愛されていると思っていた私。だけど、婚約者が溺愛していたのは私の妹でした。

愛されていると思っていた私。だけど、婚約者が溺愛していたのは私の妹でした。②

私はマティアスとミリイアの結婚式に出席した。

彼らの結婚式に出席できたのも、隣にいる彼のおかげだ。

彼というのは伯爵のソロモン。私の遠い親戚である。
そんな彼が何故私の隣にいるかと言えば、私の婚約者だから。

マティアスと婚約破棄した私のもとに、噂を聞きつけたソロモンがやって来て、

「リリカ。君のことが好きです。私と結婚してください」

いきなり求婚。

「えっ？！」
「驚くかもしれない。婚約破棄したと聞いて、居ても立っても居られなくなって」

ソロモンのことは昔から知ってるし、悪い人でないのも分かってる。
だけど、いきなり過ぎて……。

「お、お友達から……」

意味不明な返答をしてしまった。
だが、彼は。

「友達から婚約者になれるように頑張るよ」


ソロモンは私を家に招待したり、プレゼントしたり、ラブレターを送ったりしてきた。
嬉しい。
どんどん、ソロモンと会うのが楽しみになっていく。
マティアスと婚約していた時みたいだ。

そう気付いて、私は、

「私、あなたの婚約者になりたいです」

ソロモンに言った。
すると、彼はものすごく喜んで私を抱きしめた。

ソロモンは毎日、私に手紙を書いてくれる。
ちゃんと、言葉を形にして残したいらしい。
ラブレターがどんどん積み重なっていくのは、嬉しいやら恥ずかしいやら。
私も彼に手紙を書いている。

手紙だけじゃなくて、言葉でも気持ちを伝えあっている。


マティアスとミリイアの結婚式からおよそ二ヶ月後、私とソロモンは結婚式を挙げた。

結婚しても手紙は送り合っている。
それが習慣のようになっていたから、いきなり辞められないのだ。

言葉でも文字でも、ソロモンに「愛している」と言われて幸せに暮らしている。







ちなみに、マティアスとミリイアは喧嘩ばっかりで仮面夫婦のようになっているそうだ。
ミリイアがよくマティアスの愚痴を私に話してくる。

「私もソロモンと結婚したら良かったですわ」
「駄目よ。ソロモンが好きなのは私だもの。それに、マティアスとの婚約を破棄してくださいって言ってきたのはあなたよ」

そう言ったら、ミリイアはぐっと悔しそうな顔をした。

「嫌なら離婚したら？」
「離婚はしません。結婚式したのに、祝ってもらったのに、そんなことできないわ」
「じゃあ、仕方ない。愚痴を言いながら、暮らすことね」

ミリイアは不貞腐れている。

何だかせいせいした。