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トワレ家の現在

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ミランダは王都に戻り久しぶりにゆっくりとしていた、

疲労困憊でヘロヘロな3人は帰りの馬車で見事に馬車酔いをしてしまい大変だった

どうにか王都に着いて別れ際 

「お休み出来る期間はのんびりするわ!」

と、普段元気なサリーナがつぶやいて、カルロスとミランダも大きく同意して頷き別れた。


振り返ってみたら、何を向きになって働きまくっていたのだろう、仕事の内容は選ばないと体を壊してからでは取り返しがつかなくなるわ 幸い、今までの貯金もあるし
手をつけていない親からの財産もある 

少し落ちついて、自分を大事にしようと思える機会になった、

もう、いいじゃない 過去の事で傷つき続ける必要はないわ



叔父さまに久しぶりに手紙を書いた

『叔父様お元気ですか?』

内容は挨拶程度の内容だけど、アルカナンの街でサイラス子爵令息から聞いた話しが、気になっていた

宛名はただのミランダ  今のトワレ家の従者が取り継ぐかわからないけどと、思いながら送る

ミランダは叔父に対しては嫌な思い出はない、叔父は物静かな人で、対照的に夫人は賑やかなひとだった 



まさか、次の日に返事が来るとは思っていなかったのでミランダは驚いた

『ミランダから手紙を貰いとても嬉しいよ、
一度会って話がしたい トワレ家へ来てくれないか?』

この日は大丈夫か?と日付けも書かれていた 

時間もあることだしミランダは久しぶりにトワレ家に行って見ることにした








久しぶりのトワレ家の邸宅は 見事に古びていた  庭も草刈りはされているが
ミランダの記憶にある庭では無かった

「ずいぶんと、変わったのね」


応接室に通されソファに座り待っていると
扉が開いて叔父が入ってきた

「ミランダ久しぶりだね、ああ、義姉さんにそっくりだ 」

「叔父様、ご無沙汰しております お元気でしたか?」
 
やつれて、年老いた叔父の姿がそこにはあった 


「ミランダお前にはすまない事をしたと思っているんだ 両親を亡くしてすぐ君を追い出す事になってしまって」

「いえ、叔父さま 私は薬師学校に行くと決めていたので」

「そうじゃないんだよ、貴族の籍を奪ってしまったことを言っているんだ、貴族のまま薬師になれたのにそうさせなかった」 

「私は次男で子爵を継ぐことはないからと、好きなように成長してしまってね、あまりにも無知だったんだ それが今のトワレ家の衰退になってしまった せっかく兄さんが築きあげたものを私が台無しにしてしまった・・」

「叔母さま達は今どうされているのですか?」
叔父には私と同じ歳の娘と2歳下の息子がいる

「もう,とっくに離縁したよ 勘違いした義両親と共にこの国じゃ商売が出来なくなって他国に渡ったときいてるよ 娘と息子も一緒にな 」

「そんな・・じゃあトワレ家は叔父様の代で爵位は終わりに?」

「ああ、遠縁の者も探したが継げる男性はいないんだ」

「ただ、ひとつだけミランダ、君が籍を貴族に戻せば繋がる道はある」

「え?私は女ですよ?しかも離婚したし」

「離婚は問題ない、王家に嫁ぐ訳じゃないから純潔でなくていい!君が貴族籍に戻り、婿をとれば解決するし、子が生まれればまた爵位が続くし、できなければ養子を迎えればいい」

「え、えっと、叔父様が養子を迎えるのではいけないのですか?」

「それも考えたよ? だけどミランダがいるじゃないか、君を差し置いて赤の他人が継ぐのは認められないよ」

「誰に?」

「国王陛下に、認められないんだよ」

「それでは爵位を返すしか・・」

「それは私が死ねば自動的にそうなるよ、
勝手な事を言っていることは百も承知だ
考えてくれないか、領地は随分と縮小してしまったが、兄さんが力を入れていた領地はまだあるんだよ」

「父が力を入れていた領地?」

「薬草が豊富に取れる ナナルの村の領地だよ 兄からは君が薬師を目指すきっかけになった領地だときいているよ」

「ああ、あの村ね ええ、そう1度しかいっていないけど、薬草が豊富で薬師の人が薬にするのを見て魔法見たいと思ったのよ  

私も叔父様と同じね、自分は爵位は継げないからと一部の事しか見ていなかったわ
あそこに住む人達を守る事なんて、考えた事はなかったわ」

「仕方ないさ、女性は爵位は継げないからね、国の管理下に置かれても悪くはならないと思うが、ミランダ、君が薬師ならあの土地は手放さない方がいいと思う、考えてくれないか?」

「父が大切にしていた土地なのね?」

「ああ、そうだ」

「ふふ、私今仕事がひと段落して時間があるの、ナナルの村に行って見ようかしら?」

「そうか! それはいい、私も行くぞ
すぐに用意しよう」


叔父とはこんなに話すのは初めてで、驚いたけど、ナナルの村に興味はあったので行って見ることにした




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