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「ティアラ。そういうことで、再婚することになった。紹介する。メノルだ」
・・・どうしてこうなったのでしょうか?
目の前で嬉しそうな父上とメノルとかいう女性。
「・・・はい」
居心地が悪くて、新しくできた私の部屋に閉じこもった。
えーと、状況説明。
・・・お母さまは亡くなった。
火災の原因は不明。
別に料理中でもなかったらしい。
お父様はなんとか逃げれて、家も新しく建てられた。
そして、この結果。
再婚するらしい。
別にいいけど。
見た感じ、昔からの愛人っぽかったけど・・・まあいいか。
いろいろあって学園を休んでいたけれど、また復活しなくちゃならない。
あと・・・殿下とは四日もあってないけど、どんな顔をすればいいのやら・・・
不安ばかり広がる中で、最後の一撃。
なんとまあ、今日は悪役令嬢が転校してくるのだ。
「皆さん、今日は転校生がいらしています。どうぞ」
その言葉で入ってくるのは、私の赤い髪の毛とは対照的な黒っぽい紫っぽい髪の毛をくるんくるんに巻いた美人。
「はじめまして。ローズ・マリーです。どうぞよろしくお願いいたします」
綺麗にお辞儀するローズさん。
それにこたえるかのように、他の男子生徒がじっとローズさんを見入る。
ああ、思い出した・・・
ローズさん、たくさんの男子を誘惑して、ヒロインをいじめるときにこき使ったりしてたっけか・・・
お、恐ろしいな・・・
「では、席替えを致します」
先生の指示に従って、私たちは移動する。
なんで席替え?なんて、聞いてらんない。
だってこれは、シナリオ通り・・・
それで、知っての通り、私の隣が殿下。
通路を挟んだその隣がローズさん。
ローズさん、本当に美人だな。
ふと、せりふを思い出す。
『・・・ふん!あなたのようなけがれた赤髪と容姿は目に堪えないわ!』
・・・う、うわあ、リアルに痛いなこれ。大丈夫か・・・
久々に登校したにもかかわらず、すっかり落ち込んでしまっていた。
昼食の時間になったころ、ローズさんが私の机の前に来た。
「ティアラ様、わたくし、ローズと申します。よろしくお願いします」
にこりと笑って自己紹介をされる。
・・・こんなシーン、あったっけ?
もしかしたら、と一つの概念が浮かぶ。
いくらゲームの世界でも、シナリオ通りにはならないのかもしれない。
だから、いい人なのかも。
うん、きっとそうだ。
私が信じたいだけかもしれないけれど、目の前で微笑む美女に悪意は感じられなかった。
「ティアラと申します。よろしく願いします」
ローズさんはにこりと微笑んで言う。
「その狭量な赤毛も、とても綺麗ですわ。それでは」
狭量・・・?
どういう意味か分からなくて首を傾げたけど、結局わからなくて、綺麗って言われたしいいことにしよう。
勝手に納得していた私は、殿下が疑い深い目をローズさんに向けていたことに気づかなかった。
「・・・ティアラ嬢」
殿下に声をかけられて、びくりとする。
「なんですか?」
首をかしげると、殿下は口を開きかけ・・・閉じて、それまでの考えを打ち消すようににこりと笑った。
「一緒にランチをしようか」
有無を言わせない言い方は相変わらずで、反射的にうなずいていた。
・・・どうしてこうなったのでしょうか?
目の前で嬉しそうな父上とメノルとかいう女性。
「・・・はい」
居心地が悪くて、新しくできた私の部屋に閉じこもった。
えーと、状況説明。
・・・お母さまは亡くなった。
火災の原因は不明。
別に料理中でもなかったらしい。
お父様はなんとか逃げれて、家も新しく建てられた。
そして、この結果。
再婚するらしい。
別にいいけど。
見た感じ、昔からの愛人っぽかったけど・・・まあいいか。
いろいろあって学園を休んでいたけれど、また復活しなくちゃならない。
あと・・・殿下とは四日もあってないけど、どんな顔をすればいいのやら・・・
不安ばかり広がる中で、最後の一撃。
なんとまあ、今日は悪役令嬢が転校してくるのだ。
「皆さん、今日は転校生がいらしています。どうぞ」
その言葉で入ってくるのは、私の赤い髪の毛とは対照的な黒っぽい紫っぽい髪の毛をくるんくるんに巻いた美人。
「はじめまして。ローズ・マリーです。どうぞよろしくお願いいたします」
綺麗にお辞儀するローズさん。
それにこたえるかのように、他の男子生徒がじっとローズさんを見入る。
ああ、思い出した・・・
ローズさん、たくさんの男子を誘惑して、ヒロインをいじめるときにこき使ったりしてたっけか・・・
お、恐ろしいな・・・
「では、席替えを致します」
先生の指示に従って、私たちは移動する。
なんで席替え?なんて、聞いてらんない。
だってこれは、シナリオ通り・・・
それで、知っての通り、私の隣が殿下。
通路を挟んだその隣がローズさん。
ローズさん、本当に美人だな。
ふと、せりふを思い出す。
『・・・ふん!あなたのようなけがれた赤髪と容姿は目に堪えないわ!』
・・・う、うわあ、リアルに痛いなこれ。大丈夫か・・・
久々に登校したにもかかわらず、すっかり落ち込んでしまっていた。
昼食の時間になったころ、ローズさんが私の机の前に来た。
「ティアラ様、わたくし、ローズと申します。よろしくお願いします」
にこりと笑って自己紹介をされる。
・・・こんなシーン、あったっけ?
もしかしたら、と一つの概念が浮かぶ。
いくらゲームの世界でも、シナリオ通りにはならないのかもしれない。
だから、いい人なのかも。
うん、きっとそうだ。
私が信じたいだけかもしれないけれど、目の前で微笑む美女に悪意は感じられなかった。
「ティアラと申します。よろしく願いします」
ローズさんはにこりと微笑んで言う。
「その狭量な赤毛も、とても綺麗ですわ。それでは」
狭量・・・?
どういう意味か分からなくて首を傾げたけど、結局わからなくて、綺麗って言われたしいいことにしよう。
勝手に納得していた私は、殿下が疑い深い目をローズさんに向けていたことに気づかなかった。
「・・・ティアラ嬢」
殿下に声をかけられて、びくりとする。
「なんですか?」
首をかしげると、殿下は口を開きかけ・・・閉じて、それまでの考えを打ち消すようににこりと笑った。
「一緒にランチをしようか」
有無を言わせない言い方は相変わらずで、反射的にうなずいていた。
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