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第1部 勇者令嬢アキラ
第19話 メフィストって誰?
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「目的は何? 私に復讐したいの?」
私はオリビアが不審な動きをしないように注意を払いながら、彼女を問い詰める。
「ふふっ。わかってるじゃない? なら話しは早いわ。ここで土下座しなさい、アーキュラ。そうすれば、石になった人は元に戻してあげる。見たんでしょ、あの芸術品を」
「やっぱりあれは、あんたが......!」
ニマァッと邪悪な笑みを浮かべるオリビア。
「ほらほら、早く土下座しなさいよ。安いもんでしょ、あんたの土下座で済むなんて。それでみんなが救われるのよ」
「くっ......!」
悔しい......。でも、それでみんなが助かるなら......!
私はゆっくりと両膝を床につけ、それから両手を床に付けた。
「これでいい?」
私は顔を上げ、オリビアを見る。彼女の顔は醜く歪み、鬼のような形相になっていた。
「はぁ!? あんたふざけてんの!? そんなのは土下座じゃあないわ! ちゃんと頭を床に擦りつけなさいよ! そしてこう言いなさい! スミス王子を寝とってすいませんでした、ってね!」
スミスは私の幼馴染で、婚約者だったのよ! 寝とったのはあんたでしょーが! と言う言葉をぐっと飲み込む。
今は私のプライドなんてどうでもいい。みんなを......スカイフォール王国を救う事が先決だ。私は床にゴリゴリと額を擦り付けた。
「スミス王子を、寝とってすいませんでしたぁ!」
いっそ清々しい。ぶっちゃけスミスとか、もうどうでもいいんだけど。
「あっははは! いい気味だわ! ざまぁみろ! ばーか! はぁー、すっきりしたぁ!」
オリビアは腹を抱えて私を指差し、ゲラゲラと笑った。
「これでいいでしょ! 早くみんなを元に戻して!」
笑い続けるオリビアに痺れを切らし、私は土下座したまま叫んだ。
「あはははっ、はぁ、はぁ、お腹痛い。あー、ごめん無理。私、戻し方がわからないもの」
「何ですって!? 騙したわね、このビッチが!」
「誰がビッチよ! ビッチはあんたでしょうが! この尻軽女!」
「はぁ!? 何を根拠にそんな......!」
「メフィストが教えてくれたもの! 全部ね! あんたがスミスの気持ちを利用して、彼を散々傷つけたって! 一途な彼を裏切って、浮気しまくってる事も、教えてくれたんだから!」
メフィスト......!?
「何の事!? 私、そんな事してない! 全然知らないわ!」
「嘘つくんじゃないわよ! メフィストが言ったもの! 私しかスミスを救えないって! スミスは私を愛するのが、一番幸せなんだって! だからあの薬をくれた! 愛の妙薬を!」
愛の妙薬......! スミスを惑わせた惚れ薬。私はその存在を突き止めて、オリビアを追い詰めた。スミスは私の元へ戻ってきたけど、私はスミスへの愛情はすっかり失せていた。結局、よりを戻す事はなかったのだ。
それから少しして、オリビアが自殺したとの噂が耳に入った。私はオリビアを憎んでいたが、少しだけ彼女を哀れに思った。
だが、メフィストと言う謎の人物が裏に居たとなれば話は違う。オリビアも被害者なのだ。
だが、わからない。メフィストなる人物の、目的はなんだ?
「オリビア!」
「何よ!」
私は猛然と立ち上がった。オリビアの顔は、すぐ近くにある。
「【強制夢喰い】!」
「なっ......!?」
私はほとんど頭突きのように、オリビアの額に自分の額をくっつけた。相手の許可がなくても、強制的に夢を見せて、それを食べる。それが【強制夢喰い】だ。
「あんたの記憶、ちょっと覗かせてもらうわよ!」
「ちょっ、ふざけんじゃあないわ......よ......」
オリビアの体の力が抜け、ぐったりと体勢を崩す。私はそれを受け止めつつ、彼女をベッドに押し倒す。
【夢喰い】のスキルは自分も眠ってしまう為、完全に無防備になってしまうのが弱点だ。
だけど部屋の外にはジャクソンがいる。彼ならきっと......私を......守ってくれる......。
私はオリビアが不審な動きをしないように注意を払いながら、彼女を問い詰める。
「ふふっ。わかってるじゃない? なら話しは早いわ。ここで土下座しなさい、アーキュラ。そうすれば、石になった人は元に戻してあげる。見たんでしょ、あの芸術品を」
「やっぱりあれは、あんたが......!」
ニマァッと邪悪な笑みを浮かべるオリビア。
「ほらほら、早く土下座しなさいよ。安いもんでしょ、あんたの土下座で済むなんて。それでみんなが救われるのよ」
「くっ......!」
悔しい......。でも、それでみんなが助かるなら......!
