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3 博士はネコ耳天使に興味があります(製作的な意味で)
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「あー、問題点ほかにも挙げましょ、まあ落ち着きなさいな」
どうやら雰囲気で妹が察して、私をこづいてたしなめてくれた。
珍しい……私は深呼吸をして動悸をおさめ、声を少し低くしてから言う。
「うぅ……じゃ、そもそもです。猫さん耳も天使の翼も、無駄に目立ちすぎてNGです。付けて買い物に行ったら指差されますよ。斉藤さんのように」
「うん、一生家から出れないわね」
「つまり、私たちははっきりと付けたくないです!」
「ふむ……じゃあ取り外し可能にしたら良かったのかの?」
『それだぜ博士!』
話の流れ的には合ってますが、根本的な部分が違いますからね!?
まるっきり、全然、違いますよ!!
私たちは!
身に危険があるから!!
何があっても!!!
付けたくないっつってんですよ!!!!
「……いや、しかし、取り外すたびに加えたモノを除去するようにか……うーむ、むむむむ、ちょびっーっと、他に影響がでても良けりゃ……」
「冗談じゃないわ!!」
「駄目です! 検討しないで下さい!! 体への影響ありってことが一番の問題点ですからね!!」
「カチューシャとかを罰ゲームで着けるなら、千歩ゆずってって感じ?」
「……まあ、わかっとるわ」
それは解ってる人の言い方じゃないやい!
『やれやれだな、それじゃ怖くて爪も切れないぜ』
ご友人、一回本気で痛めつけますわよ! 妹が!!
再度沸き立つ怒りを何とか押しとどめ、つとめて冷静に私は言う。
「爪は爪切りで切ります。てか博士、ご友人に打撃を与える方法をお教えください! 無いならカラスさん、大切そうな機械の上で思う存分に暴れてください」
なんか、白カラスさんが私の肩でびくっとなって姿勢を正した。『ニヤー』と見せた渋い微笑は了承だろうか?
「そうね、イラッと来た。ねえ博士、お友達に今すぐダメージを与える方法、あるかな?」
「そ、そうじゃな……あ奴の部屋のテレビの隅に置いてある模型の裏にあるスイッチを引っ張り出すと……」
『うぉっ、なんでそれを知ってるんだ博士!?』
「お主が酔って自慢したんじゃろ?」
そのスイッチを何とかすれば、たぶん打撃を与えれるのかな? 私は少し目を細める。
「よし、それじゃあ、カラスさん……そのスイッチを……」
『ニヤッ』
「待つんじゃひみっちゃん!! それは自爆スイッチらしいからの!! むやみに起動するでないぞ!!」
むぅ……もしかしたらご友人って、自爆にロマンとか抱えている人?
どうしよう? シャレでつついて大変な事になったら……あー、そうだね白カラスさんまで危ういなら、その手はムリっぽい。
仕方なく私は、警告で収めることにした。
「……ご友人、解ってますね? 発言には気を付けて頂きたいです」
相手に見えていないのが残念なくらい、とっっても素敵で悍ましい微笑みと共に、呪詛をも載せて言った。
博士と妹がちょびっと引いているが、残念ながら当の本人には伝わっていないだろう。
それに、我ながら気持ち悪いのがむかむかする。
「……え、えと、あたしたち、そのスイッチを知ってるからね」
「まあ、いざって時にはですね……色は白いけど、カラスさんには凶兆の存在となってもらいます」
『ニッニヤ!?』
ぐぅ、ごめんなさい、肩に止まっている爪に、ちょっとだけ力が入って痛い……てか、これ傷になってないかな?
いや、大丈夫っぽい。この白カラスさんてば本質は紳士さんであるためか、これ以上くいこまないぎりぎりの心遣いを感じる。
だったら、私に痛みだけ加えてくるのはやめて頂きたいんですがね……。
ま、ご友人の最後に白カラスさんを巻き込む形は駄目である。
口には出さないけど『大丈夫、脅しだけですからね』と慈しみの視線を白カラスさんへと向けた。
「発言にはお気を付けくださいな」
『…………解った。気を付けるぜ』
「んー? 起動しないの?」
うん、妹、だめだめだよ。白カラスさんがかわいそうだ。
「今はね」
「ふむ……まあ、見えない爆発はつまらんし……ええか」
「確かに、どかーん! が見れないってのはつまんないわね!」
『ん-、爆破されるのは新感覚だが、僕は僕の自爆もみてみたいぜ!』
博士たちの言葉よ……よくよく考えたら、ここにいる皆さんは人としてどうかしているのかもしれない……もしかしたらかもしれないけどね。
……あ、私は含めていませんよ!?
一応、正しておかないと、誤解がちょびっとできちゃいます。
そして、この中では最も常識を見につけている私としては、話に一区切りつけることを提案した。
「博士、フィードバックはこれくらいにして、一息入れませんか?」
「えー……」
「別の発明、付けられたいの?」
「ぐう……」
妹の不満たらたらな言葉を押しとどめ、私は露骨に話題を変える。
「うむ、そうじゃな……紅茶はどうじゃ? おかわりを淹れようかの?」
「それはあたしがするから! 博士は手を出さないで!」
『おお……そうだな、一度ブレイクしようぜ』
ご友人も空気の違いを感じ取り、ほっとした様に言った。
「お菓子があれば良いんですがねー」
そう、今日は私と妹二人して慌てていたため、お土産は用意していない。
まあ、心情的には用意しなくてよかった気もする。少し残念がっているところへ博士がにこやかに言った。
「ならば、貰いもんの饅頭があるぞ? それでも良ければもってくるが」
「おー、ありがとうございます」
「あ、そうだ! ねね、博士、紅茶は種類他にある?」
「む……? どこかにあった気がするがのお……いもっちゃん、どうしたんじゃ?」
「ちょっとね、ブレンドする方法もあるみたいなの! 好みが分かれるんだけどねー」
「ふむ、しかし今回の茶葉と見合うもんは……」
紅茶のブレンドってのもあるのかぁ、しかしどうやら博士は乗りきじゃないようだ。声のトーンが微妙に落ちている。
「あ、無ければいいわ! あたし、ちょっと思いついただけだから! ささっと淹れちゃうから!」
「そうか? ありがとな、いもっちゃん。儂はちょっと饅頭取ってくるわ」
ああ見えて敏感な妹は、気さくに立ち上がり、さっさと紅茶セットに駆け寄る。
博士は博士で奥の方へと入っていった。
『ああ、僕は砂糖二つで頼むよ』
「ここで淹れるのに、どうやって飲むんですか?」
『ははっ、雰囲気で言っちまったんだよ麗しの君、僕は寂しく自分で淹れるぜ! コーヒーだけどね』
「はい、じゃご自身でお好きなものをお飲みくださいね」
『んーつれないなぁ』
「何を釣るおつもりで?」
『全ての愛と、麗しの君からの慈愛の微笑みを、さ』
「はぁ……」
どんびきである。
まあ、ジョークってのは解るんすがね、うん、何というか、うん……私の表情が見えていないってことがイマイチ残念であるが、トーンだけで伝わってるんだろうか?
**―――――
柔らかな香気を楽しむのは良い。
その紅茶の香りを引き立てる甘味の存在は抜群にありがたい。
……とは思うのだが、やはり紅茶に饅頭は合わない。
美味しいとは思うんだけどね。イメージ的な何たらって奴なのだろう。
目をつむって口に含めば、新感覚が楽しめる。
しかし、悪いことにこれって黒糖饅頭だったのだよ。
このビジュアルがねー……茶器がかなり上等であることもあり、何というか……うーん、となってしまうのだ。
いや、この黒糖饅頭は単品でもびっくりするほどおいしいんですよ?
口に残るあくのような甘味は無く、黒糖の独特の香りもふわっと一瞬だけで消えるし、上等なのだとわかる。
いま頂いているものが、苦みの強い緑茶であれば、しっかりとお茶を引き立てる甘味になるんだろうけどなあ……。
ああ! そうだ! これを四角く切ってみてケーキスタンドに乗せて出してみたらどうだろう?
それなら、もしかしたら、うーん、むむむ……。
こんなくだらないことで悩んでいると、人はイメージを食べているんだなぁ、なんて思ってしまう。
「ねえ、ご友人さんの専門って何なの?」
私達は雑談タイムになっていた。妹が思いついたように聞いている。
『おや麗しの妹ちゃん、僕に興味があるのかい?』
「興味、まあそうかも? てかさ、なんか、外側作ってるの博士でしょ? でも一緒に作るって、何を担当していたの?」
『僕はソフト関係のスペシャリストさ! プログラムは任せてくれよ。この前も、ウィルスをある国に……おっと、ジョークだ忘れてくれ』
いま、聞いちゃいけない言葉が聞こえたような……?
私たち、大丈夫ですよね!?
『そうだなぁ、麗しの妹ちゃんが興味あるとすれば……ゲームは好きかい?』
「うん!」
「あのー、できれば、そっち関係の話題は……その、深入りしないでいただければ……」
妹にゲームの話題は困る。
こやつは夜中までのめり込むこともあり、最近ではどどめさん(仮)をけしかけて、無理やり眠らせたことだってあるのだ。
『あれの解析とかもするんだぜ!』
「へえ!? じゃあ詳しいの?」
『ああ! 最近じゃ……』
そこで、挙げたゲームの名前に、妹はテンション高く反応した。
「うっそ! 同じのやってるじゃん! 海外にもあるの!?」
『おいおい、あれは僕たちの界隈じゃ伝説だぜ!? 麗しの妹ちゃんは、どこまで進んだんだい?』
「いや、なにあれ!? ぜんっっっぜん進まないんだけど!?」
どうやら最近はまっているゲームの話らしい。
「なんじゃ? 進むとか進まんとか……」
博士が話に乗ってきた。そのすきに、私は妹が挙げたタイトルを検索してみる。
「……?」
なんだろうこれ?
えっと、なんかめっちゃ酷いとか、理不尽とか、脳を破壊するとか、そういった感じの評価なんだけど!?
なんで妹ニッコニコなの? ご友人も楽しそうだし……。
『あれは、久々にインスピレーションに来たぜ! ライトゲーマーにはクリアさせない気迫が満載さ!』
「……あれって、クリアできるの!?」
『ああ! 僕は解析したからね!』
「んー、それ楽しいの?」
『はははっ、クリアレースになるとさ、解析が重要になるんだぜ? ミリ秒単位のタイミング調節もいるぜ!?』
「そんなんあるの!? RPGなのに……」
ふむ……私と博士は話に参加できないか……とおもったら博士は小首をかしげて聞いた。
「おもしろいもんなのか?」
「んー、理不尽でもへこたれなきゃおもしろいかも?」
『どうだろうな? 人によるとしか言えないぜ』
「ふむ?」
そして、妹とご友人は目をきらめかせ、ゲームについて語りだした。
どうやら雰囲気で妹が察して、私をこづいてたしなめてくれた。
珍しい……私は深呼吸をして動悸をおさめ、声を少し低くしてから言う。
「うぅ……じゃ、そもそもです。猫さん耳も天使の翼も、無駄に目立ちすぎてNGです。付けて買い物に行ったら指差されますよ。斉藤さんのように」
「うん、一生家から出れないわね」
「つまり、私たちははっきりと付けたくないです!」
「ふむ……じゃあ取り外し可能にしたら良かったのかの?」
『それだぜ博士!』
話の流れ的には合ってますが、根本的な部分が違いますからね!?
まるっきり、全然、違いますよ!!
私たちは!
身に危険があるから!!
何があっても!!!
付けたくないっつってんですよ!!!!
「……いや、しかし、取り外すたびに加えたモノを除去するようにか……うーむ、むむむむ、ちょびっーっと、他に影響がでても良けりゃ……」
「冗談じゃないわ!!」
「駄目です! 検討しないで下さい!! 体への影響ありってことが一番の問題点ですからね!!」
「カチューシャとかを罰ゲームで着けるなら、千歩ゆずってって感じ?」
「……まあ、わかっとるわ」
それは解ってる人の言い方じゃないやい!
『やれやれだな、それじゃ怖くて爪も切れないぜ』
ご友人、一回本気で痛めつけますわよ! 妹が!!
再度沸き立つ怒りを何とか押しとどめ、つとめて冷静に私は言う。
「爪は爪切りで切ります。てか博士、ご友人に打撃を与える方法をお教えください! 無いならカラスさん、大切そうな機械の上で思う存分に暴れてください」
なんか、白カラスさんが私の肩でびくっとなって姿勢を正した。『ニヤー』と見せた渋い微笑は了承だろうか?
