上 下
36 / 67
想い

第三十六話

しおりを挟む
 俺と小鳥遊はそのまま俺の一人暮らし先へ向かった。
 玄関に入るなり、小鳥遊に強く抱きしめられる。

「んっ……」

 小鳥遊は俺の頬に手を添え、唇を重ねた。
 ずっとこうしたかった、という気持ちがたくさん詰まった、乱暴なキス。
 ほんのり舌に残っているタバコの苦みに、小鳥遊を感じる。

「ちょっ……長ぇ……っ。がっつきすぎ……んんっ」

 離れようとしても離してくれない。こんなにがっつかれたら、俺……

 そんな俺の気持ちを察してかどうかは分からないが、小鳥遊が俺の腰をさらに抱き寄せた。
 すると、こつんと硬くなったもの同士が触れ合った。

 俺もだけど……小鳥遊、すごい勃っている。服越しなんてじれったい。

「……っ、小鳥遊、もう、ベッド行こ……っ」
「せっかちだな……。もう少しただいまのキスを楽しませろよ」

 それともなんだ、と言って、小鳥遊が俺の耳元に顔を寄せる。

「汚い体のまま抱かせてくれるのか? ん?」
「……うん……っ」
「え?」

 俺は小鳥遊の肩に腕を回し、囁き返す。

「今すぐ抱かれたい……」

 ひゅ、と小鳥遊が息を吸う音が聞こえた。
 それから乱暴に俺の手を引き寝室まで向かい、ベッドに俺を放り投げる。
 小鳥遊はスーツを脱ぎ捨てながら、低い声で唸った。

「途中でやめろと言われてもやめないからな」

 全裸になった俺たちは、ベッドの上で抱き合いしつこいくらいキスをした。
 互いの汗でぺたっと肌がくっついて、離れなくなってしまいそうだ。

「俺、くさくない……? 汗……気持ち悪くない……?」
「お前の汗を気持ち悪いと思ったことはないし、どちらかというと潔癖症のお前の方が気持ち悪いと思ってた」
「いちいち腹立つ言い方すんなあ……」
「……嬉しいよ」

 え、と顔を上げると、優しく微笑んでいる小鳥遊と目が合った。

「汚いお前をさらけ出してもらえて、嬉しいよ」
「~~っ……!」

 バカ。小鳥遊のバカ。そんなこと言うな。そんな顔すんな。さらに好きになってしまうだろう。

「……挿れるぞ」
「あ……」

 小鳥遊の生の感触、久しぶりだ。

「あぁぁぁ……っ!」

 俺の体はこれを待ちわびていたらしい。小鳥遊が奥に触れれば触れるほど、俺の体が悦びで全身を震わせる。

「あ――……っ」
「……もしかして、挿れただけで中イキした?」
「うぅ……っ、恥ずかしい……」
「お前なあ……」
「あぁぁっ!?」

 いつもなら序盤はゆっくり動くのに、今日ははじめから激しい。

「あっ、あぁぁっ!? ひっ、ん……!! んっ、小鳥遊っ……、小鳥遊ぃっ! はげっ……激しっ……!!」
「悪いっ……。ちょっと……我慢できない……っ。次から優しくするから許せよ……っ」

 奥を何度も突き上げられていたかと思えば、今度は前立腺を執拗に押し上げられる。

「ひっ、あっ、あぁっ、小鳥遊っ、小鳥遊っ……!! そこばっかされたらっ……俺ぇっ……!!」
「見たくてやってんだよ……っ、早く見せてくれよっ……」
「んんんっ!!」

 中をいじられただけで、俺は簡単に射精してしまった。
 俺の精液が飛び散ったのを見て、小鳥遊が恍惚の表情を浮かべる。

「そう、これ……。これが見たかった」
「~~……あんまじろじろ見んなぁ……」
「簡単でエロい体」
「い、言っとくけど、お前以外の前でトコロテンしたことないからな……っ」
「え。そうなのか?」
「うん……」

 俺の体を悦ばせるために腰振るヤツなんか、お前だけだよ。

「こんな簡単な体もトコロテンさせられないような男にしか抱かれてこなかったんだな。お前可哀想」
「憐れむな……。それより、早く続き……」
「ん。もうすぐ終わるから、これ終わったら一緒に風呂入ろう」
「うん……」

 汚い体のままセックスして、そのあと一緒にお風呂にはいって。それからお前はきっと、美味い晩飯を振舞ってくれるんだろう?
 晩飯が終わったら、朝まで俺を泣かせてくれる。いっぱいいっぱいの愛を体で伝えてくれるんだ。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

イケメンの後輩にめちゃめちゃお願いされて、一回だけやってしまったら、大変なことになってしまった話

ゆなな
BL
タイトルどおり熱烈に年下に口説かれるお話。Twitterに載せていたものに加筆しました。Twitter→@yuna_org

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

処理中です...