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浮気を問い詰めたら、婚約者に逆ギレされたのですが…。

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百年の恋も冷めるという経験をした。



私の婚約者はヴァウテルという侯爵。身長が高く、顔立ちが綺麗な男性だ。
彼は声が優しく、人柄も良い。

だから、私は彼に好意を持っていたし、信用していたんだ。


しかし、ヴァウテルは浮気していた。
彼が浮気相手に送る手紙を間違えて私に送ったことで、浮気が判明したのだ。

私はヴァウテルの家に行き、彼に浮気のことを問い詰めた。

「これはどういうことですか?」
「ま、間違えてしまったんだ」

彼は申し訳無さそうな顔をした。

「浮気していたってことですか?」

私がたずねると、彼は頷いた。

「本当に申し訳ない。僕には君だけだから」
「信じられません!婚約は破談にします!」
「なんで、そんな勝手なこと言うんだよ!」

ヴァウテルが大声で怒鳴る。

「浮気したのはそっちでしょう?婚約は破棄させてもらいますから!」

私は急いでヴァウテルの家を出て行った。



翌日、ヴァウテルが私の家に来た。

「何の用ですか?」
「謝る気になったかな?と思って来たんだよ」

何を言っているのか分からない。

「俺は謝ったのに、君は婚約破棄するなんて勝手なことを言っただろ?謝るべきじゃないかな?」
「何を仰っているのですか?浮気されたのに、あなたと結婚できないと思うのはおかしなことでしょうか?」
「だから!僕は謝っているだろ!」

ヴァウテルが私の肩を掴んで怒鳴った。

「や、辞めてください!」
「じゃあ、謝れよ!」

私は怖くて、震える声で彼に謝った。

「良かった。ちゃんと謝ってくれて」

先ほどまで怒っていたヴァウテルがニコリと笑う。

「婚約破棄はしないってことで良いね」
「いや、でも、それは……!」

私は彼に恐怖を抱いている。彼と結婚なんてできない。

「何?」

彼は笑顔のまま首を傾げた。
目は笑ってない。暗い色の瞳が怖い。

「何もありません」

私はそう答えていた。
ヴァウテルは満足したように頷いて、私の家に上がり、私と雑談した。
雑談中、早く帰ってくれないかなと思っていた。
やっと、ヴァウテルが帰って私はホッとしたんだ。



それから数日後。
私はヴァウテルとのことを考えて沈んでいた。

その時、幼馴染のオイゲンが家に来た。
父に用事があって来たらしい。
でも、父は不在だった。

「どうしたの?元気ないね」

オイゲンは綺麗な顔で微笑み、私にたずねた。
私はオイゲンにヴァウテルのことを話した。

「浮気した相手と結婚する必要ないよ。絶対、結婚しない方がいい」
「確かに、そうだよね」

やっぱり、彼に婚約破棄することを話そう。
オイゲンに言われたことで、私は決意したんだ。

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