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婚約者の浮気相手と鉢合わせしてしまったんだが①
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私は伯爵家の長女として生まれ、何不自由なく暮らしてきた。
母親は美しく、父親はそんな母にべた惚れ。
にこやかに会話する二人は幸せそうで、私の理想の夫婦だ。
そんな私の婚約が決まったのは、18歳の冬。
相手はアレグザンダーという名の伯爵だ。
初めて会った時、彼の顔立ちの美しさに衝撃を受けた。
サラサラとした黒髪は羨ましいくらい綺麗で、目は大きく鼻筋がすっと通っていて少し甘めの顔立ちをしている。
物腰柔らかな印象の好青年だった。
婚約が決まってから、互いの家で食事をしたり、お茶会を開いたりして交流を深めた。
ある日、私が彼の家に行った時のこと。
会話が思った以上に盛り上がり、気づけばそろそろ日が暮れる時間となってしまった。
「そろそろ帰らないとご両親が心配するんじゃないのかい」
アレグザンダーが気にかけてくれたのだが、私は、
「あと少し平気ですわ。私、あなたとまだお話がしたいのです」
と甘えるように言ってみた。
「それは嬉しいけれど。でも、僕の方も用事があってね」
「用事?どのような?」
「まあ、いろいろ」
「言えない用事ですの?私には話せない後ろ暗いことであるのですか?」
彼が言葉を濁すので、ぐいぐい訊いてみたのだが。
「そうだね。言えない用事だ」
と彼が返事をしたところで、メイドが部屋に入ってきた。
そして、彼に何か耳打ちした。
彼が目を見開き、
「悪い。ちょっと席を外すよ」
と言って、メイドと共に部屋を出て行った。
何かあったのだろうか。
部屋のドアをゆっくりと開け、様子をうかがう。
玄関ホールの所で、アレグザンダーが誰かと話しているようだ。だが、壁に邪魔されて誰と話しているのか分からない。
廊下に出て、のっそりのっそりと玄関ホールの方へ向かう。
少しずつ声が聞こえてくる。
女性の声がする。
廊下の途中まで行ったところで、メイドに気づかれた。
そして、アレグザンダーも私に気づき、「来るな」と制止した。
「誰かいらしゃるの?」
と、壁から顔を覗かせたのは若い令嬢だった。
母親は美しく、父親はそんな母にべた惚れ。
にこやかに会話する二人は幸せそうで、私の理想の夫婦だ。
そんな私の婚約が決まったのは、18歳の冬。
相手はアレグザンダーという名の伯爵だ。
初めて会った時、彼の顔立ちの美しさに衝撃を受けた。
サラサラとした黒髪は羨ましいくらい綺麗で、目は大きく鼻筋がすっと通っていて少し甘めの顔立ちをしている。
物腰柔らかな印象の好青年だった。
婚約が決まってから、互いの家で食事をしたり、お茶会を開いたりして交流を深めた。
ある日、私が彼の家に行った時のこと。
会話が思った以上に盛り上がり、気づけばそろそろ日が暮れる時間となってしまった。
「そろそろ帰らないとご両親が心配するんじゃないのかい」
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と甘えるように言ってみた。
「それは嬉しいけれど。でも、僕の方も用事があってね」
「用事?どのような?」
「まあ、いろいろ」
「言えない用事ですの?私には話せない後ろ暗いことであるのですか?」
彼が言葉を濁すので、ぐいぐい訊いてみたのだが。
「そうだね。言えない用事だ」
と彼が返事をしたところで、メイドが部屋に入ってきた。
そして、彼に何か耳打ちした。
彼が目を見開き、
「悪い。ちょっと席を外すよ」
と言って、メイドと共に部屋を出て行った。
何かあったのだろうか。
部屋のドアをゆっくりと開け、様子をうかがう。
玄関ホールの所で、アレグザンダーが誰かと話しているようだ。だが、壁に邪魔されて誰と話しているのか分からない。
廊下に出て、のっそりのっそりと玄関ホールの方へ向かう。
少しずつ声が聞こえてくる。
女性の声がする。
廊下の途中まで行ったところで、メイドに気づかれた。
そして、アレグザンダーも私に気づき、「来るな」と制止した。
「誰かいらしゃるの?」
と、壁から顔を覗かせたのは若い令嬢だった。
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