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ハンター協会のビルを出たところで、エリカは今日の予定に思考を向ける。
軍を辞職した今、彼女の基本的な収入源はモンスター退治だ。 しかし、今後の方針について腰を据えて考える時間も欲しい。 《支配》への対策を練るにせよ、他国に移住するにせよ、落ち着いて考える時間が必要だ。
エリカはモンスター退治を休んで家に戻ることにした。
◇
自宅に戻り居間に入ると、シバー少尉がソファに寝っ転がって熱心に本を読んでいる。 『5分でわかる婚約破棄』とかいうハウツー本に違いない。 少尉は婚約もしていないくせにここ数日その本に夢中で、暇を見つけてはページをめくっている。
(あのタイトル絶対ウソだよね。 あんなに分厚いのに5分で読めるわけないじゃん)
エリカの帰宅にシバー少尉が一向に気付く様子がないので、エリカはベルを鳴らす。
チン(ただいま)
「あっ、お帰りなさいエリカさん。 早かったですね」
チン(ちょっと考え事をしようと思って)
「じゃあ、お茶を淹れてきましょう」
シバー少尉はソファから起き上がり台所へ向かった。
エリカはソファに置かれたハウツー本の隣に腰を下ろすと考え始める。
(《支配》の対策ねえ。 自宅を要塞のように改造するとか? 麻痺薬の解毒剤を口内に仕込んでおく? 手下をいっぱい雇うとか、毒見役を雇うとか... でも雇った人に裏切られたら? 社交スキルがゼロどころかマイナスの私には人心掌握なんて無理だし)
シバー少尉が紅茶セットとシュークリームをテーブルに置いてくれたのにも気づかずエリカは思考に没頭している。
(やっぱり完璧な《支配》対策なんて無いのよね。 クーララ王国みたいにファントムさんを大切にしてくれる国に移住するのがいいのかな? それとも、いっそザルス共和国の軍を支配しようかしら?)
「エリカさん、早く食べないとシュークリームの鮮度が落ちちゃいますよ?」
そう言われてエリカは目の前のシュークリームに気が付いた。
(あら、私の大好物シュークリームじゃない)
エリカは慌ててシュークリームに手を伸ばす。 そのとき、家の呼び鈴がシャリンシャリーンと音を立てた。 誰かが来たのだ。
「誰かしら」
シバー少尉がそう言って席を立つ。 エリカは伸ばしていた手でシュークリームをひっつかみ、口へ運んでパクリ。 とろ~りと甘いカスタード・クリームとふわっふわの生クリームの二段仕立てである。 お口いっぱいに溢れる幸せをエリカは噛みしめる。
(甘~い。 美味しいー。 しあわせー)
もぐもぐごっくん、嗚呼おいしい。 香り高い紅茶で口の中をすすぎ、シュークリームをもう一口。 エリカの体の芯にまだ残る昨日の疲労が、シュークリームの甘さに癒されていく。
(1日に何度も自殺って、やっぱり無茶なのね。 昨日の私はそれだけ追い詰められてたってことだけど)
シバー少尉が玄関から戻って来てエリカに声を掛ける。
「エリカさん、アリスちゃんがいらっしゃいましたよ」
◇
エリカが《支配》されているあいだアリスは当然のことながらエリカを避けていた。 しかし昨晩、ガブリュー大佐が無様に気絶している姿を見たり、広場に集まった群衆の会話を聞いたりして、彼女はエリカが《支配》から解放されたことを確信した。 というわけで、今日アリスはエリカの家にやって来たのだ。
エリカとアリスがベルで会話を始める。
チン(ほんと久しぶりね、アリスちゃん)
チン?(エリカさん《支配》から解放されたんですね?)
チン(ええ、自殺と気合いで乗り越えたの)
チン?(自殺?)
エリカはアリスに、ファントムさんが不死身であること、そして自殺 ―おそらくは頭部破壊― で《支配》が緩むことを教えてやった。
チン(今後の参考に覚えておいてね?)
チン(はい。 でも私には自殺なんて無理っぽいです)
チン?(前世じゃ自殺だったんでしょう?)
チン...(それはそうですけど。 あのときはホント辛かったから...)
エリカもアリスも前世での辛かった最後を思い出し、ベルを鳴らす手が止まる。
ベルの音が止んだタイミングでシバー少尉が告げる。
「ちょっとお買い物とかに行っていきますね」
◇
エリカとアリスの対話は続く。 久しぶりに会うので積もる話があるのだ。
チン?(万引きGメンは続けてるの? ちゃんと生活できてる?)
チン(Gメンは続けてますけど、生活費は心配です)
チン?(そう言えばアリスちゃん、今は軍の官舎には住んでないのよね?)
チン(エリカさんが《支配》されてからはハンター協会の仮眠室に住んでました。 けど、マロン君がクビになってから宿屋暮らしです)
チン?(ええと、マロン君のおかげで仮眠室に寝泊まりできてたってこと?)
