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幼児編
報告
しおりを挟むとりあえず、カイお兄ちゃんが桁外れにすごい人だってことは分かった。
なら、リンさんやサキさん、ダイさんやリクさんはそういうのに慣れてるよね。
5歳児がフランス語の本読んでたり、大学で学ぶような専門的な勉強をしてても何とも思われないかも!
むしろ、なんだ、この程度か、って感じになるかもしれない。
じゃあ、堂々とみんなの前で勉強できるね。
5歳児を演じる必要はないんだ。
密かに胸をなで下ろす私に、リンさんが言う。
「ところでソラ様、カイ様がお帰りになられましたよ。」
え、早くない!?
今は3時半。
まあ、小学一年生の帰宅時刻ってこのくらいだった気がするような・・・
「カイお兄ちゃん、今玄関にいるかな?」
「ええ、いらっしゃいますよ。会いに行かれますか?」
「うん!」
部屋を出て、急いで玄関に行くと、ランドセルを下ろしたカイお兄ちゃんがいた。
「カイお兄ちゃん!お帰りなさい!」
駆け寄るとカイお兄ちゃんはそっと目を細めた。
「ただいま、ソラ。その服似合ってるね。かわいいよ。」
お兄ちゃんがさっき着替えた服を褒めてくれた。
私が妹だからなのかもしれないけど、カイお兄ちゃんは褒めるのが上手いなあと思った。
これで美少年なんだから、きっと将来はモテモテなんだろうな。
そう思いながらカイお兄ちゃんの美貌をじっと見ていると、不意に脇に手を入れられた。
そのままヒョイッと体が宙を浮く。
「うわあっ!!」
「ソラは軽いね。その服を着ているとなんだか妖精みたいに見えるよ。」
ふんわり笑って眩しそうに私を見上げるカイお兄ちゃん。
これはいわゆる、高い高いというやつでしょうか。
前世も含めて初めてされたよ、こんなこと。
この浮遊感、癖になっちゃいそう。
「カイお兄ちゃんも、制服着てもかっこいいね!」
カイお兄ちゃんは学校に行く直前でジンから制服に着替えていた。
時間がなかったので朝は伝えられなかったんだけど、すごくかっこいい。
勿論、ジンを着ている時は凛々しくてかっこいいんだけど、制服だとまた違った良さがある。
「ソラ、今日は何してたの?」
私を床に下ろしてから、カイお兄ちゃんは尋ねる。
「えっと、家の中を見て回った後は、ずっと図書室にいたの。それでついさっき、リンさんとサキさんが呼びに来たからお部屋に入ってみたの。すっごく良い部屋だったんだよ!あ、カイお兄ちゃん、あのお部屋、私に使わせてくれてありがとう!」
自分の今日の行動を思い出しながら報告する。
うん、思い返してみれば、充実していて良い一日だったな。
カイお兄ちゃんはというと、なぜか困惑していた。
「ソラ、ずっと図書室にいて何してたの?」
「え、本を読んでたんだけど・・・」
図書室ですることなんて、本を読むくらいだろう。
なぜそんなことを尋ねられたのか不思議だったけど、とりあえず答えた。
するとカイお兄ちゃんはますます困惑した表情になって、私の手をとった。
「ちょっと来て。」
そのまま手を引かれてカイお兄ちゃんの後についていく。
私、なんかやらかしちゃった?
広がる不安を押さえつけて進む。
たどり着いた先は、図書室だった。
「ソラはどの本を読んだの?」
さっきと変わらず優しく暖かいお兄ちゃんの声と表情に、とりあえずダメなことをしたわけではなさそうだと安心する。
さっき私が読んでいた本は・・・
私、かなり長い時間図書室にいたんだよね。
そうだ、前世では本の読み過ぎと勉強のしすぎで視力が落ちちゃったんだ。
今回はそうならないように気をつけないと。
そんなことを思いながら私は目指す棚にたどり着いた。
「とりあえず、力について確認しておこうかなと思って。今日読んだのは、「朱雲家の歴史」と「能力者の歴史」、「能力者の力と術」、「使役獣」、「妖怪とは」、「能力者の名家一覧とその歴史」って言う本の6冊を読んだよ。全部手書きだったし、一冊一冊がけっこう分厚かったから読むスピードが遅くなっちゃったんだけど・・・それがどうかしたの?もしかして、読んじゃいけない本だった?」
読んじゃいけない本とかって、あるのかな。
もし今日読んだ本がそうだったらどうしよう・・・
チラリとカイお兄ちゃんをの顔を伺うと、カイお兄ちゃんは目を丸くしてた。
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