転生したらそこは性に寛容でした

魔法診断2

｢ようこそ魔塔へ。
私はディートと申します。
アジェンダ様と、ルーク様で間違いありませんか？｣

耳元まで伸びた黒髪と少しかかった前髪の間に見える碧眼が印象的な男が丁寧な口調で話し掛けて来た。

｢ぅぁはい！ルークです！｣

｢あっ、はい。アジェンダです｣

ルークは緊張し過ぎたのか上擦った声で返事をした。
俺は影の薄い人特有のあっ、という言葉が入る返事をしてしまった。
久しぶりに聞く敬語口調に社畜時代の腹黒上司を思い出してしまった。
1度身震いをすれば、しっかりと前を向いた。

よく見てみればディートさんの他に黒いローブを来た人物が二人、壁伝いに立っていることがわかる。
ルークは気付いて居ないようで、2人の事をまじまじと見詰めていれば

｢おや、お気付きになられましたか？
2人に対して注意を逸らす精神魔法を掛けていたのですが、
2人に気付く事が出来るということはもしかすると魔力量が多いのかもしれないですね｣

ディートさんが嬉しそうに発言すれば
ルークも2人に気がついたようでうぉっと声を上げた。

｢では早速、魔法診断の方へ参りましょう。
ここからは別室に別れていただきますのでご了承ください。｣

この先に扉なんて無かったはず…そう思ってディートさんから目を離し奥の壁を見てみれば
目の前には扉が2つ現れており、
ローブを着た人が手招きをしている。

｢わかりました！じゃな！アジェンダ！｣

｢おう、また後でな｣

そう言って俺達は魔法診断へと向かった