伯爵令嬢が突然うちに来て、夫と別れるように言ってきた。

伯爵令嬢が突然うちに来て、夫と別れるように言ってきた。

「ごめんください」

とうちを尋ねて来たのは、綺麗な女性だった。

その女性はリットン伯爵のご令嬢なのだそう。

客間に通して、紅茶を出したところ、

「私、奥さまにお話があって来ましたの」
「私に、ですか？」
「ええ」

と優雅に笑う。

「ご主人と別れていただきたいのです」
「え？」
「ご主人、ずっと帰っていらっしゃいませんよね？」
「ええ。友人と旅行に行くとか……」
「実は、ご主人は私の家にいるのです。もう私の両親には、婚約者として紹介しています」
「は？」
「は？と言われましても……」

なぜか伯爵令嬢の方が困った顔をする。

「何をおっしゃっているのか……。主人に会わせてください」
「分かったわ。一緒に行きましょう」


そう言われ、伯爵令嬢に連れていかれた先は、城のような大きな建物だった。
伯爵の家だ。

しばらく、高そうなソファやベッドがある部屋で待たされた。

「連れてきましたわ」

伯爵令嬢がドアを開ける。
その後ろから、気まずそうな顔をした夫が見えた。

「あなた！」
「すまない！アマンダ」

夫が私に向かって土下座する。

話を聞いてみると、夫と伯爵令嬢は以前から不倫関係にあったそうだ。
伯爵令嬢が結婚を迫り、夫も伯爵令嬢と結婚したいのだという。
それで、伯爵令嬢が私にマウント取りたくて、うちに来て別れを迫ったとのこと。

「アマンダ、俺と別れてくれないか」
「何よそれ！」

と怒ったけど、夫の意志は固かった。

無理なものは無理だと、諦めてしまった。


でも、二人の幸せを祈ることはできない。

いつか不幸になればいいとすら思う。



その後、風の噂で聞いたのだが、伯爵令嬢は奔放な人で結婚してもたくさんの男と関係を持っているらしい。

不倫した側がされた側になったわけだ。

ざまあみろである。