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二章 水の都
到着
しおりを挟む現在、私の視界の先には海が見えている。
初めて見る海に少し感動していた。文献に合った通りで見渡す限りの青。
とても綺麗だった。
山を越えたところにある高台にいるため、アタランティアの街並みも見渡すことができる。
水の都と言うにふさわしい街並みだった。
ところどころに水路が流れ、住民は街の移動に船を使うと聞いていた。
それに太陽の光が水路の水に反射して街を輝かせている。
幻想的な光景にうっとりと眺めてしまっていた。
「噂通りの綺麗な街っすね~。見た感じいろんな種族の人がいるみたいっすよ。中立って言うだけあって平和っすね」
「これだけ綺麗なところならあたしが行くにふさわしいわ! 早速行くわよ!」
二人もテンションが上がっているようだ。気持ちはわかるけど。
とにかくここまで来たのだから行くしかないわね。
海で獲れた新鮮な魚料理が有名らしい。楽しみだわ。
私たちは高台から降りてアタランティアの入門口に向かった。
「リリィ。この街にはどれくらい滞在する予定っすか?」
「そうねぇ。ママの情報とかいろいろ探したりもしたいし、街自体も楽しみたいじゃない。そう考えると、三か月くらいはいようかしら」
「それならどこかの空き家を借りたほうがいいっすね。宿でもいいと思うっすけど、それだけいるなら空き家の方が安く済むっすよ。それに従魔とかいろいろ考えなくて楽っす」
「それはいいんだけど、いい所見つかるかしら。それにお金だって……」
「金なら何とかなるっすよ。ギルドで依頼受ければいいっす。自分がAランクだからいいの受けられるっすよ~」
「その分危険じゃない。いやよ。そんなに危ない依頼受けるのは」
「いやいや。今の自分らなら何も問題ないっす。というかAランクじゃむしろ簡単すぎるかもしれないっすよ」
何を言っているのやら。私はCランクだというのに。
Aランクの依頼が簡単なわけないじゃない。
そうよね、ルナちゃん。
「リリィ。周りを見るっすよ。聖獣もいて半精霊もいるっす。それにファントムキャットだって普通はAランク以上の幻獣っすよ。そんなの従えてるリリィなら普通はSランクでもおかしくないっすからね」
「そ、そんなわけ……」
「ちょっと。あたしは従ってないわよ。一緒に行動してるだけなんだから。というかあたしが従えてるのよ」
「どう考えても従えられてるじゃないっすか。この前だってお菓子で大人しくさせられてたっす。完全に餌付けされてるんすよ」
「なんですって。聞き捨てならないわ。あたし餌付けされているんじゃないの。お菓子で仕方なく言うことを聞いてあげたのよ。そこを間違えるんじゃないわよ」
「二人とも。もう着いてるから。それになんだか目立ってるから少し大人しくしなさい」
目の前には門が見えていた。
検問待ちの列に並ぼうとしていたところでなぜか視線が集まっていた。
私たちというよりかはブラウにかしら。
「そりゃ、こんな大きな狼を連れて歩いていたら目立つっすよ。それに美少女が三人も歩いていたら注目を集めるのは当然っすね」
「なんでそんな自信満々に言ってるのよ。変なのに絡まれたくないから目立ちたくないのに」
「諦めるっすよ。美少女というだけでそれは抗えない運命なんすから。それにどこに行ってもブラウのことでいろいろと聞かれるのはしょうがないことっす。そういうものなんすから」
「あたしが可愛いのは当然なんだから、ただそう言うものとして受け入れなさい!」
何言っても無駄なようだ。
まあどうにかできそうだからいいけどさ。目立たないようにする努力とかしてもいいじゃない。
そんなわけで、これから起こるだろう面倒に備え、心の準備をするのだった……。
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