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3 博士はネコ耳天使に興味があります(製作的な意味で)
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博士は言っていた。
「ひみっちゃんは天使なのじゃ!」
……天使ではない。絶対に。
「むぅ、天使の輪……かぁ」
「もうほんと、針金で吊ってるやつで良いのにね」
「そだね、それだったらさ、私もわざわざハンマーもってこないよ」
「今度さ、あたしも何か持ってこようかなぁ?」
「ガムテ持ってきてたんじゃない?」
「あれ以外に、よ。うーん、もうちょっとさ、ほら、ね手ごたえとがね、ね!」
手ごたえが足りないっていうのか!?
え、妹が、持ってくるもの……!?
なんだろう? ちょっと、いや、かなり背筋にぞわぞわ来る感じなのは!?
おそらく経験からだけど、もしかしてっ!?
嫌な予感を押し止め、私は言った。
「できれば、被害の少ないものにしてほしいなぁ」
「大丈夫だって! 叩く以外のものにするから! 斬って濡らして乾かして破裂する……うーん、悩むわね!」
何だろう? えと、何なんだろう!?
とても不穏な単語の羅列じゃないか!
というかこれ、私への使用も見越したうえで、選ばせた方が良いんじゃないか!?
しばしの一瞬深く悩んだのち、それを見せないように私は言った。
「あー、うん、ハンマーで事足りてるから、良いかな……うん」
「そう? むぅ……そっかぁ……」
『なあ麗しの君、ちょっと良いかい?』
妹とのやり取りの最中に、ご友人が話しかけてきた。気を効かした白カラスさんは私の腕から離れ、机に飛び移ってからこちらを見る。
「はい、なんでしょう?」
『もしかして、二人ともお洒落に興味がないのかい?』
「え!?」
「……どういうこと?」
『これだけのハイクオリティなアクセサリーを、まるっきり否定する、その乙女心がわかんないのさ!』
「……はあ」
いや、ハイクオリティは過ぎるけどさ?
あの、えっと、人体改造はお洒落じゃないですぞ!?
『たとえばさ、僕のワイフも、ハニーも、ガールフレンドも、結構こだわりがあるんだよ!?』
「……ほう?」
私たちはとても冷たい瞳で見たと思う。そして妹が小さくかえす。
「こだわりー?」
『みんな、目が飛び出るほど高価なものをほしがるし、慰謝料も請求してくるんだ!』
なんだろう、ジョークかな?
まあ、事実だと思うけど、どう返せばいいのかいなと戸惑っていると妹がぶった切った。
「あのさ、お洒落は自分で選ぶものよ? あたしたちも慰謝料は請求するけどね」
『え? いやいや、僕は君たちに、まだ何もしてないぜ!?』
「私たちの心と体を傷つけましたよ? 体は未遂ですが」
「多大なる恐怖を味あわせようとした行為に対して、責任取ってね♪」
こら、妹! 可愛く言うんじゃない!
もしかして、誰かに言ったことありそうだぞ! こら、妹!
『おおう、酷いなぁ……僕たちはただ二人のカワイイと、天使と悪魔が見たかっただけだぜ!』
「私たちは、天使と悪魔になりたくないんです。ただ、いつも清く正しい天使的な心がけはしてますがね」
私の言葉に妹が鼻で笑った。
「はんっ、生まれた時から悪魔の化身の言葉は違うわね!」
おっと、やる気ですか?
しかし、それ以上には進まず、妹はご友人にお応えする。
「でもまあ、そうかもね。天使も悪魔ももあたしたちの心に居ますって感じ?」
『そ、そうなのかい?』
「ええ、誰の心の中にも、天使、悪魔は存在します」
「だからね、そういったアクセサリーはさ」
「私たちには必要ないんです!」
「そう……だからさ」
私たちの語りは、耳元でささやくような声音に変わってきた。
「その科学の矛先を」
「しっかり収めて」
「今日は寝ましょう」
「そして、発明に関してきっぱり忘れるのよ」
「さすれば未来は」
「明るくなるわ……」
私たちの秘技、『よく解らないことをそれらしく、左右から二重奏がごとく耳元で唱えれば、相手は結構だまされてくれるやつ』である。
このやり方で、私たちは数多の斉藤さんを粉砕してきたのだ!
