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貴族兄弟に飼われることになりました

【8話】貴族兄弟に飼われることになりました

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「ん…」

「あ、目を覚ました」

「やっと起きたか」

ベッドで裸のまま眠っていた僕を、スルトとエドガーがのぞき込む。起き上がろうとしたけど腰が痛すぎて無理だった。

「なあ、お前、名は?」

「圭吾」

「ケイゴ?変わった名前だ」

「生まれはどこだ?」

「…言っても信じてくれない」

「やはり訳ありだな。で、お前は自分の特異体質に対してどこまで知っているんだ?」

「少なくとも、あなたたちが知っているよりは」

「じゃあ、聞かせろ」

にしてもこのスルトとかいうやつ、僕とそんな年が変わらなさそうなのになんでこんなに生意気なんだ?腹が立ってきたのでこちらも思うことを言わせてもらうことにした。

「その前にあなた方について教えてくれませんか?どこのだれかも分からない人に抱かれてこっちはとても気分が悪いんですが」

「ほう?僕たちのことを知らない?」

「俺たちはここらで一番有名な貴族なんだがな」

「あなたたちの関係は?」

「兄弟だ」

「年齢は」

「僕が22歳でスルトは19歳だよ」

「うわ、1歳しか違わないじゃないですか」

「もう俺たちのことは分かっただろう。次はこっちの質問に答えろ。お前の体質は一体何なんだ?なぜ俺だけ甘い匂いを感じる?」

僕は二人に、この世には男女の他に三種類の性があること。スルトがαであり、エドガーがβ、そして僕がΩであることを説明した。

「しかし俺は一度もお前の言うΩとやらに遭遇したことがない」

「この世界にはΩが存在しないのかもしれません」

「この世界?お前はいったいどこから来たんだ」

「えーっと…なんて説明したら良いのか…」

「しかしそれなら君はやはりここで生活した方がいいように思うね。スルトと同じ性の人間は他にもいるのだろう?」

「ええ」

「俺がこいつを見つけたときも、町の男に襲われていた」

「少なくとも君がこの城の中にいたら、町中で襲われることはなくなるよ」

確かにエドガーの言う通りだ。僕が町を歩き回っていたら何度襲われるか分からない。この世界の人はαの自覚すらなく、抗Ω薬なんて飲んでないんだし。城でいたほうが安全かもしれない。

「城に住まわせてもらうことは僕にとってもありがたいです。でも、お願いがあります。どうか聞いていただけませんか」

「聞くだけ聞いてやる」

「僕はαに首を噛まれると、その人と一生を添い遂げなければならなくなります。それだけは避けたい。なので首輪を付けさせてもらえませんか」

「ああ、そう言えば会った時も付けていたな。首輪くらいつけていいぞ」

「貞操帯は…」

「だめに決まっているだろう。何のために城で住まわせると思ってるんだ」

ですよねー…。

「最後に、僕には発情期というものがあります」

「発情期?動物のようだな」

「ええ。まさにそんな感じです。発情期の時は妊娠してしまう可能性があるので、その時は避妊をしていただけませんか」

「妊娠?!男なのに妊娠するのか?!なんという体質なんだ」

そんなこんなで僕はスルトとエドガーに飼われることとなった。でも案外悪くないかもしれない。あてがわれた部屋は綺麗だし、料理もすごくおいしい。お風呂も毎日入っていいし、清潔な服を与えてもらえた。
問題はこの二人の夜のお相手をしなきゃいけないことだけだ。でもこれが一番問題だった。二人を相手にしなきゃいけないなんて、神様もいたずらがすぎますよ。
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