私はゆっくりと両膝を床につけ、それから両手を床に付けた。
「これでいい?」
私は顔を上げ、オリビアを見る。彼女の顔は醜く歪み、鬼のような形相になっていた。
「はぁ!? あんたふざけてんの!? そんなのは土下座じゃあないわ! ちゃんと頭を床に擦りつけなさいよ! そしてこう言いなさい! スミス王子を寝とってすいませんでした、ってね!」
スミスは私の幼馴染で、婚約者だったのよ! 寝とったのはあんたでしょーが! と言う言葉をぐっと飲み込む。
今は私のプライドなんてどうでもいい。みんなを......スカイフォール王国を救う事が先決だ。私は床にゴリゴリと額を擦り付けた。
「スミス王子を、寝とってすいませんでしたぁ!」
いっそ清々しい。ぶっちゃけスミスとか、もうどうでもいいんだけど。
「あっははは! いい気味だわ! ざまぁみろ! ばーか! はぁー、すっきりしたぁ!」
オリビアは腹を抱えて私を指差し、ゲラゲラと笑った。
「これでいいでしょ! 早くみんなを元に戻して!」
笑い続けるオリビアに痺れを切らし、私は土下座したまま叫んだ。
「あはははっ、はぁ、はぁ、お腹痛い。あー、ごめん無理。私、戻し方がわからないもの」
「何ですって!? 騙したわね、このビッチが!」
「誰がビッチよ! ビッチはあんたでしょうが! この尻軽女!」
「はぁ!? 何を根拠にそんな......!」
「メフィストが教えてくれたもの! 全部ね! あんたがスミスの気持ちを利用して、彼を散々傷つけたって! 一途な彼を裏切って、浮気しまくってる事も、教えてくれたんだから!」
メフィスト......!?
「何の事!? 私、そんな事してない! 全然知らないわ!」
「嘘つくんじゃないわよ! メフィストが言ったもの! 私しかスミスを救えないって! スミスは私を愛するのが、一番幸せなんだって! だからあの薬をくれた! 愛の妙薬を!」
愛の妙薬......! スミスを惑わせた惚れ薬。私はその存在を突き止めて、オリビアを追い詰めた。スミスは私の元へ戻ってきたけど、私はスミスへの愛情はすっかり失せていた。結局、よりを戻す事はなかったのだ。
それから少しして、オリビアが自殺したとの噂が耳に入った。私はオリビアを憎んでいたが、少しだけ彼女を哀れに思った。
だが、メフィストと言う謎の人物が裏に居たとなれば話は違う。オリビアも被害者なのだ。
だが、わからない。メフィストなる人物の、目的はなんだ?
「オリビア!」
「何よ!」
私は猛然と立ち上がった。オリビアの顔は、すぐ近くにある。
「【強制夢喰い】!」
「なっ......!?」
私はほとんど頭突きのように、オリビアの額に自分の額をくっつけた。相手の許可がなくても、強制的に夢を見せて、それを食べる。それが【強制夢喰い】だ。
「あんたの記憶、ちょっと覗かせてもらうわよ!」
「ちょっ、ふざけんじゃあないわ......よ......」
オリビアの体の力が抜け、ぐったりと体勢を崩す。私はそれを受け止めつつ、彼女をベッドに押し倒す。
【夢喰い】のスキルは自分も眠ってしまう為、完全に無防備になってしまうのが弱点だ。
だけど部屋の外にはジャクソンがいる。彼ならきっと......私を......守ってくれる......。
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