1 / 7
浮気を問い詰めたら、婚約者に逆ギレされたのですが…。
1
しおりを挟む百年の恋も冷めるという経験をした。
私の婚約者はヴァウテルという侯爵。身長が高く、顔立ちが綺麗な男性だ。
彼は声が優しく、人柄も良い。
だから、私は彼に好意を持っていたし、信用していたんだ。
しかし、ヴァウテルは浮気していた。
彼が浮気相手に送る手紙を間違えて私に送ったことで、浮気が判明したのだ。
私はヴァウテルの家に行き、彼に浮気のことを問い詰めた。
「これはどういうことですか?」
「ま、間違えてしまったんだ」
彼は申し訳無さそうな顔をした。
「浮気していたってことですか?」
私がたずねると、彼は頷いた。
「本当に申し訳ない。僕には君だけだから」
「信じられません!婚約は破談にします!」
「なんで、そんな勝手なこと言うんだよ!」
ヴァウテルが大声で怒鳴る。
「浮気したのはそっちでしょう?婚約は破棄させてもらいますから!」
私は急いでヴァウテルの家を出て行った。
翌日、ヴァウテルが私の家に来た。
「何の用ですか?」
「謝る気になったかな?と思って来たんだよ」
何を言っているのか分からない。
「俺は謝ったのに、君は婚約破棄するなんて勝手なことを言っただろ?謝るべきじゃないかな?」
「何を仰っているのですか?浮気されたのに、あなたと結婚できないと思うのはおかしなことでしょうか?」
「だから!僕は謝っているだろ!」
ヴァウテルが私の肩を掴んで怒鳴った。
「や、辞めてください!」
「じゃあ、謝れよ!」
私は怖くて、震える声で彼に謝った。
「良かった。ちゃんと謝ってくれて」
先ほどまで怒っていたヴァウテルがニコリと笑う。
「婚約破棄はしないってことで良いね」
「いや、でも、それは……!」
私は彼に恐怖を抱いている。彼と結婚なんてできない。
「何?」
彼は笑顔のまま首を傾げた。
目は笑ってない。暗い色の瞳が怖い。
「何もありません」
私はそう答えていた。
ヴァウテルは満足したように頷いて、私の家に上がり、私と雑談した。
雑談中、早く帰ってくれないかなと思っていた。
やっと、ヴァウテルが帰って私はホッとしたんだ。
それから数日後。
私はヴァウテルとのことを考えて沈んでいた。
その時、幼馴染のオイゲンが家に来た。
父に用事があって来たらしい。
でも、父は不在だった。
「どうしたの?元気ないね」
オイゲンは綺麗な顔で微笑み、私にたずねた。
私はオイゲンにヴァウテルのことを話した。
「浮気した相手と結婚する必要ないよ。絶対、結婚しない方がいい」
「確かに、そうだよね」
やっぱり、彼に婚約破棄することを話そう。
オイゲンに言われたことで、私は決意したんだ。
56
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
あなたとの縁を切らせてもらいます
しろねこ。
恋愛
婚約解消の話が婚約者の口から出たから改めて考えた。
彼と私はどうなるべきか。
彼の気持ちは私になく、私も彼に対して思う事は無くなった。お互いに惹かれていないならば、そして納得しているならば、もういいのではないか。
「あなたとの縁を切らせてください」
あくまでも自分のけじめの為にその言葉を伝えた。
新しい道を歩みたくて言った事だけれど、どうもそこから彼の人生が転落し始めたようで……。
さらりと読める長さです、お読み頂けると嬉しいです( ˘ω˘ )
小説家になろうさん、カクヨムさん、ノベルアップ+さんにも投稿しています。
婚約者が裏でこっそり姫と付き合っていました!? ~あの時離れておいて良かったと思います、後悔はありません~
四季
恋愛
婚約者が裏でこっそり姫と付き合っていました!?
あの時離れておいて良かったと思います、後悔はありません。
【完結】婚約破棄からの絆
岡崎 剛柔
恋愛
アデリーナ=ヴァレンティーナ公爵令嬢は、王太子アルベールとの婚約者だった。
しかし、彼女には王太子の傍にはいつも可愛がる従妹のリリアがいた。
アデリーナは王太子との絆を深める一方で、従妹リリアとも強い絆を築いていた。
ある日、アデリーナは王太子から呼び出され、彼から婚約破棄を告げられる。
彼の隣にはリリアがおり、次の婚約者はリリアになると言われる。
驚きと絶望に包まれながらも、アデリーナは微笑みを絶やさずに二人の幸せを願い、従者とともに部屋を後にする。
しかし、アデリーナは勘当されるのではないか、他の貴族の後妻にされるのではないかと不安に駆られる。
婚約破棄の話は進まず、代わりに王太子から再び呼び出される。
彼との再会で、アデリーナは彼の真意を知る。
アデリーナの心は揺れ動く中、リリアが彼女を支える存在として姿を現す。
彼女の勇気と言葉に励まされ、アデリーナは再び自らの意志を取り戻し、立ち上がる覚悟を固める。
そして――。
婚約者が姉からの一方的な恋文に悩んでいるので、「そんなんだから結婚できないんだ」と説教した。
ほったげな
恋愛
私の婚約者は性格が良く、イケメンである。そんな婚約者に、姉が恋文を送っているとのこと。婚約者が迷惑がっているので、姉に説教した。
婚約者のお姉さんには、悪意しかありません。それを身内だからと信じたあなたとは、婚約破棄するしかありませんよね?
珠宮さくら
恋愛
アリスの婚約者は、いい人で悪意に満ちているお姉さんだけが厄介だと思って、ずっと我慢して来た。
たが、その彼が身内の話を信じて、婚約者の話を全く信じてはくれなかったことで、婚約破棄することになったのだが……。
※全3話。
手のひら返しが凄すぎて引くんですけど
マルローネ
恋愛
男爵令嬢のエリナは侯爵令息のクラウドに婚約破棄をされてしまった。
地位が低すぎるというのがその理由だったのだ。
悲しみに暮れたエリナは新しい恋に生きることを誓った。
新しい相手も見つかった時、侯爵令息のクラウドが急に手のひらを返し始める。
その理由はエリナの父親の地位が急に上がったのが原因だったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる