上 下
25 / 87
2月

魔のバレンタイン(入社1年目)

しおりを挟む
◇◇◇

「ふ…っ、あっ…ぐ…」

「はっ、あんっ、はぁっ…。ちょっと暎弥…さすがに私も疲れてきたわ…そろそろイキなさいよ、ねえっ」

「悪いけどイきそうにないね…っ。疲れてきたのならどいてくれないか…早く家に帰りたい…っ」

「いやよっ…んっ、ふっ、あなたの精液がほしいのよっ、だから早くイキなさいっ、」

1時間経ってもエドガーは快感に喘ぐだけで、一向に絶頂に達する気配をしめさなかった。意地になったマリカはぜえぜえと腰を振る。感じているはずなのに射精しないエドガーに、やはり不能なのではないかと考えはじめていた。そのとき、資料室のドアが開く音がした。

「えっ…?誰か来た…!」

「むぐっ」

マリカは咄嗟にエドガーの口を塞いだ。そしてニヤリと笑ってから再び腰を揺らす。

「っ…っ、っ…!」

「あーあ、社長も人使い荒いよねえ…。こーんな資料いっぱいのところからお目当てのもの探し出せなんて…。無理に決まってるじゃん…」

「?!」

その声にエドガーの目が見開いた。

(ケーゴの声…!まだ会社にいたのか!ぐ、ジョセフさん…ケーゴをこんなに遅くまで残業させて…!帰り道に襲われたらどうするんだ!!…いや、今はそれどころじゃない。こんなところを見せてしまってはケーゴが傷ついてしまう…。泣かせてしまうかもしれない。どうしたら…とにかく見つからないよう息をひそめないと…)

近くで鼻歌を口ずさみながらガサゴソと資料をあさる音が聞こえる。

「うーん、ここじゃないなあー。あ、あっちかな。ふんふんふーん」

「やばっ!こっち来たっ!」

近づく足音にマリカが囁いた。だが今更どうもできない。人影がどんどんと近づいてくる。

「ん?」

圭吾の目に、お尻まるだしの女の人が男の人の上に乗っかっているのが映った。圭吾は「やばっ!見ちゃいけないもの見ちゃった!」と踵を返す。…だが。

「んっ…」

「え?」

男性の漏らした声に、聞き覚えがありすぎる。圭吾は振り返って遠目で男性のことをじっとみた。女性の体で顔も体もほとんど見えないが、履いている高級な靴で誰かを確信した。

「っ!」

圭吾はずかずかと足音を立てて二人に近づき、女性の髪を掴んでひっぱった。

「ぎゃっ!いたいっ!!」

圭吾は黙って男性の顔を見る。やはりエドガーだ。様子がおかしいことはすぐに分かった。熱があるようなぼんやりした目で、荒い息をしてダランと脱力している。次に圭吾は女性を見た。上半身はだかで、スカートもめくれあがって下半身丸出しだ。そしてその下半身は、エドガーのものを飲み込んでいる。圭吾は歯をギリギリ鳴らして女性の髪を思いっきり引っ張り床へ引きずり下ろした。

「いたぁぁぁい!!何すんのよぉあんた!!…って、わ!社長の美人秘書Ω!!」

「あんたどういうつもり?」

「な、なによ!」

「僕のエドガー襲ってどういうつもりだって言ってんだよ!!」

「きゃっ!!」

圭吾はマリカに馬乗りになり、殴ろうと拳を振り上げた。

「やめるんだケーゴっ…!!暴力を振るえば君が罪に問われるぞ…!!」

「かまわない!!僕のエドガーにこんなことしたこいつを僕は許さない!!!」

「やめてくれ!!僕はそんなことしてほしくない!!ケーゴ、拳をおろすんだ…」

「っ…」

強く拳を握りながらも、圭吾はいやいや腕を降ろした。怒りがおさまらず床を殴っている。

「くそっ…!こいつ!まじ!!なんなの!!」

「ちょ…ちょっと待って…もしかして暎弥の恋人って…あなた…?」

「ああ?そうだけど?なんなのあんた。最悪。きっしょ」

「へえ、そうだったのぉ!へえ?Ωがβと恋人?ふふ、なにそれ」

「なにがおかしいんだよ。ぶっころすぞ」

「綺麗な顔に似合わず言葉が汚いわねえ…。あなた、綺麗なΩなんだから、βなんかに構わずαとさっさと番になりなさいよ。それに暎弥なんて、すっごくいいもの持ってるのに不能だし?彼はわたしがもらってあげるからさあ」

「は?不能?あんた頭おかしいの?エドガーのどこが不能だって?」

「エドガーって暎弥のこと?だって媚薬盛られてるのに一向にイカないの。あなたにだってそうなんでしょう?」

「それはあんたの股がガバガバだからだろ。エドガーは毎日3回は射精する」

「うそつきなさいよ。だって媚薬盛られてるのに…」

「そんなに信じられないなら見せてやるよ」

「え?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

処理中です...