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夫に惚れた友人がよく遊びに来るんだが、夫に「不倫するつもりはない」と言われて来なくなった。

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私の夫は伯爵のカジミールなの。
彼は優しそうなイケメンで、よくモテるタイプの人だった。


そんな夫を友人のドーリスに紹介したら、

「凄くかっこいい!」

って言い出した。

友人の夫なのに。


それからというもの、ドーリスはよく私の家に遊びに来るようになった。

カジミールに会いたくて来ているのだ。

だって、私よりカジミールにたくさん話しかけて、

「今度、一緒に食事行きませんか?」

なんて誘いをかけている。

それに対してカジミールは「遠慮しとくよ」と返している。


だけど、夫がそうやって誘われているところを見るのは辛い。

そう思って、

「ドーリス、そんなにうちに来なくたって良いのよ。あなただって用事があるでしょう?」

と言ったのだが。

「私の方なら、大丈夫よ」

私の方が大丈夫じゃない。

と、思っていたら。

ずっと黙って私とドーリスの会話を聞いていたカジミールが、

「ローレは素直じゃないから、はっきりと言わないけど、夫婦二人っきりになりたいんだよ」

と言い出した。

「そんなの、私が遊びに来るのとは関係ないでしょ?私が来る時間意外は、いつも二人きりじゃない」

ドーリスが言う。

「はっきり言わないと分からないのかな。迷惑だと言っているんだよ。ドーリスは僕に好意を持ってくれているみたいだけど、僕は不倫をするつもりはないよ」 

ってカジミールが言ったら、ドーリスは顔を赤くして叫んだ。

「私はあんたのこと好きじゃないわよ!」

そして、私たちの家から出ていった。


「本当に変な子よね」

私が言うと、カジミールも呆れたように「そうだね」って笑った。



それから、ドーリスはもう私たちの家に遊びに来ることはなくなったんだ。
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