「そうね、イラッと来た。ねえ博士、お友達に今すぐダメージを与える方法、あるかな?」
「そ、そうじゃな……あ奴の部屋のテレビの隅に置いてある模型の裏にあるスイッチを引っ張り出すと……」
『うぉっ、なんでそれを知ってるんだ博士!?』
「お主が酔って自慢したんじゃろ?」
そのスイッチを何とかすれば、たぶん打撃を与えれるのかな? 私は少し目を細める。
「よし、それじゃあ、カラスさん……そのスイッチを……」
『ニヤッ』
「待つんじゃひみっちゃん!! それは自爆スイッチらしいからの!! むやみに起動するでないぞ!!」
むぅ……もしかしたらご友人って、自爆にロマンとか抱えている人?
どうしよう? シャレでつついて大変な事になったら……あー、そうだね白カラスさんまで危ういなら、その手はムリっぽい。
仕方なく私は、警告で収めることにした。
「……ご友人、解ってますね? 発言には気を付けて頂きたいです」
相手に見えていないのが残念なくらい、とっっても素敵で悍ましい微笑みと共に、呪詛をも載せて言った。
博士と妹がちょびっと引いているが、残念ながら当の本人には伝わっていないだろう。
それに、我ながら気持ち悪いのがむかむかする。
「……え、えと、あたしたち、そのスイッチを知ってるからね」
「まあ、いざって時にはですね……色は白いけど、カラスさんには凶兆の存在となってもらいます」
『ニッニヤ!?』
ぐぅ、ごめんなさい、肩に止まっている爪に、ちょっとだけ力が入って痛い……てか、これ傷になってないかな?
いや、大丈夫っぽい。この白カラスさんてば本質は紳士さんであるためか、これ以上くいこまないぎりぎりの心遣いを感じる。
だったら、私に痛みだけ加えてくるのはやめて頂きたいんですがね……。
ま、ご友人の最後に白カラスさんを巻き込む形は駄目である。
口には出さないけど『大丈夫、脅しだけですからね』と慈しみの視線を白カラスさんへと向けた。
「発言にはお気を付けくださいな」
『…………解った。気を付けるぜ』
「んー? 起動しないの?」
うん、妹、だめだめだよ。白カラスさんがかわいそうだ。
「今はね」
「ふむ……まあ、見えない爆発はつまらんし……ええか」
「確かに、どかーん! が見れないってのはつまんないわね!」
『ん-、爆破されるのは新感覚だが、僕は僕の自爆もみてみたいぜ!』
博士たちの言葉よ……よくよく考えたら、ここにいる皆さんは人としてどうかしているのかもしれない……もしかしたらかもしれないけどね。
……あ、私は含めていませんよ!?
一応、正しておかないと、誤解がちょびっとできちゃいます。
そして、この中では最も常識を見につけている私としては、話に一区切りつけることを提案した。
「博士、フィードバックはこれくらいにして、一息入れませんか?」
「えー……」
「別の発明、付けられたいの?」
「ぐう……」
妹の不満たらたらな言葉を押しとどめ、私は露骨に話題を変える。
「うむ、そうじゃな……紅茶はどうじゃ? おかわりを淹れようかの?」
「それはあたしがするから! 博士は手を出さないで!」
『おお……そうだな、一度ブレイクしようぜ』
ご友人も空気の違いを感じ取り、ほっとした様に言った。
「お菓子があれば良いんですがねー」
そう、今日は私と妹二人して慌てていたため、お土産は用意していない。
まあ、心情的には用意しなくてよかった気もする。少し残念がっているところへ博士がにこやかに言った。
「ならば、貰いもんの饅頭があるぞ? それでも良ければもってくるが」
「おー、ありがとうございます」
「あ、そうだ! ねね、博士、紅茶は種類他にある?」
「む……? どこかにあった気がするがのお……いもっちゃん、どうしたんじゃ?」
「ちょっとね、ブレンドする方法もあるみたいなの! 好みが分かれるんだけどねー」
「ふむ、しかし今回の茶葉と見合うもんは……」
紅茶のブレンドってのもあるのかぁ、しかしどうやら博士は乗りきじゃないようだ。声のトーンが微妙に落ちている。
「あ、無ければいいわ! あたし、ちょっと思いついただけだから! ささっと淹れちゃうから!」
「そうか? ありがとな、いもっちゃん。儂はちょっと饅頭取ってくるわ」
ああ見えて敏感な妹は、気さくに立ち上がり、さっさと紅茶セットに駆け寄る。
博士は博士で奥の方へと入っていった。
『ああ、僕は砂糖二つで頼むよ』
「ここで淹れるのに、どうやって飲むんですか?」
『ははっ、雰囲気で言っちまったんだよ麗しの君、僕は寂しく自分で淹れるぜ! コーヒーだけどね』
「はい、じゃご自身でお好きなものをお飲みくださいね」
『んーつれないなぁ』
「何を釣るおつもりで?」
『全ての愛と、麗しの君からの慈愛の微笑みを、さ』
「はぁ……」
どんびきである。
まあ、ジョークってのは解るんすがね、うん、何というか、うん……私の表情が見えていないってことがイマイチ残念であるが、トーンだけで伝わってるんだろうか?
