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再婚して幸せに暮らしていたのに、元妻が「やり直したい」と言って来た

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レイモンドが結婚した。
彼は伯爵令息で、サラサラした茶髪とぱっちりした瞳のイケメンである。

レイモンドの妻となったのは、伯爵令嬢のジョアンナ。
可愛らしい女の子だった。


しかし、結婚して数カ月。

ジョアンナが家を出ていってしまった。

残されたのはレイモンド宛の手紙。

その手紙には、

『好きな人と一緒になります。さようなら』

とだけ書いてあった。




レイモンドはかなり落ち込んでいて、両親も心配していた。

けれど、友人たちがレイモンドを励まそうとパーティーを開いたり、一緒に小旅行に行ったりしたおかげでだんだんと前向きさを取り戻していった。



ある日パーティーで、レイモンドはミラという女性と出会った。
ミラは侯爵令嬢で、おっとりとした性格。

ジョアンナのことを話した時には「なんて酷い人なの!?」と怒っていた。


レイモンドはそんな彼女に安心感を抱き、家に招待したりして、二人の距離はどんどん近づいていった。


彼はミラといる時間が楽しくて、結婚したいと思うようになった。

そして、出会って一年経った頃。

「私と結婚してください」

プロポーズすると、ミラは嬉しそうに笑って「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。

ミラと結婚して、レイモンドは幸せだった。



幸福な生活を送っている中、ジョアンナが家にやって来た。

無理やり家に入ってきて、レイモンドとミラがいる部屋に入ってきた。

ジョアンナはミラの存在に驚いたようだが、

「あなたのことが一番好きなの。また、やり直せないかしら」

なんて都合の良いことを言い出した。

「君は好きな人がいるから、この家を出て行ったんだろ」

「その人は浮気していたの!別れてきたのよ。だから、私にはあなたしかいないの」

「あなたは、レイモンド様に謝らないのですか?」

ミラがジョアンナに訊ねた。

「何よ、あなた。レイモンドの友達?ごめんだけど、私は……」

「違うよ。私の妻だ」

レイモンドがミラの肩を優しく掴んで引き寄せる。

「は……?私がいるのに?」

「私を捨てた君が言うのか……。私はミラと結婚した。ジョアンナ、君と復縁するつもりはないよ」

ジョアンナは立ち尽くしていたが、我に返って顔を赤くしながら、

「何よ!!可哀想に思って来てやったのに!!」

と捨て台詞を吐いて帰っていった。

レイモンドとミラは顔を見合わせて、ぷっと吹き出した。
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