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第1部 勇者令嬢アキラ
第18話 ディアナを救出。
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王城の中を、リーファを探して走る私とジャクソン。
謁見の間や大広間、王家の私室などを次々捜索していく。もちろんリーファの部屋も見た。だが中々見つからない。王城内はとてつもなく広いのだ。
走りながら、リーファの姿をしたビッチ、オリビアの事を考えた。
オリビアはおそらく、私を幽閉して処刑するつもりだったのだ。その為に勇者ヨシオを召喚させた。
だがジャクソンの存在は、彼女にとって誤算だった。私が脱獄した事を知り、オリビアは方針を変更した。
私の大切ものを奪い、精神的に追い詰めようとしているのだ。城内でも多くの人々が石像へと変えられていた。彼らの苦悶の表情は、確かに私の精神を蝕む。罪悪感に押しつぶされそうだった。
私のせいで......! ごめんなさい、みんな......!
その場に泣き崩れそうになるのを懸命に堪え、私はオリビアの捜索を続けた。
きっとディアナはオリビアと一緒にいる。早く見つけなければ、彼女の身が心配だ。
「どこにいるのオリビア! 私はここよ! 出てきなさい!」
喉が張り裂けそうなほど叫ぶ。だが返事はない。生きた物のいない空間で、静けさだけが返ってくる。
「輪廻転生というものに、僕は懐疑的でしたが......本当にあるんですね、生まれ変わりって」
ジャクソンは息を切らす事もなく走り続け、閉ざされた扉を体当たりで強引に開けていく。
「私もユミルの夢の意味をずっと考えていたけど......そう考えれば納得が行くんだ」
可能性の高い部屋から捜索して行ったが、オリビアの姿は見えなかった。残るは私とディアナの寝室だ。
「失礼します!」
ジャクソンがドォンと体当たりし、寝室の扉を開ける。
「あら、お帰りなさい、お父様」
「お帰りなさい、あなた」
リーファとディアナが、そこには居た。二人はベッドに腰掛け、普段と変わらぬ様子で私を出迎えた。一瞬、錯覚に陥る。私は何をしていたのだろう、と。
だがすぐに我に帰る。普段と変わらぬ様子なのはおかしい、と。何故なら今の私はおっさんではなく、美少女なのだ。
「アキラ様......」
ジャクソンが戸惑っている。私は彼を右手で制した。様子を見よう、という意味だ。
「ふふっ、ねぇ見て、お父様。私が五歳の頃、画家に描いてもらった絵。お父様とお母様がいて、真ん中に私が立っている。この日、初めて私は馬に乗せてもらった。少し怖かったけど、楽しかったなぁ」
壁にかけられた絵画を見つめながら、リーファが微笑む。ディアナも同様に、絵を見つめていた。
「リーファったら、何度も馬に乗りたがって......中々帰りませんでしたわね。私はいつ馬から落ちてしまうかと、ヒヤヒヤしましたわ」
ディアナは私を振り返り、クスクスと笑った。そう言えば、ヨシオはクラウドにスキルを封印された筈。ディアナは正気に戻ったんだ。だが彼女は知らない。リーファが邪悪な、前世の記憶を取り戻している事を。
「こっちにおいでディアナ。リーファから離れるんだ」
私はディアナを信用する。彼女に企みはない。リーファとグルではない筈だ。ディアナは私が女だった事を知っている。というか、彼女の為に私は女から男になったのだし。
だが、リーファは私が女だった事を知らない。なのに私をお父様と呼ぶ。それはどう考えてもおかしい。
やはりユミルの夢は間違いない。リーファはオリビアが転生した子なのだ。私に復讐する為に、こんな手の込んだ事をしているのだ。
ディアナは戸惑いながらも、リーファから離れて私の元へとやって来た。
「ディアナ......! 無事でよかった......!」
私はディアナを強く抱きしめる。だがディアナは当然、戸惑うばかりだ。
「あなた、一体どういう事ですの?」
目を丸くするディアナの髪を撫で、私は微笑む。
「少しリーファと話したいんだ。二人っきりでね。ジャクソン、ディアナを頼む」
「わかりました、アキラ様。ディアナ様、こちらへ」
ジャクソンは彼女を連れて、部屋の外へ出る。よし、ひとまずディアナの安全は確保出来た。
「私が何故ここに来たのか......わかってるわよね、オリビア!」
私は怒りで声が震えた。
「ふふっ、そんなにいきり立たないでよ、アーキュラ。相変わらず下品ねぇ」
オリビアはベッドから立ち上がって、スカートの両端を持つ。そして片足を下げ、首を傾げてお辞儀をした。
「淑女ならば作法を守らなくては。ねぇ?」
まだ十歳のリーファ。私の可愛い娘。だがその話し方も仕草も、あの邪悪な公爵令嬢、オリビアそのものだった
謁見の間や大広間、王家の私室などを次々捜索していく。もちろんリーファの部屋も見た。だが中々見つからない。王城内はとてつもなく広いのだ。
走りながら、リーファの姿をしたビッチ、オリビアの事を考えた。
オリビアはおそらく、私を幽閉して処刑するつもりだったのだ。その為に勇者ヨシオを召喚させた。
だがジャクソンの存在は、彼女にとって誤算だった。私が脱獄した事を知り、オリビアは方針を変更した。
私の大切ものを奪い、精神的に追い詰めようとしているのだ。城内でも多くの人々が石像へと変えられていた。彼らの苦悶の表情は、確かに私の精神を蝕む。罪悪感に押しつぶされそうだった。
私のせいで......! ごめんなさい、みんな......!
その場に泣き崩れそうになるのを懸命に堪え、私はオリビアの捜索を続けた。
きっとディアナはオリビアと一緒にいる。早く見つけなければ、彼女の身が心配だ。
「どこにいるのオリビア! 私はここよ! 出てきなさい!」
喉が張り裂けそうなほど叫ぶ。だが返事はない。生きた物のいない空間で、静けさだけが返ってくる。
「輪廻転生というものに、僕は懐疑的でしたが......本当にあるんですね、生まれ変わりって」
ジャクソンは息を切らす事もなく走り続け、閉ざされた扉を体当たりで強引に開けていく。
「私もユミルの夢の意味をずっと考えていたけど......そう考えれば納得が行くんだ」
可能性の高い部屋から捜索して行ったが、オリビアの姿は見えなかった。残るは私とディアナの寝室だ。
「失礼します!」
ジャクソンがドォンと体当たりし、寝室の扉を開ける。
「あら、お帰りなさい、お父様」
「お帰りなさい、あなた」
リーファとディアナが、そこには居た。二人はベッドに腰掛け、普段と変わらぬ様子で私を出迎えた。一瞬、錯覚に陥る。私は何をしていたのだろう、と。
だがすぐに我に帰る。普段と変わらぬ様子なのはおかしい、と。何故なら今の私はおっさんではなく、美少女なのだ。
「アキラ様......」
ジャクソンが戸惑っている。私は彼を右手で制した。様子を見よう、という意味だ。
「ふふっ、ねぇ見て、お父様。私が五歳の頃、画家に描いてもらった絵。お父様とお母様がいて、真ん中に私が立っている。この日、初めて私は馬に乗せてもらった。少し怖かったけど、楽しかったなぁ」
壁にかけられた絵画を見つめながら、リーファが微笑む。ディアナも同様に、絵を見つめていた。
「リーファったら、何度も馬に乗りたがって......中々帰りませんでしたわね。私はいつ馬から落ちてしまうかと、ヒヤヒヤしましたわ」
ディアナは私を振り返り、クスクスと笑った。そう言えば、ヨシオはクラウドにスキルを封印された筈。ディアナは正気に戻ったんだ。だが彼女は知らない。リーファが邪悪な、前世の記憶を取り戻している事を。
「こっちにおいでディアナ。リーファから離れるんだ」
私はディアナを信用する。彼女に企みはない。リーファとグルではない筈だ。ディアナは私が女だった事を知っている。というか、彼女の為に私は女から男になったのだし。
だが、リーファは私が女だった事を知らない。なのに私をお父様と呼ぶ。それはどう考えてもおかしい。
やはりユミルの夢は間違いない。リーファはオリビアが転生した子なのだ。私に復讐する為に、こんな手の込んだ事をしているのだ。
ディアナは戸惑いながらも、リーファから離れて私の元へとやって来た。
「ディアナ......! 無事でよかった......!」
私はディアナを強く抱きしめる。だがディアナは当然、戸惑うばかりだ。
「あなた、一体どういう事ですの?」
目を丸くするディアナの髪を撫で、私は微笑む。
「少しリーファと話したいんだ。二人っきりでね。ジャクソン、ディアナを頼む」
「わかりました、アキラ様。ディアナ様、こちらへ」
ジャクソンは彼女を連れて、部屋の外へ出る。よし、ひとまずディアナの安全は確保出来た。
「私が何故ここに来たのか......わかってるわよね、オリビア!」
私は怒りで声が震えた。
「ふふっ、そんなにいきり立たないでよ、アーキュラ。相変わらず下品ねぇ」
オリビアはベッドから立ち上がって、スカートの両端を持つ。そして片足を下げ、首を傾げてお辞儀をした。
「淑女ならば作法を守らなくては。ねぇ?」
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