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神力です
しおりを挟むガタゴトガタゴト・・・
体が揺れています。
薄目を開けて、体は動かさないように周囲の様子を確認します。
ここは・・・荷車?
そうです・・・確か私は、リリーに、裏切られたのです。
ごめんなさいと、謝罪を繰り返す声と、最後に見た、うつろな瞳が蘇ります。
私を拘束した人を神殿の中に引き入れたのは、リリーに違いありません。
でも・・・私はどうしても、リリーが望んでやったことだとは思えないのです。
だって、あんなに苦しそうに顔をゆがめて、涙を流して・・・
私がそう信じていたいだけ、なのかもしれませんが。
リリーは誰かに、私をさらう手助けをするように強制させられたのではないでしょうか・・・
もしそうだとすれば、リリーが心配です。
1度手助けをしたら、次はそのことを弱みにとられて延々と利用されてしまうかもしれません。
「おい、そろそろ薬の効果がきれるはずだ。あとどのくらいでつく?」
そろそろ、といいますか、もう切れてますけど。
心の中でツッコミをいれつつ、耳を澄ませました。
ここは1つでも多く、情報が欲しいところ・・・
「もう少しだが・・・まだ眠っておいてもらいたいな。薬かがせとけ。」
「ほいよ。」
気配が近づいてきます。
また、あの不思議な香りをかがせられたら、眠ってしまいます。
眠っては、いけません。
いつでも動けるようにしておかなければ。
眠りたく、ない!
フワッと、体が温かいものに包まれたような気がしました。
「ん?」
近づいてきた方の男が、怪訝そうな声をあげました。
ひょっとして、起きているのがバレてしまったのでしょうか・・・
ヒヤヒヤしていると、男は気のせいか、と小さくつぶやきました。
「どうした?」
「いや・・・娘がかけているペンダントが一瞬光ったような気がしたんだが・・・気のせいみたいだ。」
ペンダントが?
生まれてから15年、ずっと首にかけていましたが光ったことなんて1度もありません。
「そのペンダントも上等そうだし、女とは別にして売り飛ばせばいいだろ。」
「そうだな。」
口元に布が寄せられる気配。
我慢できずに目を開けました。
「おい!こいつ起きてるぞ!」
「サッサと寝かせろ!そうすりゃ問題ねぇ!」
嫌・・・嫌です。
目を開けて、はっきりと視界に入ってきたのは、知らない場所、知らない人。
怖い、怖い、怖い、怖い・・・
「い・・・イヤーーーーー!!」
叫んだ瞬間、ピシリと硬質な音がしました。続いて金色の光が私を包み込みます。
安心するような、優しい光。
「これは・・・」
ピシピシピシ・・・パァーーーーン!
胸にかけていた神力制御のペンダントが割れ、私の体から、さらにまぶしい光が溢れ出して・・・
これは・・・私の、神力です。
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