チン(そうです。 で、マロン君がクビになったとき私も仮眠室に住めなくなって...)
それで今アリスは宿屋を利用している。 アリスの宿屋は一泊5千ゴールド。 一ヶ月の家賃が15万ゴールドにもなるので、万引きGメンの報酬20万ゴールドだけでは生活費が心許ない。
チン(宿屋だと高いでしょう。 部屋を借りなさいよ。 後で不動産屋さんを紹介してあげるわ)
◇
シバー少尉が買い物から戻ってきても、エリカとアリスはまだチンチンやっていた。
チン?(でね、ザルス共和国からクーララ王国に移住することも考えてるんだけど、もし私が移住するならアリスちゃんも一緒に来る?)
チン(一緒に行きます)
そのとき廊下でドサリと重たいものが落ちる音がした。
(何事かしら?)
居間のドアを開けて外を覗くと、シバー少尉が廊下に座り込み、床に落ちた食品をノロノロと袋に戻している。 さっきの物音は少尉が買い物袋を床に落とす音だったのだ。
チン?(シバー少尉、大丈夫? 何かあったの?)
「いえ、なんでもなくはないです」
そう答える少尉の顔色は優れない。 一体なにがあったのだろう?
チン?(拾うの手伝おっか?)
「大丈夫です。 私は1人でも生きていけますから。 生きて... いけますから」
エリカが見ている前でシバー少尉は食品を買い物袋に戻し終えると、これみよがしに「ハァー」っと深い溜息を1つついてトボトボと台所へ歩いて行った。
「なんなのよ、もう」
そうボヤきはしたが、エリカはシバー少尉がさりげなくもない意思表明で伝えたかったことを理解していた。 シバー少尉はエリカのベルチンを聞いていたのだ。 そして「クーララ王国に移住する」というエリカのプランに対し、自然なリアクションを作為的な言動で強化して抗議の意を示したのである。
(私がいなくなっても住む場所ぐらいあるでしょうに。 公務員としてちゃんと働いてるんだから)
◇
アリスはエリカに連れられて不動産屋でアパートを借りたあと、エリカの家で夕食を食べてアパートに帰っていった。
アリスの新しいアパートは南の商店街からそう遠くない場所である。 8畳間が1つにキッチンと浴室トイレが付いて家賃は月額6万ゴールド。 アリスは持ち物が少ないから引っ越しの手間もなく即日入居であった。
軍を辞職した今、彼女の基本的な収入源はモンスター退治だ。 しかし、今後の方針について腰を据えて考える時間も欲しい。 《支配》への対策を練るにせよ、他国に移住するにせよ、落ち着いて考える時間が必要だ。
エリカはモンスター退治を休んで家に戻ることにした。
◇
自宅に戻り居間に入ると、シバー少尉がソファに寝っ転がって熱心に本を読んでいる。 『5分でわかる婚約破棄』とかいうハウツー本に違いない。 少尉は婚約もしていないくせにここ数日その本に夢中で、暇を見つけてはページをめくっている。
(あのタイトル絶対ウソだよね。 あんなに分厚いのに5分で読めるわけないじゃん)
エリカの帰宅にシバー少尉が一向に気付く様子がないので、エリカはベルを鳴らす。
チン(ただいま)
「あっ、お帰りなさいエリカさん。 早かったですね」
チン(ちょっと考え事をしようと思って)
「じゃあ、お茶を淹れてきましょう」
シバー少尉はソファから起き上がり台所へ向かった。
エリカはソファに置かれたハウツー本の隣に腰を下ろすと考え始める。
(《支配》の対策ねえ。 自宅を要塞のように改造するとか? 麻痺薬の解毒剤を口内に仕込んでおく? 手下をいっぱい雇うとか、毒見役を雇うとか... でも雇った人に裏切られたら? 社交スキルがゼロどころかマイナスの私には人心掌握なんて無理だし)
シバー少尉が紅茶セットとシュークリームをテーブルに置いてくれたのにも気づかずエリカは思考に没頭している。
(やっぱり完璧な《支配》対策なんて無いのよね。 クーララ王国みたいにファントムさんを大切にしてくれる国に移住するのがいいのかな? それとも、いっそザルス共和国の軍を支配しようかしら?)
「エリカさん、早く食べないとシュークリームの鮮度が落ちちゃいますよ?」
そう言われてエリカは目の前のシュークリームに気が付いた。
(あら、私の大好物シュークリームじゃない)
エリカは慌ててシュークリームに手を伸ばす。 そのとき、家の呼び鈴がシャリンシャリーンと音を立てた。 誰かが来たのだ。
「誰かしら」
シバー少尉がそう言って席を立つ。 エリカは伸ばしていた手でシュークリームをひっつかみ、口へ運んでパクリ。 とろ~りと甘いカスタード・クリームとふわっふわの生クリームの二段仕立てである。 お口いっぱいに溢れる幸せをエリカは噛みしめる。
(甘~い。 美味しいー。 しあわせー)
もぐもぐごっくん、嗚呼おいしい。 香り高い紅茶で口の中をすすぎ、シュークリームをもう一口。 エリカの体の芯にまだ残る昨日の疲労が、シュークリームの甘さに癒されていく。
(1日に何度も自殺って、やっぱり無茶なのね。 昨日の私はそれだけ追い詰められてたってことだけど)
シバー少尉が玄関から戻って来てエリカに声を掛ける。
「エリカさん、アリスちゃんがいらっしゃいましたよ」
◇
エリカが《支配》されているあいだアリスは当然のことながらエリカを避けていた。 しかし昨晩、ガブリュー大佐が無様に気絶している姿を見たり、広場に集まった群衆の会話を聞いたりして、彼女はエリカが《支配》から解放されたことを確信した。 というわけで、今日アリスはエリカの家にやって来たのだ。
エリカとアリスがベルで会話を始める。
チン(ほんと久しぶりね、アリスちゃん)
チン?(エリカさん《支配》から解放されたんですね?)
チン(ええ、自殺と気合いで乗り越えたの)
チン?(自殺?)
エリカはアリスに、ファントムさんが不死身であること、そして自殺 ―おそらくは頭部破壊― で《支配》が緩むことを教えてやった。
チン(今後の参考に覚えておいてね?)
チン(はい。 でも私には自殺なんて無理っぽいです)
チン?(前世じゃ自殺だったんでしょう?)
チン...(それはそうですけど。 あのときはホント辛かったから...)
エリカもアリスも前世での辛かった最後を思い出し、ベルを鳴らす手が止まる。
ベルの音が止んだタイミングでシバー少尉が告げる。
「ちょっとお買い物とかに行っていきますね」
◇
エリカとアリスの対話は続く。 久しぶりに会うので積もる話があるのだ。
チン?(万引きGメンは続けてるの? ちゃんと生活できてる?)
チン(Gメンは続けてますけど、生活費は心配です)
チン?(そう言えばアリスちゃん、今は軍の官舎には住んでないのよね?)
チン(エリカさんが《支配》されてからはハンター協会の仮眠室に住んでました。 けど、マロン君がクビになってから宿屋暮らしです)
チン?(ええと、マロン君のおかげで仮眠室に寝泊まりできてたってこと?)
チン(そうです。 で、マロン君がクビになったとき私も仮眠室に住めなくなって...)
それで今アリスは宿屋を利用している。 アリスの宿屋は一泊5千ゴールド。 一ヶ月の家賃が15万ゴールドにもなるので、万引きGメンの報酬20万ゴールドだけでは生活費が心許ない。
チン(宿屋だと高いでしょう。 部屋を借りなさいよ。 後で不動産屋さんを紹介してあげるわ)
◇
シバー少尉が買い物から戻ってきても、エリカとアリスはまだチンチンやっていた。
チン?(でね、ザルス共和国からクーララ王国に移住することも考えてるんだけど、もし私が移住するならアリスちゃんも一緒に来る?)
チン(一緒に行きます)
そのとき廊下でドサリと重たいものが落ちる音がした。
(何事かしら?)
居間のドアを開けて外を覗くと、シバー少尉が廊下に座り込み、床に落ちた食品をノロノロと袋に戻している。 さっきの物音は少尉が買い物袋を床に落とす音だったのだ。
チン?(シバー少尉、大丈夫? 何かあったの?)
「いえ、なんでもなくはないです」
そう答える少尉の顔色は優れない。 一体なにがあったのだろう?
チン?(拾うの手伝おっか?)
「大丈夫です。 私は1人でも生きていけますから。 生きて... いけますから」
エリカが見ている前でシバー少尉は食品を買い物袋に戻し終えると、これみよがしに「ハァー」っと深い溜息を1つついてトボトボと台所へ歩いて行った。
「なんなのよ、もう」
そうボヤきはしたが、エリカはシバー少尉がさりげなくもない意思表明で伝えたかったことを理解していた。 シバー少尉はエリカのベルチンを聞いていたのだ。 そして「クーララ王国に移住する」というエリカのプランに対し、自然なリアクションを作為的な言動で強化して抗議の意を示したのである。
(私がいなくなっても住む場所ぐらいあるでしょうに。 公務員としてちゃんと働いてるんだから)
◇
アリスはエリカに連れられて不動産屋でアパートを借りたあと、エリカの家で夕食を食べてアパートに帰っていった。
アリスの新しいアパートは南の商店街からそう遠くない場所である。 8畳間が1つにキッチンと浴室トイレが付いて家賃は月額6万ゴールド。 アリスは持ち物が少ないから引っ越しの手間もなく即日入居であった。
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