もしかしたらご友人も勘違いしてくれるかもしれない。
『そうか! しかし次の発明はすごくて気に入るはずだ! なにせ、僕でも原理がよく解らないんだからな!!』
うん。白カラスさん経由のご友人では効かなかったみたいだ。
「……くっ、駄目みたい」
「むぅ……てか、それって大丈夫なんですか?」
『大丈夫! どんな過程をとるかって部分が僕の専門と違うからね!』
むやみに胸を張る白カラスさんそんなやり取りをしていると、博士が転がるように走り戻った。
「またせたの! ひみっちゃん! いもっちゃん!」
「は、はい……」
「えっと、今度は何だっけ?」
「ひみっちゃんを天使にするための、天使の輪じゃ!」
机に置かれたものは、はりがね?
じゃないなぁ、金の細い線で出来た、私の頭よりも大きい輪と、隣にホッチキスみたいなもの、さらには資料的な紙束を置いた。
あれれ、この輪って……金!?
もしかして純金かも!
それだったら、分解後に回収する必要がある?
いや、これはね、材質をしっかり確かめないと駄目なのだ。だって『私専用の』金の輪だからね……えっと、えとえと、心の中で本物だった際の価値を計算しつつ、私はこの発明について聞く。
「して、これは……どういった物ですか?」
「ひみっちゃんは天使の輪はしっとるか!」
質問の意味が解らない。
「えっ!? えーっと……」
「なに、どの程度知ってるかでええぞ!」
そんなことを言われても、私は天使にあまり興味がない。言いよどんでいると、妹が食いついた。
「ほら、何か光ってたりするんじゃない? たしか、オーラとかでさ!? 位階によってその発する力の象徴で……」
げ、余計なのが釣れた!?
それから妹が喋る喋る!?
なんか『熾天使』とか『座天使』とか意味の解らない感じで、よく解らない解説を並べ始めたぞ!?
あれ、私、身内に対してまで聞き流しのスキルを用いなきゃならない感じですか?
あー、そーだねー、オーラですかー……?
何か建設駅な事考えて、やり過ごさなきゃ―……。
ああそうだ、最近どどめさん(仮)は塩水に対してこだわりがあることが判明したんだ。
あれは、少し前にちょっとお高い岩塩とかいう、ミネラルたっぷりの塩の塊を買ってきて、それを削り溶かした塩水を出したのだ。
するとどうだ!
背中にある赤むらさきの気持ち悪い斑点が、ピンクと黄緑と鮮明な赤の混じった、華々しいまだら模様となってしまい、より気持ち悪い姿をお披露目してくれた。
それに付け加え、どどめさんは毎回の食後には歯並びのよいスマイル(ちょっと勘弁してほしいと思っう感じのやつ……)をみせてくれる。
だがあの日、岩塩水を出した時は、いつものつつしみ深い微笑みではなく、高らかに大きく嬉しく大笑い!
っといった唇の働きまでを見せてくれたのだ!
ドン引きするほど悍ましいと思ったのは内緒……てか、あれって喜んでますよね?
まあ、それならしゃあないと、週に一度は出してあげているんですよ。
普段はねー、お得なものを用意するんだけどねー……あれ、そろそろ終わりそう?
