上 下
37 / 67

37.友人達

しおりを挟む
「洋を助けてくれたαもいるわけだからね」

 再契約をしてくれたαは抜けてるところはあるが息子を大事にしてくれている。
 
「もう刺されないようにしてよ」

「ははっ」

 流石に人生でそんな何回も刺される事なんて流石にないだろうと思いたい。

「あんたが洋を傷付けたら刺すかもね」



 目の前に危険人物がいた。




-----------





 最近洋は学校生活が充実して教室の中でも笑顔が増えた。

「篠原って取っ付き難いイメージだった」

 自転車に乗せてくれた友人がそう話す。
 いつも一人でいて「近寄るな」オーラを放っていたように見えた。
 
 それがただの人見知りだったなんて思わなかったらしい。
 
 当時は自分から話しかけるのが苦手だったからどうしようかと悩んでいたら次々とグループが出来上がっててボッチになったと素直に言えば笑われた。

「それで?番の人は元気なの?」

「え?あ、うん。もう仕事してる」

「怪我してるのに大丈夫なの?」

「コルセットして無理しすぎなければ大丈夫みたい」

 昊の事を話す洋の表情が恋をしている顔をしており思わず可愛く見えてしまったのだろう。

 友人達に「あんまりその顔はしない方がいいと思うよ?」と、忠告を受けた。

「·····?」

 無自覚な洋には何故友人達がそんな事を言ったのか分かっていなかった。



 ただ、友人達の忠告は間違えていない。

 最近の洋は綺麗になったと言う声がチラホラと聞こえる。
 番がいる事を知らない生徒達は洋とのすれ違いざまにチラ見をする。

「人間恋すりゃ変わるんだな」

「いやいや、うちのβ女子なんて見てみろよ。彼氏持ちでもゴリラみたいな奴いるぞ」

「あ゛ぁ?なんか言ったかβ男子?!」

 クラスの女子の耳はどうやら地獄耳の様だった。
 必死に謝る友人達が面白くてついつい声を出して笑ってしまった。


 その事を洋の家でご飯を食べている時に昊に話したのだが

「他の人に笑いかけちゃダメです」

「無茶言うな」

 ヤキモチを妬かれた。

「だって洋君の笑った顔本当に可愛いもん。口悪いし直ぐど突くし、たまにしかデレてくれないしたまに「あれ?この糞ガキ実は悪魔の化身じゃね?」ってくらい毒吐いてくるけど····」

 後半タダの悪口を言われた気がする。
 ど突くべきだろうか。

「寝てたらマジ天使だし、エッチ時のメス顔すげぇエロいし喘ぎ声とかやべぇし、出した後なのにトロトロのグズグズの顔みたらまじですぐ元気「やかましいわ!!」いったぁ!ちょ···俺けが人!!」

 途中から己の痴態の話にされて顔を真っ赤にした洋が昊をど突いたのは言うまでもない。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

βからΩになったばかりの高校生が無理矢理番にされる話

煉瓦
BL
ある日突然βからΩへと変異してしまった主人公が、Ωであるという自覚を持つ前に本能に負け、同級生のαの番にされてしまう話です。

【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】

海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。 発情期はあるのに妊娠ができない。 番を作ることさえ叶わない。 そんなΩとして生まれた少年の生活は 荒んだものでした。 親には疎まれ味方なんて居ない。 「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」 少年達はそう言って玩具にしました。 誰も救えない 誰も救ってくれない いっそ消えてしまった方が楽だ。 旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは 「噂の玩具君だろ?」 陽キャの三年生でした。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

処理中です...