38 / 67
38.物件探し
しおりを挟む仕事にも慣れたある日の昼下がりに昊は自分の借りる物件を探していた。
15階建ての10階角部屋1LDKの風呂トイレ別、オートロック管理、会社から約徒歩10分で5万円。
えらく安いなと思っていたら····
「あぁ、そこ事故物件だから止めた方がいいよ」
「·····ぁ···はい」
不動産で部屋を探す時に注意するなら事故物件とご近所トラブルだろう。
騒音がする隣人も嫌だが神経質すぎる隣人だったら常にクレームの嵐だ。
「防音が効いた部屋がいいんスけど」
「それならここなんてどうだこのドスケベ」
防音と言う単語だけで何故このオーナーは気付いたのだろうか。
「顔にそう書いてある」と言われたから侮れない。
---------
「この部屋どう思う?」
休日に内見をする際に洋を一緒に呼んだ。
10階建てのマンションの7階。
1Kだが風呂トイレ別のウォークインクローゼット付きの広々とした部屋。日当たりよしバルコニーあり二口コンロに二錠鍵。もちろんオートロックあり。
「ここに住むの?」
「う~ん。洋君的にはどうかなっと思って」
今の家から職場まで少し遠くはなるが、洋の家からは近くなる。
「築7年だっけ?内装も綺麗だし····いいんじゃない?」
新居も決まり、後日契約をする事となった。
今のマンションの契約も解除して、引越し業者にも連絡をしていると小腹がすいてきた。
軽い昼食を取り住んでいるマンションに二人で帰る時にそう言えばそろそろ洋のヒートの時期が迫ってきている事に気がつく。
前回は昊の怪我により薬で抑えて貰っていたが
「俺の方がヤベェ····」
「なんか言った?」
「いいえ何も」
そもそもだ。
二人は付き合っているのだからヒート以外にもそういう行為に及んでもおかしくない間柄のはずなのだが。
しかも昊の肋骨骨折の方も順調に癒合されていっている。
二人っきりの時間二人っきりの空間で昊が思う事は「抱きたい」の一色である。
「········完全に完治してからじゃないと駄目。せっかく骨くっついてきてるんだから」
洋からの許可は降りなかった。
ショックを受ける昊に洋が目を逸らしつつも言葉を続ける。
「····でも···挿れる以外なら別にしてあげても良いけど····」
「それって····」
口でなら良いと言う事。
洋からの初めての御奉仕の提案に昊が感動のあまり動かないでいると····
「····するの?」
是非ともお願いします!と昊が頭を下げてれば洋に「かっこ悪い」と、言われてショックを受けた。
その時の悲しそうな目をする昊を見て「犬みたい」と、思わず笑った。
4
お気に入りに追加
1,056
あなたにおすすめの小説
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
告白ゲーム
茉莉花 香乃
BL
自転車にまたがり校門を抜け帰路に着く。最初の交差点で止まった時、教室の自分の机にぶら下がる空の弁当箱のイメージが頭に浮かぶ。「やばい。明日、弁当作ってもらえない」自転車を反転して、もう一度教室をめざす。教室の中には五人の男子がいた。入り辛い。扉の前で中を窺っていると、何やら悪巧みをしているのを聞いてしまった
他サイトにも公開しています
弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く、が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜
俺の悪役チートは獣人殿下には通じない
空飛ぶひよこ
BL
【女神の愛の呪い】
この世界の根源となる物語の悪役を割り当てられたエドワードに、女神が与えた独自スキル。
鍛錬を怠らなければ人類最強になれる剣術・魔法の才、運命を改変するにあたって優位になりそうな前世の記憶を思い出すことができる能力が、生まれながらに備わっている。(ただし前世の記憶をどこまで思い出せるかは、女神の判断による)
しかし、どれほど強くなっても、どれだけ前世の記憶を駆使しても、アストルディア・セネバを倒すことはできない。
性別・種族を問わず孕ませられるが故に、獣人が人間から忌み嫌われている世界。
獣人国セネーバとの国境に位置する辺境伯領嫡男エドワードは、八歳のある日、自分が生きる世界が近親相姦好き暗黒腐女子の前世妹が書いたBL小説の世界だと思い出す。
このままでは自分は戦争に敗れて[回避したい未来その①]性奴隷化後に闇堕ち[回避したい未来その②]、実子の主人公(受け)に性的虐待を加えて暗殺者として育てた末[回避したい未来その③]、かつての友でもある獣人王アストルディア(攻)に殺される[回避したい未来その④]虐待悪役親父と化してしまう……!
悲惨な未来を回避しようと、なぜか備わっている【女神の愛の呪い】スキルを駆使して戦争回避のために奔走した結果、受けが生まれる前に原作攻め様の番になる話。
※悪役転生 男性妊娠 獣人 幼少期からの領政チートが書きたくて始めた話
※近親相姦は原作のみで本編には回避要素としてしか出てきません(ブラコンはいる)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる