92 / 105
高校生編 7月
お呼び出し
しおりを挟む
「桐谷 蒼来って女いる?」
萌黄くんからの忠告を受けた翌日、彼女はやってきた。
「私です。」
「ふうん。あなたが。」
立ち上がって彼女のもとへ行くと、品定めでもするようにジロジロと身体中を眺められた。
正直、とても居心地が悪い。
「ちょっとついてきて。」
これはあれだろうか。
世に言う有名な、お呼び出しイベント。
めんどくさい。
相手が相手だけに、余計めんどくさい。
心の中でめんどくさいを連呼しながら連れてこられたのは図書室。
体育館裏とかじゃないんだ。
まあ確かに、図書室に寄り付く人はとても少ないから、目撃者をつくりたくないのなら、賢明な判断だ。
言われることは大体予想がついている。
「あなた、光陰部のみんなに近づきすぎなのよ!」
でもさ・・・それ、あなたが言う?
私が言うのもなんだけど、私よりあなたの方が光陰部に近いとおもうよ?
とはとてもとても口に出せず。
「なんて言えば、いいですか?」
返答に困ったので、とりあえず相手に聞いてみる。
だって、はい、とか分かりました、とか言っても、もし今後関わってしまったら面倒なことになる。
かといって、あっちが絡んでくるんです、とか言っても、相手を逆上させるだけ。
なんて言うのが正解なのっ!?
だから聞いてみたのに。
「ふざけないでっ!」
パチン!と乾いた音がして、頬に熱さを感じた。
えっと、叩かれた?
ボーっとしてたからよけられなかったみたいだ。
「なんて言えばいいですか、ですって?バカにしないで!金輪際近づくなっていってるの!あなたはそれに従えばいいのよ!」
そんな無茶苦茶な。
「何様のつもり?何か言えばそれが必ず叶うとでも思ってるの?」
もしそうだとしたら、やばいよこの子。
「あたりまえじゃない!だって美桜はお姫様なのよ!?」
うわー、やばかった。
正真正銘のイタイ人だ。
「光陰部のみんなが美桜を好きになればいいの!それで美桜は王子様と結ばれるのよ!」
「王子様?」
言ってること矛盾してない?
結局1人の人と結ばれるのに、なんで光陰部全員から好かれたいの?
理解不能。
「カイ様のことよ!美桜はカイ様と結ばれて、他のみんなからも愛されるの!だからあなたは近づかないで!」
まさかのお兄ちゃんだった・・・
でも。
「それ、楽しい?」
「え?」
だーかーら!
「そんなことして楽しいの?不毛じゃない、そんなこと。それに、あなたは彼らをなんだと思ってるの?お人形か何かなわけ?」
「お人形?バカなこと言わないで。彼らは美桜の価値を上げるためのアクセサリーで、カイ様は王子様よ!」
・・・この子、正気?
本気でそんなこと思ってるの?
思わず目を剥いた。
だとしたら・・・許せない。
「本気でそんなこと言ってるの?・・・陽月 美桜さん。」
陽月 美桜。
光陰部の紅一点。
彼女もまた、女子生徒から妬まれる対象だ。
その実情は、妖怪から狙われやすい体質のため、保護下におかれているだけ。
確かに美少女ではあるけど、傲慢で我儘なその振る舞いに彼女を嫌う人は多い。
そんな彼女を、私は鋭く睨みつけた。
萌黄くんからの忠告を受けた翌日、彼女はやってきた。
「私です。」
「ふうん。あなたが。」
立ち上がって彼女のもとへ行くと、品定めでもするようにジロジロと身体中を眺められた。
正直、とても居心地が悪い。
「ちょっとついてきて。」
これはあれだろうか。
世に言う有名な、お呼び出しイベント。
めんどくさい。
相手が相手だけに、余計めんどくさい。
心の中でめんどくさいを連呼しながら連れてこられたのは図書室。
体育館裏とかじゃないんだ。
まあ確かに、図書室に寄り付く人はとても少ないから、目撃者をつくりたくないのなら、賢明な判断だ。
言われることは大体予想がついている。
「あなた、光陰部のみんなに近づきすぎなのよ!」
でもさ・・・それ、あなたが言う?
私が言うのもなんだけど、私よりあなたの方が光陰部に近いとおもうよ?
とはとてもとても口に出せず。
「なんて言えば、いいですか?」
返答に困ったので、とりあえず相手に聞いてみる。
だって、はい、とか分かりました、とか言っても、もし今後関わってしまったら面倒なことになる。
かといって、あっちが絡んでくるんです、とか言っても、相手を逆上させるだけ。
なんて言うのが正解なのっ!?
だから聞いてみたのに。
「ふざけないでっ!」
パチン!と乾いた音がして、頬に熱さを感じた。
えっと、叩かれた?
ボーっとしてたからよけられなかったみたいだ。
「なんて言えばいいですか、ですって?バカにしないで!金輪際近づくなっていってるの!あなたはそれに従えばいいのよ!」
そんな無茶苦茶な。
「何様のつもり?何か言えばそれが必ず叶うとでも思ってるの?」
もしそうだとしたら、やばいよこの子。
「あたりまえじゃない!だって美桜はお姫様なのよ!?」
うわー、やばかった。
正真正銘のイタイ人だ。
「光陰部のみんなが美桜を好きになればいいの!それで美桜は王子様と結ばれるのよ!」
「王子様?」
言ってること矛盾してない?
結局1人の人と結ばれるのに、なんで光陰部全員から好かれたいの?
理解不能。
「カイ様のことよ!美桜はカイ様と結ばれて、他のみんなからも愛されるの!だからあなたは近づかないで!」
まさかのお兄ちゃんだった・・・
でも。
「それ、楽しい?」
「え?」
だーかーら!
「そんなことして楽しいの?不毛じゃない、そんなこと。それに、あなたは彼らをなんだと思ってるの?お人形か何かなわけ?」
「お人形?バカなこと言わないで。彼らは美桜の価値を上げるためのアクセサリーで、カイ様は王子様よ!」
・・・この子、正気?
本気でそんなこと思ってるの?
思わず目を剥いた。
だとしたら・・・許せない。
「本気でそんなこと言ってるの?・・・陽月 美桜さん。」
陽月 美桜。
光陰部の紅一点。
彼女もまた、女子生徒から妬まれる対象だ。
その実情は、妖怪から狙われやすい体質のため、保護下におかれているだけ。
確かに美少女ではあるけど、傲慢で我儘なその振る舞いに彼女を嫌う人は多い。
そんな彼女を、私は鋭く睨みつけた。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画
一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。
私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。
攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって?
私は、執事攻略に勤しみますわ!!
っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。
※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。
転生お姫様の困ったお家事情
meimei
恋愛
前世は地球の日本国、念願の大学に入れてとても充実した日を送っていたのに、目が覚めたら
異世界のお姫様に転生していたみたい…。
しかも……この世界、 近親婚当たり前。
え!成人は15歳なの!?私あと数日で成人じゃない?!姫に生まれたら兄弟に嫁ぐ事が慣習ってなに?!
主人公の姫 ララマリーアが兄弟達に囲い込まれているのに奮闘する話です。
男女比率がおかしい世界
男100人生まれたら女が1人生まれるくらいの
比率です。
作者の妄想による、想像の産物です。
登場する人物、物、食べ物、全ての物が
フィクションであり、作者のご都合主義なので
宜しくお願い致します。
Hなシーンなどには*Rをつけます。
苦手な方は回避してくださいm(_ _)m
エールありがとうございます!!
励みになります(*^^*)
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる