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貴族兄弟に飼われることになりました
【4話】スルトとエドガー
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着いた先は立派な城だった。スルトは口をパクパクさせている僕を馬からおろし、召使いに「風呂に入れろ。そしてこいつの匂いを消せ」と命令していた。召使は「匂い、ですか…?」と不思議そうに首を傾げる。
「匂うだろう。甘い香りがプンプンと」
「そうですか…?」
僕は召使に、だだっ広い浴槽へ連れていかれた。ほぼ強制的に服を脱がされ(もちろん首輪も貞操帯も外された)、痛いほど体を洗われる。半時間ほどこすられた後、手触りの良いバスローブのようなものを着せられた。
「あの、首輪と貞操帯は…」
「申し訳ございません。こちらは預からせていただきます」
「えっ…困ります!僕にとっては大切なもので」
「命令ですので」
何度お願いしても首輪と貞操帯を身に付けさせてもらえず、僕は完全無防備なままスルトの部屋らしき場所に案内された。そこにはスルトの他に、もう一人男性が立っていた。見るからに強引で気の強そうなスルトとは違い、その人は穏やかで優しそうだった。
「スルト、彼が?」
「ああ。くそ、匂いがまったく取れていないじゃないか…!」
「匂い?」
「こいつから甘い匂いがするだろう」
「いや、しないが」
「なに?」
「石鹸の良い香りはするけどね」
話がかみ合わず不思議そうにしている二人に、僕はおそるおそる声をかけた。
「あの…僕の匂いは、限られた人にしか分かりません」
「何故だ?どうなっている」
「なぜかは分からないのですが、そういうものでして…」
「エドガー!もっとよく嗅いでみろ」
スルトがエドガーと呼ばれた男性の顔を僕に押し付けた。首筋にエドガーの鼻息がかかる。くすぐったい。僕から顔を離したエドガーは、首を傾げてスルトを見た。
「いや、やはり無臭だが」
「おまえ…まさか嗅覚を失ったのか?」
「そんなわけないだろう?石鹸の香りは分かるんだから」
「ふむ、確かに。…分かった。エドガー、呼び出したのにすまないが少し席を外してくれないか」
「かまわないが、急にどうしたんだい?」
「もう我慢できん。俺は今こいつを抱きたくてしょうがないのだ」
「えっ」
「ほう、これは珍しいね。君が男を抱きたいだなんて。まあ確かに彼は女性より美しい顔立ちをしているから気持ちは分からないでもないかな。あまりひどくしちゃだめだよ」
「ちょ、まっ…」
そう言ってエドガーが部屋から出ていった。危険だ。ピンチだ。首輪も貞操帯もない。僕を守るものは何一つない。そんなことを考えている間に、スルトが僕をベッドへ押し倒した。
「匂うだろう。甘い香りがプンプンと」
「そうですか…?」
僕は召使に、だだっ広い浴槽へ連れていかれた。ほぼ強制的に服を脱がされ(もちろん首輪も貞操帯も外された)、痛いほど体を洗われる。半時間ほどこすられた後、手触りの良いバスローブのようなものを着せられた。
「あの、首輪と貞操帯は…」
「申し訳ございません。こちらは預からせていただきます」
「えっ…困ります!僕にとっては大切なもので」
「命令ですので」
何度お願いしても首輪と貞操帯を身に付けさせてもらえず、僕は完全無防備なままスルトの部屋らしき場所に案内された。そこにはスルトの他に、もう一人男性が立っていた。見るからに強引で気の強そうなスルトとは違い、その人は穏やかで優しそうだった。
「スルト、彼が?」
「ああ。くそ、匂いがまったく取れていないじゃないか…!」
「匂い?」
「こいつから甘い匂いがするだろう」
「いや、しないが」
「なに?」
「石鹸の良い香りはするけどね」
話がかみ合わず不思議そうにしている二人に、僕はおそるおそる声をかけた。
「あの…僕の匂いは、限られた人にしか分かりません」
「何故だ?どうなっている」
「なぜかは分からないのですが、そういうものでして…」
「エドガー!もっとよく嗅いでみろ」
スルトがエドガーと呼ばれた男性の顔を僕に押し付けた。首筋にエドガーの鼻息がかかる。くすぐったい。僕から顔を離したエドガーは、首を傾げてスルトを見た。
「いや、やはり無臭だが」
「おまえ…まさか嗅覚を失ったのか?」
「そんなわけないだろう?石鹸の香りは分かるんだから」
「ふむ、確かに。…分かった。エドガー、呼び出したのにすまないが少し席を外してくれないか」
「かまわないが、急にどうしたんだい?」
「もう我慢できん。俺は今こいつを抱きたくてしょうがないのだ」
「えっ」
「ほう、これは珍しいね。君が男を抱きたいだなんて。まあ確かに彼は女性より美しい顔立ちをしているから気持ちは分からないでもないかな。あまりひどくしちゃだめだよ」
「ちょ、まっ…」
そう言ってエドガーが部屋から出ていった。危険だ。ピンチだ。首輪も貞操帯もない。僕を守るものは何一つない。そんなことを考えている間に、スルトが僕をベッドへ押し倒した。
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