9 / 62
貴族兄弟に飼われることになりました
【8話】貴族兄弟に飼われることになりました
しおりを挟む
「ん…」
「あ、目を覚ました」
「やっと起きたか」
ベッドで裸のまま眠っていた僕を、スルトとエドガーがのぞき込む。起き上がろうとしたけど腰が痛すぎて無理だった。
「なあ、お前、名は?」
「圭吾」
「ケイゴ?変わった名前だ」
「生まれはどこだ?」
「…言っても信じてくれない」
「やはり訳ありだな。で、お前は自分の特異体質に対してどこまで知っているんだ?」
「少なくとも、あなたたちが知っているよりは」
「じゃあ、聞かせろ」
にしてもこのスルトとかいうやつ、僕とそんな年が変わらなさそうなのになんでこんなに生意気なんだ?腹が立ってきたのでこちらも思うことを言わせてもらうことにした。
「その前にあなた方について教えてくれませんか?どこのだれかも分からない人に抱かれてこっちはとても気分が悪いんですが」
「ほう?僕たちのことを知らない?」
「俺たちはここらで一番有名な貴族なんだがな」
「あなたたちの関係は?」
「兄弟だ」
「年齢は」
「僕が22歳でスルトは19歳だよ」
「うわ、1歳しか違わないじゃないですか」
「もう俺たちのことは分かっただろう。次はこっちの質問に答えろ。お前の体質は一体何なんだ?なぜ俺だけ甘い匂いを感じる?」
僕は二人に、この世には男女の他に三種類の性があること。スルトがαであり、エドガーがβ、そして僕がΩであることを説明した。
「しかし俺は一度もお前の言うΩとやらに遭遇したことがない」
「この世界にはΩが存在しないのかもしれません」
「この世界?お前はいったいどこから来たんだ」
「えーっと…なんて説明したら良いのか…」
「しかしそれなら君はやはりここで生活した方がいいように思うね。スルトと同じ性の人間は他にもいるのだろう?」
「ええ」
「俺がこいつを見つけたときも、町の男に襲われていた」
「少なくとも君がこの城の中にいたら、町中で襲われることはなくなるよ」
確かにエドガーの言う通りだ。僕が町を歩き回っていたら何度襲われるか分からない。この世界の人はαの自覚すらなく、抗Ω薬なんて飲んでないんだし。城でいたほうが安全かもしれない。
「城に住まわせてもらうことは僕にとってもありがたいです。でも、お願いがあります。どうか聞いていただけませんか」
「聞くだけ聞いてやる」
「僕はαに首を噛まれると、その人と一生を添い遂げなければならなくなります。それだけは避けたい。なので首輪を付けさせてもらえませんか」
「ああ、そう言えば会った時も付けていたな。首輪くらいつけていいぞ」
「貞操帯は…」
「だめに決まっているだろう。何のために城で住まわせると思ってるんだ」
ですよねー…。
「最後に、僕には発情期というものがあります」
「発情期?動物のようだな」
「ええ。まさにそんな感じです。発情期の時は妊娠してしまう可能性があるので、その時は避妊をしていただけませんか」
「妊娠?!男なのに妊娠するのか?!なんという体質なんだ」
そんなこんなで僕はスルトとエドガーに飼われることとなった。でも案外悪くないかもしれない。あてがわれた部屋は綺麗だし、料理もすごくおいしい。お風呂も毎日入っていいし、清潔な服を与えてもらえた。
問題はこの二人の夜のお相手をしなきゃいけないことだけだ。でもこれが一番問題だった。二人を相手にしなきゃいけないなんて、神様もいたずらがすぎますよ。
「あ、目を覚ました」
「やっと起きたか」
ベッドで裸のまま眠っていた僕を、スルトとエドガーがのぞき込む。起き上がろうとしたけど腰が痛すぎて無理だった。
「なあ、お前、名は?」
「圭吾」
「ケイゴ?変わった名前だ」
「生まれはどこだ?」
「…言っても信じてくれない」
「やはり訳ありだな。で、お前は自分の特異体質に対してどこまで知っているんだ?」
「少なくとも、あなたたちが知っているよりは」
「じゃあ、聞かせろ」
にしてもこのスルトとかいうやつ、僕とそんな年が変わらなさそうなのになんでこんなに生意気なんだ?腹が立ってきたのでこちらも思うことを言わせてもらうことにした。
「その前にあなた方について教えてくれませんか?どこのだれかも分からない人に抱かれてこっちはとても気分が悪いんですが」
「ほう?僕たちのことを知らない?」
「俺たちはここらで一番有名な貴族なんだがな」
「あなたたちの関係は?」
「兄弟だ」
「年齢は」
「僕が22歳でスルトは19歳だよ」
「うわ、1歳しか違わないじゃないですか」
「もう俺たちのことは分かっただろう。次はこっちの質問に答えろ。お前の体質は一体何なんだ?なぜ俺だけ甘い匂いを感じる?」
僕は二人に、この世には男女の他に三種類の性があること。スルトがαであり、エドガーがβ、そして僕がΩであることを説明した。
「しかし俺は一度もお前の言うΩとやらに遭遇したことがない」
「この世界にはΩが存在しないのかもしれません」
「この世界?お前はいったいどこから来たんだ」
「えーっと…なんて説明したら良いのか…」
「しかしそれなら君はやはりここで生活した方がいいように思うね。スルトと同じ性の人間は他にもいるのだろう?」
「ええ」
「俺がこいつを見つけたときも、町の男に襲われていた」
「少なくとも君がこの城の中にいたら、町中で襲われることはなくなるよ」
確かにエドガーの言う通りだ。僕が町を歩き回っていたら何度襲われるか分からない。この世界の人はαの自覚すらなく、抗Ω薬なんて飲んでないんだし。城でいたほうが安全かもしれない。
「城に住まわせてもらうことは僕にとってもありがたいです。でも、お願いがあります。どうか聞いていただけませんか」
「聞くだけ聞いてやる」
「僕はαに首を噛まれると、その人と一生を添い遂げなければならなくなります。それだけは避けたい。なので首輪を付けさせてもらえませんか」
「ああ、そう言えば会った時も付けていたな。首輪くらいつけていいぞ」
「貞操帯は…」
「だめに決まっているだろう。何のために城で住まわせると思ってるんだ」
ですよねー…。
「最後に、僕には発情期というものがあります」
「発情期?動物のようだな」
「ええ。まさにそんな感じです。発情期の時は妊娠してしまう可能性があるので、その時は避妊をしていただけませんか」
「妊娠?!男なのに妊娠するのか?!なんという体質なんだ」
そんなこんなで僕はスルトとエドガーに飼われることとなった。でも案外悪くないかもしれない。あてがわれた部屋は綺麗だし、料理もすごくおいしい。お風呂も毎日入っていいし、清潔な服を与えてもらえた。
問題はこの二人の夜のお相手をしなきゃいけないことだけだ。でもこれが一番問題だった。二人を相手にしなきゃいけないなんて、神様もいたずらがすぎますよ。
47
お気に入りに追加
586
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる