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貞操帯の鍵を返してください!
【21話】はじめて人を殴りたいと思いました
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「…エドガー、もういいか?」
「充分じゃない?」
「あ~~~~!」
スルトは呻いてから僕の上に倒れこんだ。
「ぐぼぉ!」
「う~~~あ~~~」
僕の胸に顔を押し付けてむしゃぶりつくように匂いを嗅いでいる。
「え…スルト…?」
「はぁー…」
「あの…え?スルトさん?」
「お前なあ…冗談でもあんなこと言うなよ…」
「バカって言ったことですか…?」
「そんなわけないだろう。出て行けとか、二度と部屋に入ってくんなとか。さすがに傷ついたぞ」
「…ごめんなさい」
「本気で嫌われたかと思ったよ…」
エドガーが安堵のため息をついている。
「ちょっといじめすぎたしね…負い目もあったし」
「あの…全然話が読めないんですが…」
「ケーゴ、全部こいつが悪いんだ。こいつがいけるとこまでいこうとか言うからだなあ…」
スルトはそう言って親指をくいとエドガーに向けた。僕が首をかしげると、エドガーが「ごめん」と言いながら両手を合わせた。そして今回のネタばらしをしてくれた。
二週間前、僕のバカ発言にカチンと来たスルトは、ちょっとした罰として貞操帯の鍵を奪った。ここまでは僕も知っていることだ。実はスルトは3日くらいで鍵を返そうとしていたらしい。だけどここで火がついたのがエドガー。その晩、求めている快感を得られずに苦しんでいる僕に興奮したエドガーは、僕が自分から二人を求めてくるまで(「挿れて」と言うまで)焦らしてみようとスルトに提案した。
それにノリノリで賛成したスルトだったが、彼はαのため僕を前にしてしまっては恐らく歯止めが利かなくなり最後まで抱いてしまうだろうということで、僕の部屋に入ることをエドガーから禁じられた。しかし待てど暮らせど僕が「挿れて」と言ってこない。苦しくなってきたのは兄弟の方だった。苦肉の策で娼婦や男娼を部屋に招くが、僕の味を知ってしまったせいで他の人では興奮せず(知らんがな)、挿れるどころか勃ちもしないという情けない事態に。
今日もスルトは僕の部屋に行きたくて、娼婦で出すだけ出せば僕を前にしても自制できると考えた。だが悲しいことに娼婦を見てもなんの興奮も沸き立たない。そこで僕が部屋に入ってきたそうだ。
僕は早々に出て行ったが、僕の残り香は部屋中に漂っていた。その匂いで我慢ができなくなり、エドガーの提案を破ってもいいから僕に会いたいと思ったスルトは、なかなか部屋から出ない娼婦をなんとか追い出してスキップしながら僕の部屋に来た。しかし言われた言葉は「二度と部屋に入ってくるな」。
泣きそうになるのをグッと堪えて、エドガーと目で会話をして最後の賭けに出た。こうなればやけくそだ、と引いて見せたのだ。そしてそれに見事引っかかった僕。
「あーーーケーゴの匂い。あーーーー…」
エドガーが話している間もずっとスルトは僕に鼻をくっつけてひたすら匂いを嗅いでいる。僕はヤクかなんかかな?
「…と、言うわけでね。スルトは本当に悪くないんだ。僕がわるい!」
あはは、と軽く笑ったエドガーを初めて殴りたいと思った。
「なあエドガー。お前この二週間もずっとケーゴに触れてたんだろ?だったら今日は先に俺が抱きたい」
「もちろんいいよ。でも二週間ためこんだ精液を出すとこは一緒に見たいなあ」
「ああ。いいだろう」
「よくねぇえぇ!!!お前らほんとなに?!僕の涙はいったいなんだったわけ?!くそ!思いだすと恥ずかしい!!もうやだぁ!!」
「ピーター、この二週間ケーゴがどんな様子だったか教えろ」
「はいっ。はじめは普段と変わらない素振りでしたが、ここ数日はとても辛そうでした。寝言でお二人を名前を呼んでおりました」
「ちょ!?え?!嘘でしょピーター!」
「本当だぞ?夢でお二人の名前を呼びながら喘いで、起きてから夢か…と残念そうにしてたじゃないか」
「ストップ!!ストーーーーーップ!!!」
「ケーゴ…」
「ケーゴォ…」
感動でクソ兄弟が目をうるませている。なんだこの拷問。死ぬよりつらくない?
「ピーター、明日の早朝俺の部屋へ来い。ゆっくりとこの二週間のことを聞かせてもらおう」
「はいっ」
「僕も行くー」
「やめて…コロシテ…」
「充分じゃない?」
「あ~~~~!」
スルトは呻いてから僕の上に倒れこんだ。
「ぐぼぉ!」
「う~~~あ~~~」
僕の胸に顔を押し付けてむしゃぶりつくように匂いを嗅いでいる。
「え…スルト…?」
「はぁー…」
「あの…え?スルトさん?」
「お前なあ…冗談でもあんなこと言うなよ…」
「バカって言ったことですか…?」
「そんなわけないだろう。出て行けとか、二度と部屋に入ってくんなとか。さすがに傷ついたぞ」
「…ごめんなさい」
「本気で嫌われたかと思ったよ…」
エドガーが安堵のため息をついている。
「ちょっといじめすぎたしね…負い目もあったし」
「あの…全然話が読めないんですが…」
「ケーゴ、全部こいつが悪いんだ。こいつがいけるとこまでいこうとか言うからだなあ…」
スルトはそう言って親指をくいとエドガーに向けた。僕が首をかしげると、エドガーが「ごめん」と言いながら両手を合わせた。そして今回のネタばらしをしてくれた。
二週間前、僕のバカ発言にカチンと来たスルトは、ちょっとした罰として貞操帯の鍵を奪った。ここまでは僕も知っていることだ。実はスルトは3日くらいで鍵を返そうとしていたらしい。だけどここで火がついたのがエドガー。その晩、求めている快感を得られずに苦しんでいる僕に興奮したエドガーは、僕が自分から二人を求めてくるまで(「挿れて」と言うまで)焦らしてみようとスルトに提案した。
それにノリノリで賛成したスルトだったが、彼はαのため僕を前にしてしまっては恐らく歯止めが利かなくなり最後まで抱いてしまうだろうということで、僕の部屋に入ることをエドガーから禁じられた。しかし待てど暮らせど僕が「挿れて」と言ってこない。苦しくなってきたのは兄弟の方だった。苦肉の策で娼婦や男娼を部屋に招くが、僕の味を知ってしまったせいで他の人では興奮せず(知らんがな)、挿れるどころか勃ちもしないという情けない事態に。
今日もスルトは僕の部屋に行きたくて、娼婦で出すだけ出せば僕を前にしても自制できると考えた。だが悲しいことに娼婦を見てもなんの興奮も沸き立たない。そこで僕が部屋に入ってきたそうだ。
僕は早々に出て行ったが、僕の残り香は部屋中に漂っていた。その匂いで我慢ができなくなり、エドガーの提案を破ってもいいから僕に会いたいと思ったスルトは、なかなか部屋から出ない娼婦をなんとか追い出してスキップしながら僕の部屋に来た。しかし言われた言葉は「二度と部屋に入ってくるな」。
泣きそうになるのをグッと堪えて、エドガーと目で会話をして最後の賭けに出た。こうなればやけくそだ、と引いて見せたのだ。そしてそれに見事引っかかった僕。
「あーーーケーゴの匂い。あーーーー…」
エドガーが話している間もずっとスルトは僕に鼻をくっつけてひたすら匂いを嗅いでいる。僕はヤクかなんかかな?
「…と、言うわけでね。スルトは本当に悪くないんだ。僕がわるい!」
あはは、と軽く笑ったエドガーを初めて殴りたいと思った。
「なあエドガー。お前この二週間もずっとケーゴに触れてたんだろ?だったら今日は先に俺が抱きたい」
「もちろんいいよ。でも二週間ためこんだ精液を出すとこは一緒に見たいなあ」
「ああ。いいだろう」
「よくねぇえぇ!!!お前らほんとなに?!僕の涙はいったいなんだったわけ?!くそ!思いだすと恥ずかしい!!もうやだぁ!!」
「ピーター、この二週間ケーゴがどんな様子だったか教えろ」
「はいっ。はじめは普段と変わらない素振りでしたが、ここ数日はとても辛そうでした。寝言でお二人を名前を呼んでおりました」
「ちょ!?え?!嘘でしょピーター!」
「本当だぞ?夢でお二人の名前を呼びながら喘いで、起きてから夢か…と残念そうにしてたじゃないか」
「ストップ!!ストーーーーーップ!!!」
「ケーゴ…」
「ケーゴォ…」
感動でクソ兄弟が目をうるませている。なんだこの拷問。死ぬよりつらくない?
「ピーター、明日の早朝俺の部屋へ来い。ゆっくりとこの二週間のことを聞かせてもらおう」
「はいっ」
「僕も行くー」
「やめて…コロシテ…」
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