3 / 4
3
しおりを挟む
エックハルトは優しくて、抱きしめられただけで安心する。
朝、目が覚めてエックハルトいると幸せだなと胸がじんわりと温かくなる。
「おはよう。イレーネちゃん」
「おはようございます。エックハルトさん」
一緒に起きて、ご飯を食べて、仕事に向かうエックハルトさんを玄関で見送る。
それから、私は裁縫をしたり、本を読んだりして過ごす。
夕方頃になると、使用人と一緒に夕食を作る。使用人は手伝う必要はないと言うけど、花嫁修行でそれなりに料理をしたことがあるし、エックハルトに私の料理を食べてもらいたいから、毎日夕食を作る。
エックハルトが帰ってきたら出迎えて、一緒に夕食を食べて。
「おやすみ」
と言い合って、就寝する。
私たちの結婚生活はこんな感じで、喧嘩をすることもなく、幸せそのものだった。
ある日の昼下がり。
「奥様。お手紙が届いております」
使用人に手紙を渡された。
両親か、友人だろうと思って差出人を見ると。
「ユーカ?」
私の元婚約者を奪った親戚の女の子の名前だった。
「どうして?」
封を切り、便箋を開く。
そこには、「結婚のお祝いをしたい」「婚約者を略奪したことについて謝りたい」という内容が書かれていた。
ユーカには結婚したことを話していなかったから、誰かから聞いたのだろう。
お祝いなんていらないし、謝罪なんて今更だ。
丁寧にお断りの手紙を書き、使用人に頼んで送ってもらった。
一応と思って、エックハルトに手紙が来たことを話した。
「仕事帰りに会ったよ。ユーカって子と」
「え」
ユーカがエックハルトに接触するなんて。
どんな情報網を持っているんだと不安になった。
「結婚生活に不満とかありませんか?とか、あの子愛嬌がないでしょ?とかいろいろ言われたけど、好きな人と結婚して不満なんかないし、イレーネちゃんは愛嬌あって可愛いって話して、適当にあしらったよ」
「そうですか。あの子、昔から私のこと敵視してきて、困ってるんです」
「君のことが妬ましいのかもね。イレーネちゃんも大変だ」
それから、エックハルトはユーカとよく出くわすようになったらしい。
きっと、私からエックハルトを奪おうとしているのだ。元婚約者を略奪したように。
「結構、しつこいね。いつもと違う道を通ったりして工夫しているんだけど、その翌日には仕事場の前で待たれて困っているんだよね」
「エックハルトさんにも迷惑をかけてすみません。元婚約者に手紙を書いたんですが、彼とは離婚したみたいで」
「奪っておいて、離婚したの」
「ええ。性格が合わなかったそうで」
エックハルトさんと私は呆れたように笑った。
ユーカには、はっきりと私の大事な人を奪うのは辞めてと言おう。
朝、目が覚めてエックハルトいると幸せだなと胸がじんわりと温かくなる。
「おはよう。イレーネちゃん」
「おはようございます。エックハルトさん」
一緒に起きて、ご飯を食べて、仕事に向かうエックハルトさんを玄関で見送る。
それから、私は裁縫をしたり、本を読んだりして過ごす。
夕方頃になると、使用人と一緒に夕食を作る。使用人は手伝う必要はないと言うけど、花嫁修行でそれなりに料理をしたことがあるし、エックハルトに私の料理を食べてもらいたいから、毎日夕食を作る。
エックハルトが帰ってきたら出迎えて、一緒に夕食を食べて。
「おやすみ」
と言い合って、就寝する。
私たちの結婚生活はこんな感じで、喧嘩をすることもなく、幸せそのものだった。
ある日の昼下がり。
「奥様。お手紙が届いております」
使用人に手紙を渡された。
両親か、友人だろうと思って差出人を見ると。
「ユーカ?」
私の元婚約者を奪った親戚の女の子の名前だった。
「どうして?」
封を切り、便箋を開く。
そこには、「結婚のお祝いをしたい」「婚約者を略奪したことについて謝りたい」という内容が書かれていた。
ユーカには結婚したことを話していなかったから、誰かから聞いたのだろう。
お祝いなんていらないし、謝罪なんて今更だ。
丁寧にお断りの手紙を書き、使用人に頼んで送ってもらった。
一応と思って、エックハルトに手紙が来たことを話した。
「仕事帰りに会ったよ。ユーカって子と」
「え」
ユーカがエックハルトに接触するなんて。
どんな情報網を持っているんだと不安になった。
「結婚生活に不満とかありませんか?とか、あの子愛嬌がないでしょ?とかいろいろ言われたけど、好きな人と結婚して不満なんかないし、イレーネちゃんは愛嬌あって可愛いって話して、適当にあしらったよ」
「そうですか。あの子、昔から私のこと敵視してきて、困ってるんです」
「君のことが妬ましいのかもね。イレーネちゃんも大変だ」
それから、エックハルトはユーカとよく出くわすようになったらしい。
きっと、私からエックハルトを奪おうとしているのだ。元婚約者を略奪したように。
「結構、しつこいね。いつもと違う道を通ったりして工夫しているんだけど、その翌日には仕事場の前で待たれて困っているんだよね」
「エックハルトさんにも迷惑をかけてすみません。元婚約者に手紙を書いたんですが、彼とは離婚したみたいで」
「奪っておいて、離婚したの」
「ええ。性格が合わなかったそうで」
エックハルトさんと私は呆れたように笑った。
ユーカには、はっきりと私の大事な人を奪うのは辞めてと言おう。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
金の力で殴ります! 〜非モテ令嬢は楽しくざまぁする〜
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
「私みたいなデブスで性格悪な男爵令嬢に優良物件の子爵子息が結婚を申し入れしてくるなんて怪しい。絶対裏がある!」
資産家の娘である「私」はそう確信して婚約者を調べさせたら、案の定、彼には本命の平民の女性がいた。
そうか、ならば仕返しだ!と幼なじみをも巻き込み、やるなら楽しんでやろうぜ☆彡という、どっかずれたお嬢様の話。
全3話
【完結】義母が斡旋した相手と婚約破棄することになりまして。~申し訳ありませんが、私は王子と結婚します~
西東友一
恋愛
義母と義理の姉妹と暮らしていた私。
義母も義姉も義妹も私をイジメてきて、雑用ばかりさせてきましたが、
結婚できる歳になったら、売り払われるように商人と結婚させられそうになったのですが・・・・・・
申し訳ありませんが、王子と結婚します。
※※
別の作品だと会話が多いのですが、今回は地の文を増やして一人の少女が心の中で感じたことを書くスタイルにしてみました。
ダイジェストっぽくなったような気もしますが、それも含めてコメントいただけるとありがたいです。
この作品だけ読むだけでも、嬉しいですが、他の作品を読んだり、お気に入りしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
【完結】婚約破棄されたので国を滅ぼします
雪井しい
恋愛
「エスメラルダ・ログネンコ。お前との婚約破棄を破棄させてもらう」王太子アルノーは公衆の面前で公爵家令嬢であるエスメラルダとの婚約を破棄することと、彼女の今までの悪行を糾弾した。エスメラルダとの婚約破棄によってこの国が滅ぶということをしらないまま。
【全3話完結しました】
※カクヨムでも公開中
親友に婚約者を奪われ婚約破棄されました。呪われた子と家族に邪険にされ続けた私には帰る場所はありません。
五月ふう
恋愛
「サナ!
この呪われた奴め!!」
足を止めて振り返ると
そこにいたのは、
「ハイリ、、、。
サンディア、、。」
私の婚約者であるハイリと
友人のサンディアだった。
「人の心を読み取れるんだろう!!
僕のことを
ずっと騙していたんだな!」
貴方も、
そう言って私を責めるのね。
この力のせいで、家族からずっと
気味悪いと邪険にされてきた。
「ハイリ。」
「俺の名を呼ぶな!!
気味が悪い!」
もう、貴方とはいられないのね。
「婚約破棄しましょうか?」
ハイリは私を絶望に突き落とした。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
婚約者が幼馴染のことが好きだとか言い出しました
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のテレーズは学園内で第6王子殿下のビスタに振られてしまった。
その理由は彼が幼馴染と結婚したいと言い出したからだ。
ビスタはテレーズと別れる為に最悪の嫌がらせを彼女に仕出かすのだが……。
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる