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13.洒涙雨(さんるいう)
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室内の温度が一気に凍りついた。立ちこめる空気が急激に冷えて、ぴりぴりとした雰囲気をまといだしていた。逆に体はだんだん熱を帯びてきて、鼓動がひっきりなしに鳴るようになっていた。
「勝手に人の家に入り込んで、これは立派な不法侵入よ? 分かってるの?」
ツバメは怒鳴りちらさなかったが、その分すごみと威圧感があった。
ふと、彼女は自分の部屋の戸が開けられていることに気づくなり足早にこちらへ駆けてきた。突っ立っていた僕らを押しのけて、後ろ手で勢いよく戸を閉めた。
「……今すぐ出てって」
ツバメは鋭く言い放った。暖かみがない冷え切ったものだった。確かに彼女の言うとおり、こちらに否がある。でもこちらもただで引き返すわけにはいかない。
「あの、私、小山内さんに今朝のこと謝りたくて……」
ツバメから聞き出したいことを頭の中で整理する間に、月森がたどたどしい声を上げた。
「謝る?」ツバメがおうむ返しに言う。「それより先に謝ることがあるんじゃないの?」
彼女の左目に宿っている眼光が一直線に月森を貫いて、月森を振るわせた。あれだけツバメと向き合いたいと一心に思っていた月森も、彼女から発する気迫に圧されていた。
「……月森さんはともかく、あなたは何をしに来たの?」
答えない月森を差し置いて、ツバメはターゲットを僕に切り替えてきた。
「まさか、一昨日みたいにあの陰気教師の頼みでやってきたの?」
陰気教師。響きが悪いその単語はすぐ南雲先生と結びついた。
「一昨日?」僕は訊き返した。
「一昨日私を訪ねてきたの。どうにか学校に登校してきてくれないかって、震えながら言ってた」あからさまに蔑んだ口調だった。「そんなことで嫌々顔を出されても困るからって、門前払いで断ったけれど」
「嫌々って、どういうこと?」
南雲先生を貶されたことに反応したのか、月森が訊き返す。
「同僚の先生に嫌みとか、上の役員から圧をかけられて仕方なくやってたんでしょ。とりあえず行動に出してみて、自分のことを周りにアピールして評価を保ちたかった。それだけのことよ。今まで面倒事だと避けてきたくせに……」
苦虫を噛みつぶしたかのように、ツバメの表情が歪んだ。
校舎裏のベランダデッキで南雲先生が語っていたことを思い浮かべる。確かに、上から何かしらの圧力をかけられているようだった。ツバメの事で頭を抱えて、止めていたタバコにまで手を出してしまうほどのストレスも背負い込んでしまった。
けれど。
――小山内さんを、助けてあげて。
どんな形であれ、先生もツバメと向き合おうとしていた一人だ。
「……それを分かってて先生を避けていたのか?」
「だったらどうだっていうの? いっつも、先生は自分の身だけを心配して仕方なく行動していたのよ」
「そんなの、先生に直接訊いてみないと分からないじゃないっ」
耐えかねて月森が声を上げた。でもその直後に「分かるわ」とツバメは声のトーンをやや強めて言った。
「いつだって私はそんな扱いだった。最初は優しくしておいて、後はまるで腫れ物を触るようにされて……私はずっと……」ツバメが眼光をまた光らせる。「それを見てきたから」
父親の職業柄、各地を点々とし、その先々で受けてきた待遇。この町の学校が何校目になるかは分からない。ただこの二ヶ月間で受けた待遇は、他でも数多く経験しているのだろう。
「だからって、いろんなものを遠ざけていたらきっといつか一人になる」月森は引かず言い続けた。「そうなったらきっと皆に忘れられる。そうなったら人は本当の意味で死んでしまうって、小山内さんが私に言ってたことでしょ?」
月森に初めて頼み事をされた日のことを思い出す。完全に忘れ去られたら、その人は死んでしまう。そう彼女は言っていた。それは災難に遭い父を亡くした僕にはしっくりくるものだったし、よくよく考えてみれば小学生に上がりたての頃、浩人に出会うまでは僕は誰にも構われなかったから、僕自身その状態に近かったのかもしれない。
ツバメ自身も、そういった痛みは十分理解しているはずだ。にも関わらず、距離を置いてきた意図が上手くつかめなかった。
「……だからこそなの」
重苦しくツバメは口を開いた。
「私は誰かの心に留められていることが嫌なの。嫌いでたまらないの。だからこうやって今まで避けてきた」
冷え切っていたはずの彼女の言葉が、次第に熱を帯びてきていた。
「避けてきたって……」
僕は思わず呟いた。
誰にも覚えられていたくない。それは彼女の言葉を踏まえた上で捉えれば、自分は故人でいていたいとも受け止められた。
でも同時に大きな矛盾をはらんでいるような気がした。
泣くと雨を降らせる力を持っていること。
アトピー性皮膚炎にかかっていること。
その二つは他人を避ける以上、必要のない情報のはずだ。逆に余計なイメージを与えるだけで、却って印象深くなる。
それなのに、ツバメはそれを僕に打ち明けてくれた。
「……じゃあ何で僕に話したりしたんだよ」
訊ねる僕に、ツバメの目がかっと見開かれた。
「荻野君っ」
僕が何を言おうとしているのかを察したのか、ツバメは急に声を上げた。
「もう隠す必要なんてないだろ?」
「それとこれとは別でしょ?」
「別じゃない。大事なことだ」
形勢が逆転したかのように、ツバメは少し狼狽えていた。状況を把握できず、呆然としている月森を一瞥して僕は続けた。
「他人に覚えられているのが嫌なら、雨を降らせる力やアレルギーのこと、この二つの秘密も打ち明ける必要はなかったはずだろう?」
ぐしゃっと、新聞紙を潰すみたいにツバメの表情が歪んだ。
「それどういう意味?」
問いかけてくる月森を僕はいったん無視して話を続けた。
「先生から理由は明かされてないけれど、右目のことも訊いた。昔何があったのかは知らない。でも、お前は僕にだけは打ち明けてくれただろう? それは何でだよ?」
ツバメは無言で僕の問いかけを受け止め、口を一の字に結んでこちらを睨んでいた。
「お前が僕らをどう思うが勝手だけれど、その理由が分からないんじゃ忘れられようにも忘れられない。ずっとひっかかりを感じたまま過ごすことになる」
拳を握りしめた。
「それだけは、嫌なんだよ」
このままじゃ引き下がれない。それが率直な思いだった。
「……私と似ていたから」
ぽつりと、聞き取れる最低ラインの声量でツバメが言った。
「あなたは私と境遇が似ていたから」
「両親が一人欠けているからか?」
「……それだけじゃない」
ツバメはかぶりを振って否定した。
「詳しく話していなかったけれど、母さんは八年前に亡くなっているの……この町で」
僕は耳を疑った。
今、何と言った?
体温が一気に上昇し、オーバーヒートを起こしそうなくらい熱くなった。
「この町に来たのも今回が初めてじゃない。八年前に来たことがあるの。だからあなたの存在を知って、自分と重ねてしまったの……同じ痛みを知る人として」
おごそかな口調でツバメは語った。
僕は、気が動転していた。
八年前。
父親が亡くなった年。
未曾有の豪雨災害。
雨。
ツバメの母親。
欠けていたパズルのピースが一つになりかけようとしてるのが分かった。というより、僕は完成した答えが何を示すのかおおよその見当がついていた。けれど無意識のうちにその答えを僕は遠ざけていた。受け止めたくないものがそこにあった。
「……だったら、お前は自分のことを僕に覚えていてほしかったんじゃないのか。だからあんな秘密も明かしてくれたんだろう?」
散漫する意識を集中させて僕はツバメに訊いた。
「覚えていてほしかったわけじゃない。でももういいの」先程とは打って変わってひどく、穏やかな口調だった。「私はあなたを忘れるし、もう近づきもない。だから……」
私のことを、どうか忘れてほしい。
ツバメが言い終えると外で雷鳴が鳴り、閃光で部屋の中が白く瞬いた。
それを聞くなり、僕は意識があちこちに散る中で、徐々に頭に血が上っていった。
忘れろだって?
「……あんなこと聞かされて、忘れられるわけないだろ」
一歩、ツバメに詰め寄る。
「お前にはまだ聞きたいことが山ほどある。右目の眼帯とか、ウエハースや自転車、それから母親のことだってそうだ。こっちはまだお前のことを全然知らないんだ。中途半端に自分をさらしておいて、そこで逃げる気か? そんなのアンフェアだろっ」
ダムが決壊するみたいに、僕は思いの丈をぶちまけた。もうこれ以上持ちこたえる自身がなかった。自分でも、上手く感情をコントロールすることが難しくなっていた。
「……知って、どうするつもり?」
ツバメが自分の手のひらに爪を深く食い込ませる。痙攣したかのように、ツバメの手が小刻みに震えていた。
「知ったら同情でもしてくれるわけ? 事情を共有したって結局は他人事でしょう?」
こみ上げる思いの勢いにまかせてツバメは一気にまくしたてた。
「そうやって誰かを救った気になってヒーローでも気取るつもり? いい加減なことを言って偽善ぶらないでっ!」
ツバメの左目が真っ赤になっていた。
そこから涙が止めどなく流れた。
雨脚がさらに激しさを増した。
「誰もヒーローを気取ろうだなんて思ってない」
押し黙っていた月森が胸元に左手を置きながら、ゆっくりツバメに歩み寄った。
「私は、荻野君が言ってる秘密が何なのか検討がつかない。でも荻野君は小山内さんのこと想って」
「何も知らないくせに、生意気なこと言わないでっ」
月森が言い終える前にツバメは怒鳴り、ソファにかけてあったバックを月森目がけて何度も振り回した。けれどバックは空を裂くばかりで、月森にはかすりもしなかった。
数秒もしないうちにツバメのスタミナが尽きた。
同時に制御を失ったバックは床に激しく叩きつけられ、チャックが外れてバックの中身が辺りに散らばった。
包装してあるウエハース。
健康サプリメントである粒状の錠剤。
そして、一冊の手帳。
「あんたたちに……こんな体になった私の何が分かるっていうの?」
ツバメが、悲しく吼えた。
激しく、しかし今にも途切れてしまいそうな細い声だった。
気づくとツバメはバックを手放し、荷ほどきが済んでいない段ボールの側に置いてあった何かを手に取り、それを僕らに対してかざしてきた。
ぎゃりぎゃりと、不気味な音がした。
カッターナイフ。
僕は瞬時に危険信号をキャッチして、急いで月森の肩を引いて後方に下がらせた。
「あんたたちはいいよね……普通に生まれて、普通に育てられて、普通に生きてきて……」
カッターナイフの刃が、視界の中で怪しげに揺れていた。
「何の心配もなくて、平然と生きてきたんでしょ」
「小山内っ」
刺激しない程度に声量を抑えて呼びかける。
「誰だって平然と生きているわけじゃない、色々乗り越えてこうやって生きてるんだ」
母のことを思い浮かべる。最愛の人を早くに失って、僕を女手一つで育てることになった。僕はまだ十四歳だけど、母がどれほどハードな日常と心境でいるかはおおよそ汲み取みとっていた。
「色々?」
一歩踏み出すツバメ。
「私はそんな安っぽいもんじゃなかった!」
部屋の中に、何重にも重なってツバメの声が響く。
「生まれた時から皆と違って、誰かに触れようとしたら化け物呼ばわりされて……それでも頑張って歩いたら振り出しに戻されて、どこでも一緒だった。同い年の子も大人も誰も助けてくれなくて、全部全部自分で背負い込んできた。自分の居場所も着地点も見つからないのに、でも時間は私の背中を嫌でも押してきて……気づいたらこんな体になってて……」
嗚咽混じりにツバメは言った。涙が止めどなくあふれていた。尖っているカッターナイフとは裏腹に、彼女はガラスみたいにどんどん透明性を増して、薄く脆くなっているようだった。
「でもそれも、ここで終わらせることができるかもしれないだろ?」
僕はツバメに怖じけず言った。
「知ったところでどうできるか……結局は可能性の問題かもしれない。けど誰もお前のことを知らないと、ずっとそのまま……どこに行っても同じことの繰り返しなんだ」
自分をさらさないまま誰にも理解できず、次々と各地を練り歩いても結果は一緒だ。環境がいったんゼロにリセットされるだけで、何も変わりはしない。
「だから……」
そこまで口にして、僕はツバメの答えを待った。
ツバメはまだ涙を流していた。心にいくつもかけていたストッパーが弾けたみたいに、次から次へと頬を伝っていく。
「……でも、だからこそ」沈黙を破ってツバメが言った。「今ここでそれを話すわけにはいかないの。話したらきっと……」
真っ赤な瞳が僕を真っ直ぐ捉える。
「あなたはきっと後悔する」彼女は警告を促してきた。「あなたを……あなたをそういう人間にしたのは他でもない私だから」
核心に迫る一言だった。
体中を這っている血液の流れが、一段と速まる。
「お前……」
「もういいの」言いかけた僕をツバメが制す。「誰にも私の痛みなんて知って欲しくない、私はきっと、皆とは初めから違う世界に産み落とされたの。皆が私のこと化け物だのお化けだの言うけど、あながち間違ってないのかもしれない」
「そんな」
低く月森が呟く。
「アンフェアで当たり前なの、私は皆とは違うから……痛みなんて共有できるはずがない。だから……」
お願いだから、私を心に留めないで。
直後に、町中に設置されている災害用のサイレンがけたたましい警報を発し、豪雨による避難勧告を発令した。激しい雨音にところどころかき消されながらも、それは僕ら三人の耳にきちんと届いた。
後方で月森が狼狽えるのが分かった。
ツバメを見る。
微動だにしていない。
サイレンは鳴り続けている。
続けざま、電線に影響があったのか部屋の照明がいっせいに消えた。窓からわずかな光りが注いだけれど、それも慰め程度だった。
――お願いだから、私を心に留めないで。
ツバメの言葉を思い出す。
彼女にしてみれば、相当のエネルギーを使ったはずだ。
けれど、
僕にはそれがどうしても受け入れがたかった。三流ドラマで流れる台詞よりひどいものに聞こえた。
何だよ、それ。
次第に僕はむかむかしてきた。
保健室で教えてくれた秘密。
海沿いを帰りつつ仄めかしてくれてた女の子の話。
違う世界に産み落とされたから、分かるはずがない?
「でもお前は、俺に手を差し伸べてきたじゃないか」
灰色の世界の中で、僕は静かに言った。自分でもびっくりするくらい低く重い口調だった。
「自分が知るものをお前は教えてくれただろ、それがウソだとしても勇気出して叫んだんじゃないのか? 決して自分の気を惹こうだとか、両親が一人いないからって同情のよしみで傷を舐め合おうって……そんな安っぽいもんじゃなかっただろ?」
父の顔が脳裏に浮かぶ。妙に酒臭くって、時間を作っては丸太みたいな太い腕で遊んでくれた。日焼けした顔が綻んで、妙に目尻に皺が寄っていたのを鮮明に覚えている。
亡くなった今でも、忘れた事なんて一度もなかった。
「そんな簡単に忘れられるもんなのか? 関係が薄かっただけで、人ってそんなたやすく記憶を放置していいのか? 忘れるって、そんな軽々しく口にできるもんじゃないだろっ?」
ツバメが体をびくっと震わせた。
「生きてる世界が別なら、鼻からあんな話切り出さなかっただろ?」
「違うっ」
「違わないっ」
僕は譲らなかった。もうこれ以上彼女を放っておけば、きっと異次元の世界で一人ぽつんと取り残されることになる。唯一の繋がりを持っているのは自分だ。これが僕にとっても、彼女にとってもラストチャンスになるかしれない。
「お前の言う通り、痛みなんて一ミリも分からないかもしれない。でも、それでもお前は必死に叫んでたんだ。変人だの化け物呼ばわりされても、そういったシグナルをずっと無意識に出してたんだ」
小さな小さな発信音。それは子どもにも聞き取ることのできないモスキート音だったのかもしれない。
それでも。
「お前は全然意識してなかったのかもしれない。けどそのシグナルを頼りに、お前の声を頼りにやってきた奴が、少なくとも今ここに二人いるんだよっ!」
腹の底から力を出して僕は叫んだ。
僕、それから月森。周囲が煙たがる中で、僕らはツバメの聞こえない声を辿ってきた。それだけは事実だった。
ツバメは身動き一つせず、僕を見ていた。息を継ぐペースが明らかに短くなっている。
雷の閃光でぎらつくカッターナイフを一瞥し、僕はゆっくりと口を開いた。
「お前が持ってる痛みがどれほどのものなのかは知らない。けど今持ってるそれがお前の痛みを凝縮したやつなら……それで俺を好きなだけ刺せ」
その代わり、と僕は更に付け足した。
「お前が隠し持っている重荷を全部吐き出せ。それでおあいこだ」
自分でも何を言っているのか分からなかった。ナイフで体をめった刺しにされるのはごめんだった。けれど、それでツバメが差し伸べた僕の手を握ってくれると思うと安く感じた。もうどんな条件を叩きつけられてもよかった。デザート一年分だろうが、無期限の自転車荷台の乗車券だろうが、何だって構わなかった。
室内に、雨音とツバメの鼻をすする音が満ちた。
また一つ閃光がほとばしった。
それと同時に、ツバメがカッターナイフの刃を自分に向けて振り上げた。
短い悲鳴が上がり、僕はとっさに動いた。
床を蹴る。
寸前のところで、彼女の腕を掴んだ。
細く薄い感触。
次いで、右手に一閃の痛みが走った。
血がうっすらにじみ出た。
気にせず、暴れるツバメからカッターナイフを取り上げた。
危機が去ったことを確認して一瞬気が緩んだ。その隙を突いてツバメは僕を振りほどき玄関目がけて突進した。月森と肩がぶつかるも、ツバメは構わず玄関から飛び出した。
すかさず後を追うと微かな悲鳴が聞こえ、続いて鈍い音が何度も生まれた。玄関を抜けアパートの中央階段まで行くと、階下にうつ伏せに倒れているツバメの姿があった。
「勝手に人の家に入り込んで、これは立派な不法侵入よ? 分かってるの?」
ツバメは怒鳴りちらさなかったが、その分すごみと威圧感があった。
ふと、彼女は自分の部屋の戸が開けられていることに気づくなり足早にこちらへ駆けてきた。突っ立っていた僕らを押しのけて、後ろ手で勢いよく戸を閉めた。
「……今すぐ出てって」
ツバメは鋭く言い放った。暖かみがない冷え切ったものだった。確かに彼女の言うとおり、こちらに否がある。でもこちらもただで引き返すわけにはいかない。
「あの、私、小山内さんに今朝のこと謝りたくて……」
ツバメから聞き出したいことを頭の中で整理する間に、月森がたどたどしい声を上げた。
「謝る?」ツバメがおうむ返しに言う。「それより先に謝ることがあるんじゃないの?」
彼女の左目に宿っている眼光が一直線に月森を貫いて、月森を振るわせた。あれだけツバメと向き合いたいと一心に思っていた月森も、彼女から発する気迫に圧されていた。
「……月森さんはともかく、あなたは何をしに来たの?」
答えない月森を差し置いて、ツバメはターゲットを僕に切り替えてきた。
「まさか、一昨日みたいにあの陰気教師の頼みでやってきたの?」
陰気教師。響きが悪いその単語はすぐ南雲先生と結びついた。
「一昨日?」僕は訊き返した。
「一昨日私を訪ねてきたの。どうにか学校に登校してきてくれないかって、震えながら言ってた」あからさまに蔑んだ口調だった。「そんなことで嫌々顔を出されても困るからって、門前払いで断ったけれど」
「嫌々って、どういうこと?」
南雲先生を貶されたことに反応したのか、月森が訊き返す。
「同僚の先生に嫌みとか、上の役員から圧をかけられて仕方なくやってたんでしょ。とりあえず行動に出してみて、自分のことを周りにアピールして評価を保ちたかった。それだけのことよ。今まで面倒事だと避けてきたくせに……」
苦虫を噛みつぶしたかのように、ツバメの表情が歪んだ。
校舎裏のベランダデッキで南雲先生が語っていたことを思い浮かべる。確かに、上から何かしらの圧力をかけられているようだった。ツバメの事で頭を抱えて、止めていたタバコにまで手を出してしまうほどのストレスも背負い込んでしまった。
けれど。
――小山内さんを、助けてあげて。
どんな形であれ、先生もツバメと向き合おうとしていた一人だ。
「……それを分かってて先生を避けていたのか?」
「だったらどうだっていうの? いっつも、先生は自分の身だけを心配して仕方なく行動していたのよ」
「そんなの、先生に直接訊いてみないと分からないじゃないっ」
耐えかねて月森が声を上げた。でもその直後に「分かるわ」とツバメは声のトーンをやや強めて言った。
「いつだって私はそんな扱いだった。最初は優しくしておいて、後はまるで腫れ物を触るようにされて……私はずっと……」ツバメが眼光をまた光らせる。「それを見てきたから」
父親の職業柄、各地を点々とし、その先々で受けてきた待遇。この町の学校が何校目になるかは分からない。ただこの二ヶ月間で受けた待遇は、他でも数多く経験しているのだろう。
「だからって、いろんなものを遠ざけていたらきっといつか一人になる」月森は引かず言い続けた。「そうなったらきっと皆に忘れられる。そうなったら人は本当の意味で死んでしまうって、小山内さんが私に言ってたことでしょ?」
月森に初めて頼み事をされた日のことを思い出す。完全に忘れ去られたら、その人は死んでしまう。そう彼女は言っていた。それは災難に遭い父を亡くした僕にはしっくりくるものだったし、よくよく考えてみれば小学生に上がりたての頃、浩人に出会うまでは僕は誰にも構われなかったから、僕自身その状態に近かったのかもしれない。
ツバメ自身も、そういった痛みは十分理解しているはずだ。にも関わらず、距離を置いてきた意図が上手くつかめなかった。
「……だからこそなの」
重苦しくツバメは口を開いた。
「私は誰かの心に留められていることが嫌なの。嫌いでたまらないの。だからこうやって今まで避けてきた」
冷え切っていたはずの彼女の言葉が、次第に熱を帯びてきていた。
「避けてきたって……」
僕は思わず呟いた。
誰にも覚えられていたくない。それは彼女の言葉を踏まえた上で捉えれば、自分は故人でいていたいとも受け止められた。
でも同時に大きな矛盾をはらんでいるような気がした。
泣くと雨を降らせる力を持っていること。
アトピー性皮膚炎にかかっていること。
その二つは他人を避ける以上、必要のない情報のはずだ。逆に余計なイメージを与えるだけで、却って印象深くなる。
それなのに、ツバメはそれを僕に打ち明けてくれた。
「……じゃあ何で僕に話したりしたんだよ」
訊ねる僕に、ツバメの目がかっと見開かれた。
「荻野君っ」
僕が何を言おうとしているのかを察したのか、ツバメは急に声を上げた。
「もう隠す必要なんてないだろ?」
「それとこれとは別でしょ?」
「別じゃない。大事なことだ」
形勢が逆転したかのように、ツバメは少し狼狽えていた。状況を把握できず、呆然としている月森を一瞥して僕は続けた。
「他人に覚えられているのが嫌なら、雨を降らせる力やアレルギーのこと、この二つの秘密も打ち明ける必要はなかったはずだろう?」
ぐしゃっと、新聞紙を潰すみたいにツバメの表情が歪んだ。
「それどういう意味?」
問いかけてくる月森を僕はいったん無視して話を続けた。
「先生から理由は明かされてないけれど、右目のことも訊いた。昔何があったのかは知らない。でも、お前は僕にだけは打ち明けてくれただろう? それは何でだよ?」
ツバメは無言で僕の問いかけを受け止め、口を一の字に結んでこちらを睨んでいた。
「お前が僕らをどう思うが勝手だけれど、その理由が分からないんじゃ忘れられようにも忘れられない。ずっとひっかかりを感じたまま過ごすことになる」
拳を握りしめた。
「それだけは、嫌なんだよ」
このままじゃ引き下がれない。それが率直な思いだった。
「……私と似ていたから」
ぽつりと、聞き取れる最低ラインの声量でツバメが言った。
「あなたは私と境遇が似ていたから」
「両親が一人欠けているからか?」
「……それだけじゃない」
ツバメはかぶりを振って否定した。
「詳しく話していなかったけれど、母さんは八年前に亡くなっているの……この町で」
僕は耳を疑った。
今、何と言った?
体温が一気に上昇し、オーバーヒートを起こしそうなくらい熱くなった。
「この町に来たのも今回が初めてじゃない。八年前に来たことがあるの。だからあなたの存在を知って、自分と重ねてしまったの……同じ痛みを知る人として」
おごそかな口調でツバメは語った。
僕は、気が動転していた。
八年前。
父親が亡くなった年。
未曾有の豪雨災害。
雨。
ツバメの母親。
欠けていたパズルのピースが一つになりかけようとしてるのが分かった。というより、僕は完成した答えが何を示すのかおおよその見当がついていた。けれど無意識のうちにその答えを僕は遠ざけていた。受け止めたくないものがそこにあった。
「……だったら、お前は自分のことを僕に覚えていてほしかったんじゃないのか。だからあんな秘密も明かしてくれたんだろう?」
散漫する意識を集中させて僕はツバメに訊いた。
「覚えていてほしかったわけじゃない。でももういいの」先程とは打って変わってひどく、穏やかな口調だった。「私はあなたを忘れるし、もう近づきもない。だから……」
私のことを、どうか忘れてほしい。
ツバメが言い終えると外で雷鳴が鳴り、閃光で部屋の中が白く瞬いた。
それを聞くなり、僕は意識があちこちに散る中で、徐々に頭に血が上っていった。
忘れろだって?
「……あんなこと聞かされて、忘れられるわけないだろ」
一歩、ツバメに詰め寄る。
「お前にはまだ聞きたいことが山ほどある。右目の眼帯とか、ウエハースや自転車、それから母親のことだってそうだ。こっちはまだお前のことを全然知らないんだ。中途半端に自分をさらしておいて、そこで逃げる気か? そんなのアンフェアだろっ」
ダムが決壊するみたいに、僕は思いの丈をぶちまけた。もうこれ以上持ちこたえる自身がなかった。自分でも、上手く感情をコントロールすることが難しくなっていた。
「……知って、どうするつもり?」
ツバメが自分の手のひらに爪を深く食い込ませる。痙攣したかのように、ツバメの手が小刻みに震えていた。
「知ったら同情でもしてくれるわけ? 事情を共有したって結局は他人事でしょう?」
こみ上げる思いの勢いにまかせてツバメは一気にまくしたてた。
「そうやって誰かを救った気になってヒーローでも気取るつもり? いい加減なことを言って偽善ぶらないでっ!」
ツバメの左目が真っ赤になっていた。
そこから涙が止めどなく流れた。
雨脚がさらに激しさを増した。
「誰もヒーローを気取ろうだなんて思ってない」
押し黙っていた月森が胸元に左手を置きながら、ゆっくりツバメに歩み寄った。
「私は、荻野君が言ってる秘密が何なのか検討がつかない。でも荻野君は小山内さんのこと想って」
「何も知らないくせに、生意気なこと言わないでっ」
月森が言い終える前にツバメは怒鳴り、ソファにかけてあったバックを月森目がけて何度も振り回した。けれどバックは空を裂くばかりで、月森にはかすりもしなかった。
数秒もしないうちにツバメのスタミナが尽きた。
同時に制御を失ったバックは床に激しく叩きつけられ、チャックが外れてバックの中身が辺りに散らばった。
包装してあるウエハース。
健康サプリメントである粒状の錠剤。
そして、一冊の手帳。
「あんたたちに……こんな体になった私の何が分かるっていうの?」
ツバメが、悲しく吼えた。
激しく、しかし今にも途切れてしまいそうな細い声だった。
気づくとツバメはバックを手放し、荷ほどきが済んでいない段ボールの側に置いてあった何かを手に取り、それを僕らに対してかざしてきた。
ぎゃりぎゃりと、不気味な音がした。
カッターナイフ。
僕は瞬時に危険信号をキャッチして、急いで月森の肩を引いて後方に下がらせた。
「あんたたちはいいよね……普通に生まれて、普通に育てられて、普通に生きてきて……」
カッターナイフの刃が、視界の中で怪しげに揺れていた。
「何の心配もなくて、平然と生きてきたんでしょ」
「小山内っ」
刺激しない程度に声量を抑えて呼びかける。
「誰だって平然と生きているわけじゃない、色々乗り越えてこうやって生きてるんだ」
母のことを思い浮かべる。最愛の人を早くに失って、僕を女手一つで育てることになった。僕はまだ十四歳だけど、母がどれほどハードな日常と心境でいるかはおおよそ汲み取みとっていた。
「色々?」
一歩踏み出すツバメ。
「私はそんな安っぽいもんじゃなかった!」
部屋の中に、何重にも重なってツバメの声が響く。
「生まれた時から皆と違って、誰かに触れようとしたら化け物呼ばわりされて……それでも頑張って歩いたら振り出しに戻されて、どこでも一緒だった。同い年の子も大人も誰も助けてくれなくて、全部全部自分で背負い込んできた。自分の居場所も着地点も見つからないのに、でも時間は私の背中を嫌でも押してきて……気づいたらこんな体になってて……」
嗚咽混じりにツバメは言った。涙が止めどなくあふれていた。尖っているカッターナイフとは裏腹に、彼女はガラスみたいにどんどん透明性を増して、薄く脆くなっているようだった。
「でもそれも、ここで終わらせることができるかもしれないだろ?」
僕はツバメに怖じけず言った。
「知ったところでどうできるか……結局は可能性の問題かもしれない。けど誰もお前のことを知らないと、ずっとそのまま……どこに行っても同じことの繰り返しなんだ」
自分をさらさないまま誰にも理解できず、次々と各地を練り歩いても結果は一緒だ。環境がいったんゼロにリセットされるだけで、何も変わりはしない。
「だから……」
そこまで口にして、僕はツバメの答えを待った。
ツバメはまだ涙を流していた。心にいくつもかけていたストッパーが弾けたみたいに、次から次へと頬を伝っていく。
「……でも、だからこそ」沈黙を破ってツバメが言った。「今ここでそれを話すわけにはいかないの。話したらきっと……」
真っ赤な瞳が僕を真っ直ぐ捉える。
「あなたはきっと後悔する」彼女は警告を促してきた。「あなたを……あなたをそういう人間にしたのは他でもない私だから」
核心に迫る一言だった。
体中を這っている血液の流れが、一段と速まる。
「お前……」
「もういいの」言いかけた僕をツバメが制す。「誰にも私の痛みなんて知って欲しくない、私はきっと、皆とは初めから違う世界に産み落とされたの。皆が私のこと化け物だのお化けだの言うけど、あながち間違ってないのかもしれない」
「そんな」
低く月森が呟く。
「アンフェアで当たり前なの、私は皆とは違うから……痛みなんて共有できるはずがない。だから……」
お願いだから、私を心に留めないで。
直後に、町中に設置されている災害用のサイレンがけたたましい警報を発し、豪雨による避難勧告を発令した。激しい雨音にところどころかき消されながらも、それは僕ら三人の耳にきちんと届いた。
後方で月森が狼狽えるのが分かった。
ツバメを見る。
微動だにしていない。
サイレンは鳴り続けている。
続けざま、電線に影響があったのか部屋の照明がいっせいに消えた。窓からわずかな光りが注いだけれど、それも慰め程度だった。
――お願いだから、私を心に留めないで。
ツバメの言葉を思い出す。
彼女にしてみれば、相当のエネルギーを使ったはずだ。
けれど、
僕にはそれがどうしても受け入れがたかった。三流ドラマで流れる台詞よりひどいものに聞こえた。
何だよ、それ。
次第に僕はむかむかしてきた。
保健室で教えてくれた秘密。
海沿いを帰りつつ仄めかしてくれてた女の子の話。
違う世界に産み落とされたから、分かるはずがない?
「でもお前は、俺に手を差し伸べてきたじゃないか」
灰色の世界の中で、僕は静かに言った。自分でもびっくりするくらい低く重い口調だった。
「自分が知るものをお前は教えてくれただろ、それがウソだとしても勇気出して叫んだんじゃないのか? 決して自分の気を惹こうだとか、両親が一人いないからって同情のよしみで傷を舐め合おうって……そんな安っぽいもんじゃなかっただろ?」
父の顔が脳裏に浮かぶ。妙に酒臭くって、時間を作っては丸太みたいな太い腕で遊んでくれた。日焼けした顔が綻んで、妙に目尻に皺が寄っていたのを鮮明に覚えている。
亡くなった今でも、忘れた事なんて一度もなかった。
「そんな簡単に忘れられるもんなのか? 関係が薄かっただけで、人ってそんなたやすく記憶を放置していいのか? 忘れるって、そんな軽々しく口にできるもんじゃないだろっ?」
ツバメが体をびくっと震わせた。
「生きてる世界が別なら、鼻からあんな話切り出さなかっただろ?」
「違うっ」
「違わないっ」
僕は譲らなかった。もうこれ以上彼女を放っておけば、きっと異次元の世界で一人ぽつんと取り残されることになる。唯一の繋がりを持っているのは自分だ。これが僕にとっても、彼女にとってもラストチャンスになるかしれない。
「お前の言う通り、痛みなんて一ミリも分からないかもしれない。でも、それでもお前は必死に叫んでたんだ。変人だの化け物呼ばわりされても、そういったシグナルをずっと無意識に出してたんだ」
小さな小さな発信音。それは子どもにも聞き取ることのできないモスキート音だったのかもしれない。
それでも。
「お前は全然意識してなかったのかもしれない。けどそのシグナルを頼りに、お前の声を頼りにやってきた奴が、少なくとも今ここに二人いるんだよっ!」
腹の底から力を出して僕は叫んだ。
僕、それから月森。周囲が煙たがる中で、僕らはツバメの聞こえない声を辿ってきた。それだけは事実だった。
ツバメは身動き一つせず、僕を見ていた。息を継ぐペースが明らかに短くなっている。
雷の閃光でぎらつくカッターナイフを一瞥し、僕はゆっくりと口を開いた。
「お前が持ってる痛みがどれほどのものなのかは知らない。けど今持ってるそれがお前の痛みを凝縮したやつなら……それで俺を好きなだけ刺せ」
その代わり、と僕は更に付け足した。
「お前が隠し持っている重荷を全部吐き出せ。それでおあいこだ」
自分でも何を言っているのか分からなかった。ナイフで体をめった刺しにされるのはごめんだった。けれど、それでツバメが差し伸べた僕の手を握ってくれると思うと安く感じた。もうどんな条件を叩きつけられてもよかった。デザート一年分だろうが、無期限の自転車荷台の乗車券だろうが、何だって構わなかった。
室内に、雨音とツバメの鼻をすする音が満ちた。
また一つ閃光がほとばしった。
それと同時に、ツバメがカッターナイフの刃を自分に向けて振り上げた。
短い悲鳴が上がり、僕はとっさに動いた。
床を蹴る。
寸前のところで、彼女の腕を掴んだ。
細く薄い感触。
次いで、右手に一閃の痛みが走った。
血がうっすらにじみ出た。
気にせず、暴れるツバメからカッターナイフを取り上げた。
危機が去ったことを確認して一瞬気が緩んだ。その隙を突いてツバメは僕を振りほどき玄関目がけて突進した。月森と肩がぶつかるも、ツバメは構わず玄関から飛び出した。
すかさず後を追うと微かな悲鳴が聞こえ、続いて鈍い音が何度も生まれた。玄関を抜けアパートの中央階段まで行くと、階下にうつ伏せに倒れているツバメの姿があった。
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