないからまだ感覚がおかしいのかと思う。
「……ああそうか。君にはきちんと名乗っていなかった。私は現国王の唯一の弟でライリーという。訳あって影を潜めていたのだが、君の緊急事態で気が動転したようだ。元々表舞台に出るつもりはなかったのだが、……思わず」
「……ってことは生きてる人間で間違いありませんよね?」
「ああ、君は私のことを勘違いしているようだったから都合が良いのでそのまま流していたのだが」
すなわち死者ではなかったことが判明。しかも王族で割と歳も近そう。
どうやら血なまぐさい権力争いの末、数多くの王子で唯一生き延びた年若の弟だったから継承権に巻き込まれないように姿を隠してたらしい。
だとしたら私だけ姿が見えてたのは何故なんだろ?
傍らにはブロンドの髪を靡かせた美少女がいた。え、アナベル?
だだっ広くてお高そうな家具に囲まれ、大きなベットの上で横たわっている私。
どう見ても宿舎である私の部屋ではないことが判るし、思わず不審そうにアナベルを見つめた。
「こちらは王宮の一角ですわ。ユナさんはひと月ほど眠っていらしたの」
「え、それは、どういうことですかね?」
「伺った話では禁書庫内で魔法が暴走して魔力が枯渇したらしく、御倒れになったのよ」
なんてこったい。あの時全部終わらせてやる! とか思っちゃったもんな。
あまりに腹が立ったから怒りに任せて正気を失ったらしい。
「……それは、お騒がせしました。申し訳ありません」
反省の意を示し、身を起こしながら謝罪していると突然声が聞こえてきた。
「アナベル、どうだ? 上手くいったのか」
うおっ、エリン王子っす。さらにその背後からぞろぞろと現れる人物たち。
カミル、レオナルド、ノア、ジョージ、カイルの攻略対象者全員じゃん!!
久しぶりに拝見する彼らは相変わらずキラキラと輝いていた。
「ええ、おかげさまで皆様のご協力でもって助かりましたわ、ありがとうございます」
アナベルが微笑みながらそれに応えると彼らは彼女を囲み嬉しそうに笑っている。
どゆこと? そして私は何を見せられているのか。ハーレムエンド、再び!
「では皆様、部屋でお待ちくださいね、すぐに参りますから」
用が済んだとばかりにアナベルが促すと対象者たちが少し残念そうな顔をし合った後、待ってるよと名残惜しそうに退出していく。
二人きりになった途端、祈るように私の手を握りしめ、彼女は目を潤ませた。
「やはりユナさんはヒロインですね。今まで何をしても全く反応せずに目を覚まさないので怖かったです。もしかしてと攻略対象者を全員この場に集めたら気が付いたんですよ。ものすごく不安で心細かったので本当に良かった。ハッピーエンドしかない世界のはずなのに悲しいことが起こるなんて嫌ですから」
アナベルって臭わせたのを最後に会ったきりだったけど転生者であることも確実だし、しかも完全に良い悪役令嬢だよね、ホント。
「これで安心できたので失礼しますね。それにライリー殿下にも知らせなければ」
足早に立ち去るアナベルに首を傾げつつ見送った後、入れ違いに銀色の髪を靡かせて部屋に入ってきたのは書庫の主!
「良かった。意識が戻ったようだな。……君は本当に無茶をするから」
傍らに近づいて心配そうな顔を向ける。青い瞳が私を映し出していた。
いつものマント姿でない正装をした凛々しい雰囲気の上、私に触れて唖然となる。
てか、生身? 生きてる? 実体あるよね、今?!
「えっと、あの、すいません。……触れてるのは間違いないですかね?」
意識が戻って間もないからまだ感覚がおかしいのかと思う。
「……ああそうか。君にはきちんと名乗っていなかった。私は現国王の唯一の弟でライリーという。訳あって影を潜めていたのだが、君の緊急事態で気が動転したようだ。元々表舞台に出るつもりはなかったのだが、……思わず」
「……ってことは生きてる人間で間違いありませんよね?」
「ああ、君は私のことを勘違いしているようだったから都合が良いのでそのまま流していたのだが」
すなわち死者ではなかったことが判明。しかも王族で割と歳も近そう。
どうやら血なまぐさい権力争いの末、数多くの王子で唯一生き延びた年若の弟だったから継承権に巻き込まれないように姿を隠してたらしい。
だとしたら私だけ姿が見えてたのは何故なんだろ?
23
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる