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第四章 骨髄移植

第9話 骨髄移植の前処置

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 骨髄移植する前にまずはしておかない事があります。
 自分の骨髄にある造血幹細胞を死滅させる必要があります。

 前にもお話ししましたが、移植後はドナーの造血幹細胞にて血を作ることになります。
 まずは前処理として、抗がん剤の投与と放射線治療を受けることになります。
 そして、今回はかなりキツイ前処置となります。


カテーテルの位置変更


 今までは右上腕からカテーテル経由で抗がん剤を投与していましたが、今回からはより太い血管に抗がん剤などを投入することになります。

 そのため、右首にカテーテルを差し込む事になります。
 右上腕のカテーテルはその前の退院時に外したと思います。
 ですから、骨髄移植に伴い再びカテーテル生活になります。今度は首からです。


抗がん剤等投与


 抗がん剤治療については寛解導入療法・地固め療法に記しましたので省略します。
 今回は投与されたものについて記します。

 初日目~2日目

  9:00(1)セフトリアキソンNa 1g 生理食塩水50g 点滴 炎症防止 30分投与

  9:00(2)ソルデム3A 500mg 点滴 水分・電解質の補給・維持 24時間で

  9:30(3)アロキシ0.57mg/5ml  プロイメンド150mg 生理食塩液100ml 悪心抑制 30分で投与※初日のみ  
                    
 10:00(4)ウロミテキサン400mg/4mlを1600mg 生理食塩水100ml 点滴 エンドキサン投与による泌尿器系障害の発現抑制 30分投与

 10:00(5)エンドキサン500mgを4700mg 生理食塩水500ml 点滴 抗がん剤及び免疫抑制剤 2時間投与

 12:00(6)生理食塩水 50ml 点滴

 14:00(4)と同じ
 
 18:00(4)と同じ

 20:00(1)と同じ

 (7)生理食塩液 500ml ラシックス20mg/2mlを10mg 血圧上昇抑制 8時間で

 (8)(2)を8時間で

 (9)生理食塩液 500ml 8時間で

 3日~4日目

  9:00(1)と同じ ※3日のみ

  9:00(9)と同じ2本 24時間で

 20:00(1)と同じ ※3日のみ

 (10)グラニセトロン 3mg ワンショット 吐き気止め 朝夕


放射線治療


 骨髄移植2日前から3日間、移植当日まで1日2回計6回行います。
 浴びる放射線の量はトータルで12Gy(グレイ)

 1日目

  7:00 左下横向き 腹から背 正面から肺野(はいや)ブロック挿入

 16:00 右下横向き 背から腹 背面から肺野ブロック挿入
 
 2日目

  7:00 右下横向き 背から腹

 16:00 左下横向き 腹から背

 3日目

  7:00 仰向け立て膝 右から左

 16:00 仰向け立て膝 左から右

 ※照射時間は20~30分、位置決めもあわせて40分

 これは20~30分はそのままの体制を保持してジッとしていなければなりません。キツイ体制でそのままということもありますので結構キツイです。
 また、白内障になりやすいこともあり、目にも肺同様にブロックを置いて直に浴びないようにしていました。

 ちなみにインターネットで検索すると1Gy=1Sv(シーベルト)で、人間の致死量が6~7Svだそうです。
 私の場合は12Gyを6回に分けて浴びましたので大丈夫です…て本当に大丈夫なのか? 3年経った今でもビビっています。


前処置の感想と集中治療室様な部屋


 抗がん剤が効いているのか、放射線がなのか、両方なのかはわかりませんが、かなりぐったりとした感じです。
 今回の抗がん剤治療以降は車椅子の移動を余儀なくされました。

 また、部屋も今までのようなクリーンルームから同じ病棟内にある集中治療室みたいな厳重な部屋に移ります。スリッパや歯ブラシなどの日常品も新しい物に換えられます。

 衣服は看護師さん経由で入ったと思います。シェーバーは…すでにつるっぱげですので入らないものとしてあずかってもらっていました。スマホはアルコールで除菌して入れてもらいました。

 この部屋はそんなに出入りはなかったというか、基本的に入ってきません。
 患者と医師と特定の看護師しか入れませんから。もちろん掃除のおばさんもきません。
 こうなると、もう家族との直接面会も厳しくなりました。
 
 その室内は出入り口は施錠こそはされていませんが、エアカーテンみたいなものがあったと思います。

 ガラス張りで看護師さんからも丸見えです。
 一応、ガラス越しの面会室もあります。家族との面会はそこで行います。音はガラス越しに聞こえたと思いますが…その辺はハッキリ覚えていません。

 その部屋は端にあったので小さな窓越しに外も見えました。

 シャワー室もありました。シャワー用の椅子もありました。

 血圧や脈拍などの測定器は既に設置されており、常時センサーを付けていました。記録されたデータはナースルームに転送されます。

 まるで動物園のパンダになった気分です。
 そんなパンダでもタイヤならぬスマホがあれば、さほど退屈しません。

 それでも、閉じ込められているわけではありません。
 出ようと思えばいつでも部屋から出る事ができますから――まあ、それをやってしまえば自分で死刑執行してしまう結果があるからも知れませんが。


 さて、ここでの治療は造血幹細胞を潰し免疫を抑制した上で造血幹細胞を移植することになります。

 
 ですから、怪我や病気は命取りになります。
 先ほど話した車椅子の移動は、歩こうと思えば歩けたのですが、転んで怪我されても困るからだと思います。
                                                             
 さらに私の場合、治療開始前に風邪による副鼻腔炎(いわゆる粘着性の青色もしくは黄色の鼻水)を起こしてしまい、点滴による抗生剤投与を行ったと思います。
 副鼻腔炎でも、死に至る可能性があるということです。
 普通なら飲み薬なのですが、点滴にすると治りも早いです。あれから3年以上経過しているので正確な日数はわかりませんが、3日掛かったかかからなかったかです。

 あと虫歯に関して以前お話ししたと思いますが、虫歯の菌でさえ影響があるから抜歯するというのは、この治療を見据えてのことです。
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