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目本でなにしよう会議

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「……さて、今後の事をどうするかだが」

 俺たちは今、イギニスのスパイマスター、シンシアが用意した場所にいる。

 ここは表向きは、イギニスから輸入したお洒落な雑貨を扱う商社だ。
 しかしその実態は、目本で活動するスパイたちの拠点になっている。

 その地下にある秘密のお部屋で、俺たちはイギニスでやったよう時のように、ホワイトボードを前に、皆の意見を集めている。

 俺はホワイトボードの上にマジックペンの先を走らせ、キュキュっと「目本で何をしよう?」と書き込んだ。

 ホワイトボードの前に居るのはいつものポトポトの妖怪たち。
 ミリア、デドリー、ロイ、ポルシュ。
 そして新しく加わったのが、インダのリューに、イギニスのシンシアだ。

 まあ大所帯になったもんだ。

「……まずは私からだ。最初に目本へ来た理由となった、大きな目的から行こう」

 俺はホワイトボードに文字を書き込む。
 まずは「目本の宗教団体、『セカヘイ』をやっつける」これだな。

 正式名称の「世界家族化平和協会《せかいかぞくかへいわきょうかい》」が長すぎるんよ。15文字超えるとプラットフォームによってはルビが振れなくなるものもあるんだぞ。

 まあそれはいいや。

「……これが我々が目本を訪れた目的だ。これの為に、あらゆる手段を用いる」

「単純に、セカヘイの拠点を襲撃して灰にすればいいのではないか?」

 言葉を発したのはリューだ。

 俺はその意見「セカヘイの拠点を灰にする」をそのままホワイトボードに書き込んだ。こういった会議で重要なのは、意見をどれだけ出すかだ。

 それが明らかに破天荒な意見でも、否定してはいけない。
 シンプルな事実。それが事態を切り開くきっかけになる事はよくあることだ。

「なら、セカヘイの拠点を突き止めねばなりませんね?」

 うむ、デドリーの意見はもっともだ。なのでこれを書き入れる。

「ええ、セカヘイの拠点を知ってる人を探し出す、これが当座の目的になりますね」

 俺はシンシアの言葉を要約して、線でその前の意見とつなげた。
 そうだ、「拠点を知る人を探す」。これが今俺たちのすべきことだ。

「……ということは、イギニスのスパイ網をもってしても、未だに本当の拠点がどこにあるのか、それが解っていないという事だな?」

「その通りです閣下。セカヘイの総本部は、信者ならば誰もが知るところです」

「しかしそこは、セカヘイが主催するイベントを行うための場所であり、実際はイベント会場なのです」

「……なるほど、見えてきたぞ。セカヘイのトップである、「ファーザー」の所在は一部の物を除いて、誰も知らないのだな?」

「はい……ファーザー。その名前だけの存在が、我々イギニスのスパイ網をもってしても、捕捉できないのです」

 俺は「ファーザーの情報を手に入れる」と書き入れた。

「……そこで我々は多額の献金をして、直接ファーザーに接触しようとしている。これはつまりどういう事かというとだ……」

 俺は「セカヘイの拠点」と「ファーザー」を線で結んだ。

「ケケ!つまり、献金でファーザーに会って、その場でぶちのめせば、それが一番手っ取り早いってことでげすね!」

「……うむ。ファーザーの居るところ、ようはそこがセカヘイの拠点だからな」

「セカヘイとはセイを通して、コンタクトを取るという事で決まりですね」

 シンシアがこの場での意見のまとめになる発言をした。
 うむ、確かにそうなるな……。

「……あとは、情報を収集したい。セカヘイがこの目本でどのような立ち位置にあるか、また目本がどのような国なのか、シンシアに詳しく説明してもらおう」

「承知しました。では、機人様に以前お渡しした目本とセカヘイの資料、それをもとに説明いたしましょう」

 俺はホワイトボードを縦にひっくり返して、真っ白な裏面を表にした。

 シンシアは俺の代わりにホワイトボードに立って、書き込みながら説明を始めた。

 ボードをフルに活用するには、彼女の身長が足らないので、踏み台の箱使うのだが、それを動かしたりするのは俺とミリアの役目になった。

 しかしまあ、シンシアの口からは、目本のとんでもない現状についての内容がバンバン飛び出してきた。いやほんとこれ、目本、大丈夫かあ?
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