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190.ありがとうじゃ足りない
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「あ、……いや……」
於兎はあゆたのチョーカーに驚いていなかった。チョーカーのことも深入りしてこない。
「すまん、何も聞いてこないなって、意外だ」
ゴシップ好きな面もある於兎だ。素直に白状したあゆたに苦笑した。
「チョーカー、誰かのプレゼントでしょ? あゆたくんブランド名も知らないぐらいだし」
察しがよくて助かる。
「……うん、実は、そうなんだ」
「センシティブなことでしょ? 誰にだって人には言いたくない秘密の一つや二つあるよ」
「別に、秘密ってわけじゃない」
あゆたがぎゅっと於兎の手を握ると、於兎は嬉しそうに頬を緩めた。
「うん、あゆたくんが紹介してくれるの待ってる。そのチョーカーの贈り主のこと」
於兎は子供っぽいのに、本当はとても大人びた考えの持ち主だ。踏み込まれたくないことには不用意に触れないでいてくれる。
そういう於兎だから、あゆたは暢気に友人として付き合ってこれたのだろう。於兎の人徳だ。
「於兎、俺は勝手にお前のことを親友だと思っている」
真顔できっぱりというと、於兎は頬を染めて頷いた。
「えへへ、改めて口にされると照れくさいや。僕もだよ、一番のお友達だよ」
顔を見合わせて、あゆたもふっと肩の力を抜いた。
「……いつか、なんかで於兎が困ったら、一番に助けにいく」
「ふふ、ありがとう、あゆたくん」
「すぐに於兎を紹介したいって、確認する。待っててくれ」
「うん。さ、急ごう、予鈴鳴っちゃうよ」
あゆたは感動でほとんど泣きそうになっていた。発情期のせいでホルモンバランスが乱れているのかもしれない。嬉しくて唇をむぐむぐさせながらあゆたは階段を登った。
於兎はあゆたのチョーカーに驚いていなかった。チョーカーのことも深入りしてこない。
「すまん、何も聞いてこないなって、意外だ」
ゴシップ好きな面もある於兎だ。素直に白状したあゆたに苦笑した。
「チョーカー、誰かのプレゼントでしょ? あゆたくんブランド名も知らないぐらいだし」
察しがよくて助かる。
「……うん、実は、そうなんだ」
「センシティブなことでしょ? 誰にだって人には言いたくない秘密の一つや二つあるよ」
「別に、秘密ってわけじゃない」
あゆたがぎゅっと於兎の手を握ると、於兎は嬉しそうに頬を緩めた。
「うん、あゆたくんが紹介してくれるの待ってる。そのチョーカーの贈り主のこと」
於兎は子供っぽいのに、本当はとても大人びた考えの持ち主だ。踏み込まれたくないことには不用意に触れないでいてくれる。
そういう於兎だから、あゆたは暢気に友人として付き合ってこれたのだろう。於兎の人徳だ。
「於兎、俺は勝手にお前のことを親友だと思っている」
真顔できっぱりというと、於兎は頬を染めて頷いた。
「えへへ、改めて口にされると照れくさいや。僕もだよ、一番のお友達だよ」
顔を見合わせて、あゆたもふっと肩の力を抜いた。
「……いつか、なんかで於兎が困ったら、一番に助けにいく」
「ふふ、ありがとう、あゆたくん」
「すぐに於兎を紹介したいって、確認する。待っててくれ」
「うん。さ、急ごう、予鈴鳴っちゃうよ」
あゆたは感動でほとんど泣きそうになっていた。発情期のせいでホルモンバランスが乱れているのかもしれない。嬉しくて唇をむぐむぐさせながらあゆたは階段を登った。
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