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38.物件探し

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 仕事にも慣れたある日の昼下がりに昊は自分の借りる物件を探していた。

 15階建ての10階角部屋1LDKの風呂トイレ別、オートロック管理、会社から約徒歩10分で5万円。
 えらく安いなと思っていたら····

「あぁ、そこ事故物件だから止めた方がいいよ」

「·····ぁ···はい」

 不動産で部屋を探す時に注意するなら事故物件とご近所トラブルだろう。
 騒音がする隣人も嫌だが神経質すぎる隣人だったら常にクレームの嵐だ。

「防音が効いた部屋がいいんスけど」

「それならここなんてどうだこのドスケベ」

 防音と言う単語だけで何故このオーナーは気付いたのだろうか。

「顔にそう書いてある」と言われたから侮れない。




---------


「この部屋どう思う?」

 休日に内見をする際に洋を一緒に呼んだ。

 10階建てのマンションの7階。
 1Kだが風呂トイレ別のウォークインクローゼット付きの広々とした部屋。日当たりよしバルコニーあり二口コンロに二錠鍵。もちろんオートロックあり。

「ここに住むの?」

「う~ん。洋君的にはどうかなっと思って」

 今の家から職場まで少し遠くはなるが、洋の家からは近くなる。

「築7年だっけ?内装も綺麗だし····いいんじゃない?」

 新居も決まり、後日契約をする事となった。
 今のマンションの契約も解除して、引越し業者にも連絡をしていると小腹がすいてきた。

 軽い昼食を取り住んでいるマンションに二人で帰る時にそう言えばそろそろ洋のヒートの時期が迫ってきている事に気がつく。

 前回は昊の怪我により薬で抑えて貰っていたが

「俺の方がヤベェ····」

「なんか言った?」

「いいえ何も」

 そもそもだ。

 二人は付き合っているのだからヒート以外にもそういう行為に及んでもおかしくない間柄のはずなのだが。
 しかも昊の肋骨骨折の方も順調に癒合されていっている。


 二人っきりの時間二人っきりの空間で昊が思う事は「抱きたい」の一色である。


「········完全に完治してからじゃないと駄目。せっかく骨くっついてきてるんだから」

 洋からの許可は降りなかった。

 ショックを受ける昊に洋が目を逸らしつつも言葉を続ける。

「····でも···挿れる以外なら別にしてあげても良いけど····」

「それって····」

 口でなら良いと言う事。
 洋からの初めての御奉仕の提案に昊が感動のあまり動かないでいると····

「····するの?」



 是非ともお願いします!と昊が頭を下げてれば洋に「かっこ悪い」と、言われてショックを受けた。

 その時の悲しそうな目をする昊を見て「犬みたい」と、思わず笑った。

 

 

 
 


 



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