上 下
1 / 5

おもらしフェイン13歳、スキルを授かる(改稿)

しおりを挟む
「おめでとう! キミのスキルは『漏』だよ! 初めて見るなぁ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーんんん!!!!!」

フェインは青色の髪を振り乱して膝から崩れ落ちた。
13歳の誕生日の事である。

「漏れですって・・・・・・おねしょの事かしら?」
「知ってる? あのフェインくんって子、12歳までおもらししてたのよ」
「えー、ウッソぉー!」

町の教会で神託を受けたフェインの周りで大人たちがざわつく。
ヒソヒソと話しているつもりなのだろうけど丸聞こえだ。

「―――かの英雄ユーゴスは女神ペトロに願いました。『この過酷な世界で牙もウロコも無い人間が生きていくには、あまりにも残酷です』女神は応えました。『良いでしょう。あなたがた人間が少しでも豊かな暮らしをするために力をあげましょう』」
13歳になると神々のギフトと呼ばれるスキルをひとつ受け取れるのだ。
「お話しされている司祭様、普段とギャップがあってステキね」
「―――そうして神から与えられる力、すなわちスキルは全ての人間へ与えられる神の恩寵となったのです」
フェイン・アルダートは、その授与式に出席していた。
壇上の水晶玉に古代アンギス王国公用語で『漏』という字が浮かび、白亜の壁に投射された。
まるで晒し者、あるいは公開処刑である。

「フェインって12歳までおもらししてたんだってよ」
「うへー、雷帝の貴公子とか名乗ってるクセにおもらして」
「おれ、フェインのファン辞めます」
「ファンなんていないだろ」

隠された秘密が当然のように友達にもバレていく。
これは、まさか『漏』の力・・・・・・?
フェインは自らに与えられた神の力(スキル)に恐怖した。
完全な錯覚だったけれど。
と、同時にもっとカッコよくて実用的なヤツが良かったと嘆く。

「今度からおもらし王子って呼んでやろうぜ」
「王子て」
「笑ってやるなよー。ビンボー貴族の御長男くんが泣いちゃうぜ?」
「ダメよー。かわいそうじゃない」

町の子ども達がゲラゲラ笑う中、幼なじみのチェルニーだけが庇ってくれる。
薄桃色の長めのツインテールに整った顔立ち、庇護欲の掻き立てられるような低身長、とは言っても13歳なので将来どうなるか分かったものでは無い。

「そういうのは本人のいないところで言いなさいよね」
「ヴッ!!!!!」

壇上で胸を押さえ唸る。
ガラスのハートが砕け散る。
フェインは人間不信に陥った。
シャイアンの町に生まれ、割と平凡に育ってきた彼に突如、襲い掛かった悲劇の日であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話

赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。 前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

周りの女子に自分のおしっこを転送できる能力を得たので女子のお漏らしを堪能しようと思います

赤髪命
大衆娯楽
中学二年生の杉本 翔は、ある日突然、女神と名乗る女性から、女子に自分のおしっこを転送する能力を貰った。 「これで女子のお漏らし見放題じゃねーか!」 果たして上手くいくのだろうか。 ※雑ですが許してください(笑)

おしっこ我慢が趣味の彼女と、女子の尿意が見えるようになった僕。

赤髪命
青春
~ある日目が覚めると、なぜか周りの女子に黄色い尻尾のようなものが見えるようになっていた~ 高校一年生の小林雄太は、ある日突然女子の尿意が見えるようになった。 (特にその尿意に干渉できるわけでもないし、そんなに意味を感じないな……) そう考えていた雄太だったが、クラスのアイドル的存在の鈴木彩音が実はおしっこを我慢することが趣味だと知り……?

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

俺は5人の勇者の産みの親!!

王一歩
ファンタジー
リュートは突然、4人の美女達にえっちを迫られる!? その目的とは、子作りを行い、人類存亡の危機から救う次世代の勇者を誕生させることだった! 大学生活初日、巨乳黒髪ロング美女のカノンから突然告白される。 告白された理由は、リュートとエッチすることだった! 他にも、金髪小悪魔系お嬢様吸血鬼のアリア、赤髪ロリ系爆乳人狼のテル、青髪ヤンデレ系ちっぱい娘のアイネからもえっちを迫られる! クラシックの音楽をモチーフとしたキャラクターが織りなす、人類存亡を賭けた魔法攻防戦が今始まる!

処理中です...