「つまり!」
妹は立ち上がり、上着をバサっとやりつつも胸を張って言い切った。
「天使の輪こそがオーラの、言ってしまえば天使たちの階位の象徴となるのよ!!」
博士は、セリフを取られてちょびっと寂しそうである。
「う、うむ……とまあ、そういう事らしいぞ……」
「あ! もう、博士! 実はあまり調べてないでしょ?」
「儂、そっち系は興味が薄いのじゃ! 美術はちゃんと調べたぞ? ……再現の方が重要じゃと思って……」
「駄目よ! 天使と堕天使は、その成り立ちが重要じゃない!」
「あのさ……妹って実は、天使か悪魔になりたかったの? 壊さないで置いた方が良かった?」
エキサイトしだした所で私が聞くと、妹はハッと表情を戻す。
「それとこれとは別! あたしはお話が好きなの! 自分がなるのは嫌!!」
「そうだろうなぁ……って事で、博士、これら全部、破棄しましょうか」
そうそうに片付けようとする私を、博士たちは押しとどめる。
「ちょ、ちょっと待っとくれひみっちゃん!」
『まだこの有用性を説明してないぜ!』
博士とご友人は、なんか懸命にアピールしたい様子を見せた。
「ふむ、では解説をお願いします」
「うむ! 今回、この天使の輪は儂もまだ工夫中での、未完成なんじゃ」
「ほう?」
『演算が難しいぜ! 博士どうやってこんなものを思いついたんだ?』
「そりゃ、天使の輪は浮いておる。これはわかるかの?」
なんだろう? いや、これは罠っぽい感じもあるけど、聞かなきゃ先に進まないっぽい?
「まあ、絵とかにある謎の奴ですもんね?」
首をかしげる私に、妹が嬉々として口をはさむ。
「あれってオーラなのよ! 後光が差すってやつ!」
「儂、オーラとやらに関しては、今のところさほどの情熱は持っておらぬ」
「えー、もう、もう! 駄目ねえ」
駄目なのか?
しかし妹よ、それはどん引かれるから少し黙ろう。私がずずいと出てくる額を手で押さえた。妹は恨めしそうな表情を見せる。
「今回、儂は今回の発明『科学的に輝く輪状体を人体と一定の距離を保って浮遊させる構造』に苦労した……いや苦労しとる!」
浮遊か……ハッキリ言って私は飛ぶものは苦手だ。色々とトラウマがあるし、博士の発明という時点で怖気が立っている。
「浮遊……するんですか?」
「うむ! そこで、儂は以前より研究していた『生体磁気測定装置』に行き当たったのじゃ!!」
言いつつ、博士はホッチキスみたいなものを見せる。カートリッジの出る所は、なんかちょっと光っていた。
「生体磁気? えっと、え?」
意味が良く解らないぞ……てか、意味がまるで見えないんですけど……これ。
「ひみっちゃんは天使なのじゃ!」
……天使ではない。絶対に。
「むぅ、天使の輪……かぁ」
「もうほんと、針金で吊ってるやつで良いのにね」
「そだね、それだったらさ、私もわざわざハンマーもってこないよ」
「今度さ、あたしも何か持ってこようかなぁ?」
「ガムテ持ってきてたんじゃない?」
「あれ以外に、よ。うーん、もうちょっとさ、ほら、ね手ごたえとがね、ね!」
手ごたえが足りないっていうのか!?
え、妹が、持ってくるもの……!?
なんだろう? ちょっと、いや、かなり背筋にぞわぞわ来る感じなのは!?
おそらく経験からだけど、もしかしてっ!?
嫌な予感を押し止め、私は言った。
「できれば、被害の少ないものにしてほしいなぁ」
「大丈夫だって! 叩く以外のものにするから! 斬って濡らして乾かして破裂する……うーん、悩むわね!」
何だろう? えと、何なんだろう!?
とても不穏な単語の羅列じゃないか!
というかこれ、私への使用も見越したうえで、選ばせた方が良いんじゃないか!?
しばしの一瞬深く悩んだのち、それを見せないように私は言った。
「あー、うん、ハンマーで事足りてるから、良いかな……うん」
「そう? むぅ……そっかぁ……」
『なあ麗しの君、ちょっと良いかい?』
妹とのやり取りの最中に、ご友人が話しかけてきた。気を効かした白カラスさんは私の腕から離れ、机に飛び移ってからこちらを見る。
「はい、なんでしょう?」
『もしかして、二人ともお洒落に興味がないのかい?』
「え!?」
「……どういうこと?」
『これだけのハイクオリティなアクセサリーを、まるっきり否定する、その乙女心がわかんないのさ!』
「……はあ」
いや、ハイクオリティは過ぎるけどさ?
あの、えっと、人体改造はお洒落じゃないですぞ!?
