好きな人のデートの下見に付き合わされた私。

好きな人のデートの下見に付き合わされた私。

久しぶり。この前のパーティー以来だね。

落ち込んでる？私が？
いや、そんなことは……あるかも。

ちょっと、聞いてくれる？
あんまり聞いてて良い話じゃないと思うんだけど。

本当？聞いてくれるの？
ありがとう。


あのね、私、今好きな人いるじゃない。
そう、伯爵のレジアス。

一週間くらい前、レジアスから誘われたのよ。
お見合い相手とデートする予定だから、下見に付き合ってって言われたんだよね。


酷いよね。

でも、レジアスの方は知らないからね、私の気持ち。

そうだよ。告白してないし、知らないの。

まあ、下見といえどもデートだし、好きな人とのデートだと思えば耐えられるかなと思って、「いいですよ。私でお役に立てるなら」と返事しちゃって。

それで、昨日、デートに行ったわけよ。

デート中、「ここだったら、あの人も喜ぶかな？」「ここ、どうかな？」とか聞いてくるの。
私、あの人じゃないし、知らんがなって感じでさ。

でも、そう言うわけにもいかないでしょ？

だから「そうですね」「良いと思いますよ」とか適当に返事をしたの。

で、デートの最後、お礼としてお菓子貰ったの。
そして、最後に「マリーにも良い相手が見つかるといいね」って言ったの。

まあ、「父が見合い相手を探してるんです～」って話したから、それがあるのかもね。

気を遣って言ってくれたんだってことは分かるんだけど、私としては傷つくのよ。

でも、告白なんてできないでしょ。あの人にはお見合い相手がいて、その人と結婚するんだろうし。

略奪？
無理無理。無理！そんな図太くないから！

もうちょっ図太ければ違ったのかな。
とは言ってもね。


私、きっぱり諦めて、父が探した人と結婚する。

そりゃ、気持ちは追い付いてないよ。
でも、恋愛と結婚は違うからさぁ。

親が探した相手と結婚した方が幸せかなと思ってるの。

辛そう？

うん。失恋したばっかりだからね。

え？ご飯奢ってくれるの？
ありがとう。
持つべきものは友達だね。