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略奪婚した妹のもとに生き霊が現れるらしい。

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私の妹・ジナイーダが結婚した。

相手はチュリロフ侯爵というクールな雰囲気があるイケメンだ。

元々、ジナイーダと侯爵は不倫関係だった。
その後、侯爵はアストリッドという名の妻と別れ、ジナイーダと結婚。

「略奪婚なんてよくやるわね」と呆れてしまって。

ジナイーダが結婚して数週間後。

ジナイーダに招待されて、彼女の家に行くことになった。

妹に、

「結婚生活はどう?」

と訊ねたら、

「何回か、あの人の生き霊が出てきたのよね」

なんて言い出す。

「あの人?」

「侯爵の元妻よ。アストリッドっていう。夜寝ていたら、なんか息苦しくなって目が覚めるの。なんだろうと思ったら、私の上にアストリッドが乗っかって首を締めようとするのよ」

「本当に?」

「本当よ。それで、私は心の中で言ってやったの。私は恨まないでよ!あんたの夫だって悪いでしょ!その夫を繋ぎとめられなかったあんたも!って」

「そう」

「そしたら、もう出てこなくなったわ」

ジナイーダは自慢気な顔をして言った。
元妻に言いたいことを言ってやったと思っているのだろう。


当たり障りのない世間話をしてから私は妹の家を出た。




その後、アストリッドが再婚したことを風の噂で聞いた。

そして、妹は夫とうまくいかなくて離婚した。
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