悪役令嬢は平民（？）と無双する

第３章冒険編

悲しき黒龍の話

「黒龍とは、一体なんなのですか？」

私は真剣な面持ちで言った。
ユリアスも食い入るように彼女を見つめている。

「あら？知らないのね。
それもそう。
これは20年前の話。」

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「私が……騎士に？」 

平民の出だった私は騎士になる為に努力した。
平民が騎士になる為には様々な教養と、
力が必要だった。
私は愛する彼女を守るため。
家族を守る為に。
漸く、私の実力が認められたと思った。
そう、思った。
心は光に満ち溢れ家族に報告し、
家族も吉報に涙した。

「私の息子が！
騎士になったわ！！！！」

パン屋を営む母も自慢げに話していた。

彼女は少し悲しそうだった。

「私。貴方が離れて行くのが怖いの。
貴方が私を置いてどこかへ行ってしまいそうで。
知らない内に死んでしまいそうで……！」

そう言い泣いた彼女に心が痛んだが、
彼女を幸せにする為
戦場へ行く決意を固めた。

戦場へ行くのは、
僅か其の3日後であった。