『たとえばさ、僕のワイフも、ハニーも、ガールフレンドも、結構こだわりがあるんだよ!?』
「……ほう?」
私たちはとても冷たい瞳で見たと思う。そして妹が小さくかえす。
「こだわりー?」
『みんな、目が飛び出るほど高価なものをほしがるし、慰謝料も請求してくるんだ!』
なんだろう、ジョークかな?
まあ、事実だと思うけど、どう返せばいいのかいなと戸惑っていると妹がぶった切った。
「あのさ、お洒落は自分で選ぶものよ? あたしたちも慰謝料は請求するけどね」
『え? いやいや、僕は君たちに、まだ何もしてないぜ!?』
「私たちの心と体を傷つけましたよ? 体は未遂ですが」
「多大なる恐怖を味あわせようとした行為に対して、責任取ってね♪」
こら、妹! 可愛く言うんじゃない!
もしかして、誰かに言ったことありそうだぞ! こら、妹!
『おおう、酷いなぁ……僕たちはただ二人のカワイイと、天使と悪魔が見たかっただけだぜ!』
「私たちは、天使と悪魔になりたくないんです。ただ、いつも清く正しい天使的な心がけはしてますがね」
私の言葉に妹が鼻で笑った。
「はんっ、生まれた時から悪魔の化身の言葉は違うわね!」
おっと、やる気ですか?
しかし、それ以上には進まず、妹はご友人にお応えする。
「でもまあ、そうかもね。天使も悪魔ももあたしたちの心に居ますって感じ?」
『そ、そうなのかい?』
「ええ、誰の心の中にも、天使、悪魔は存在します」
「だからね、そういったアクセサリーはさ」
「私たちには必要ないんです!」
「そう……だからさ」
私たちの語りは、耳元でささやくような声音に変わってきた。
「その科学の矛先を」
「しっかり収めて」
「今日は寝ましょう」
「そして、発明に関してきっぱり忘れるのよ」
「さすれば未来は」
「明るくなるわ……」
私たちの秘技、『よく解らないことをそれらしく、左右から二重奏がごとく耳元で唱えれば、相手は結構だまされてくれるやつ』である。
このやり方で、私たちは数多の斉藤さんを粉砕してきたのだ!
もしかしたらご友人も勘違いしてくれるかもしれない。
『そうか! しかし次の発明はすごくて気に入るはずだ! なにせ、僕でも原理がよく解らないんだからな!!』
うん。白カラスさん経由のご友人では効かなかったみたいだ。
「……くっ、駄目みたい」
「むぅ……てか、それって大丈夫なんですか?」
『大丈夫! どんな過程をとるかって部分が僕の専門と違うからね!』
むやみに胸を張る白カラスさんそんなやり取りをしていると、博士が転がるように走り戻った。
「またせたの! ひみっちゃん! いもっちゃん!」
「は、はい……」
「えっと、今度は何だっけ?」
「ひみっちゃんを天使にするための、天使の輪じゃ!」
机に置かれたものは、はりがね?
じゃないなぁ、金の細い線で出来た、私の頭よりも大きい輪と、隣にホッチキスみたいなもの、さらには資料的な紙束を置いた。
あれれ、この輪って……金!?
もしかして純金かも!
それだったら、分解後に回収する必要がある?
いや、これはね、材質をしっかり確かめないと駄目なのだ。だって『私専用の』金の輪だからね……えっと、えとえと、心の中で本物だった際の価値を計算しつつ、私はこの発明について聞く。
「して、これは……どういった物ですか?」
「ひみっちゃんは天使の輪はしっとるか!」
質問の意味が解らない。
「えっ!? えーっと……」
「なに、どの程度知ってるかでええぞ!」
そんなことを言われても、私は天使にあまり興味がない。言いよどんでいると、妹が食いついた。
「ほら、何か光ってたりするんじゃない? たしか、オーラとかでさ!? 位階によってその発する力の象徴で……」
げ、余計なのが釣れた!?
それから妹が喋る喋る!?
なんか『熾天使』とか『座天使』とか意味の解らない感じで、よく解らない解説を並べ始めたぞ!?
あれ、私、身内に対してまで聞き流しのスキルを用いなきゃならない感じですか?
あー、そーだねー、オーラですかー……?
何か建設駅な事考えて、やり過ごさなきゃ―……。
ああそうだ、最近どどめさん(仮)は塩水に対してこだわりがあることが判明したんだ。
あれは、少し前にちょっとお高い岩塩とかいう、ミネラルたっぷりの塩の塊を買ってきて、それを削り溶かした塩水を出したのだ。
するとどうだ!
背中にある赤むらさきの気持ち悪い斑点が、ピンクと黄緑と鮮明な赤の混じった、華々しいまだら模様となってしまい、より気持ち悪い姿をお披露目してくれた。
それに付け加え、どどめさんは毎回の食後には歯並びのよいスマイル(ちょっと勘弁してほしいと思っう感じのやつ……)をみせてくれる。
だがあの日、岩塩水を出した時は、いつものつつしみ深い微笑みではなく、高らかに大きく嬉しく大笑い!
っといった唇の働きまでを見せてくれたのだ!
ドン引きするほど悍ましいと思ったのは内緒……てか、あれって喜んでますよね?
まあ、それならしゃあないと、週に一度は出してあげているんですよ。
普段はねー、お得なものを用意するんだけどねー……あれ、そろそろ終わりそう?
「つまり!」
妹は立ち上がり、上着をバサっとやりつつも胸を張って言い切った。
「天使の輪こそがオーラの、言ってしまえば天使たちの階位の象徴となるのよ!!」
博士は、セリフを取られてちょびっと寂しそうである。
「う、うむ……とまあ、そういう事らしいぞ……」
「あ! もう、博士! 実はあまり調べてないでしょ?」
「儂、そっち系は興味が薄いのじゃ! 美術はちゃんと調べたぞ? ……再現の方が重要じゃと思って……」
「駄目よ! 天使と堕天使は、その成り立ちが重要じゃない!」
「あのさ……妹って実は、天使か悪魔になりたかったの? 壊さないで置いた方が良かった?」
エキサイトしだした所で私が聞くと、妹はハッと表情を戻す。
「それとこれとは別! あたしはお話が好きなの! 自分がなるのは嫌!!」
「そうだろうなぁ……って事で、博士、これら全部、破棄しましょうか」
そうそうに片付けようとする私を、博士たちは押しとどめる。
「ちょ、ちょっと待っとくれひみっちゃん!」
『まだこの有用性を説明してないぜ!』
博士とご友人は、なんか懸命にアピールしたい様子を見せた。
「ふむ、では解説をお願いします」
「うむ! 今回、この天使の輪は儂もまだ工夫中での、未完成なんじゃ」
「ほう?」
『演算が難しいぜ! 博士どうやってこんなものを思いついたんだ?』
「そりゃ、天使の輪は浮いておる。これはわかるかの?」
なんだろう? いや、これは罠っぽい感じもあるけど、聞かなきゃ先に進まないっぽい?
「まあ、絵とかにある謎の奴ですもんね?」
首をかしげる私に、妹が嬉々として口をはさむ。
「あれってオーラなのよ! 後光が差すってやつ!」
「儂、オーラとやらに関しては、今のところさほどの情熱は持っておらぬ」
「えー、もう、もう! 駄目ねえ」
駄目なのか?
しかし妹よ、それはどん引かれるから少し黙ろう。私がずずいと出てくる額を手で押さえた。妹は恨めしそうな表情を見せる。
「今回、儂は今回の発明『科学的に輝く輪状体を人体と一定の距離を保って浮遊させる構造』に苦労した……いや苦労しとる!」
浮遊か……ハッキリ言って私は飛ぶものは苦手だ。色々とトラウマがあるし、博士の発明という時点で怖気が立っている。
「浮遊……するんですか?」
「うむ! そこで、儂は以前より研究していた『生体磁気測定装置』に行き当たったのじゃ!!」
言いつつ、博士はホッチキスみたいなものを見せる。カートリッジの出る所は、なんかちょっと光っていた。
「生体磁気? えっと、え?」
意味が良く解らないぞ……てか、意味がまるで見えないんですけど……これ。
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