**―――――
柔らかな香気を楽しむのは良い。
その紅茶の香りを引き立てる甘味の存在は抜群にありがたい。
……とは思うのだが、やはり紅茶に饅頭は合わない。
美味しいとは思うんだけどね。イメージ的な何たらって奴なのだろう。
目をつむって口に含めば、新感覚が楽しめる。
しかし、悪いことにこれって黒糖饅頭だったのだよ。
このビジュアルがねー……茶器がかなり上等であることもあり、何というか……うーん、となってしまうのだ。
いや、この黒糖饅頭は単品でもびっくりするほどおいしいんですよ?
口に残るあくのような甘味は無く、黒糖の独特の香りもふわっと一瞬だけで消えるし、上等なのだとわかる。
いま頂いているものが、苦みの強い緑茶であれば、しっかりとお茶を引き立てる甘味になるんだろうけどなあ……。
ああ! そうだ! これを四角く切ってみてケーキスタンドに乗せて出してみたらどうだろう?
それなら、もしかしたら、うーん、むむむ……。
こんなくだらないことで悩んでいると、人はイメージを食べているんだなぁ、なんて思ってしまう。
「ねえ、ご友人さんの専門って何なの?」
私達は雑談タイムになっていた。妹が思いついたように聞いている。
『おや麗しの妹ちゃん、僕に興味があるのかい?』
「興味、まあそうかも? てかさ、なんか、外側作ってるの博士でしょ? でも一緒に作るって、何を担当していたの?」
『僕はソフト関係のスペシャリストさ! プログラムは任せてくれよ。この前も、ウィルスをある国に……おっと、ジョークだ忘れてくれ』
いま、聞いちゃいけない言葉が聞こえたような……?
私たち、大丈夫ですよね!?
『そうだなぁ、麗しの妹ちゃんが興味あるとすれば……ゲームは好きかい?』
「うん!」
「あのー、できれば、そっち関係の話題は……その、深入りしないでいただければ……」
妹にゲームの話題は困る。
こやつは夜中までのめり込むこともあり、最近ではどどめさん(仮)をけしかけて、無理やり眠らせたことだってあるのだ。
『あれの解析とかもするんだぜ!』
「へえ!? じゃあ詳しいの?」
『ああ! 最近じゃ……』
そこで、挙げたゲームの名前に、妹はテンション高く反応した。
「うっそ! 同じのやってるじゃん! 海外にもあるの!?」
『おいおい、あれは僕たちの界隈じゃ伝説だぜ!? 麗しの妹ちゃんは、どこまで進んだんだい?』
「いや、なにあれ!? ぜんっっっぜん進まないんだけど!?」
どうやら最近はまっているゲームの話らしい。
「なんじゃ? 進むとか進まんとか……」
博士が話に乗ってきた。そのすきに、私は妹が挙げたタイトルを検索してみる。
「……?」
なんだろうこれ?
えっと、なんかめっちゃ酷いとか、理不尽とか、脳を破壊するとか、そういった感じの評価なんだけど!?
なんで妹ニッコニコなの? ご友人も楽しそうだし……。
『あれは、久々にインスピレーションに来たぜ! ライトゲーマーにはクリアさせない気迫が満載さ!』
「……あれって、クリアできるの!?」
『ああ! 僕は解析したからね!』
「んー、それ楽しいの?」
『はははっ、クリアレースになるとさ、解析が重要になるんだぜ? ミリ秒単位のタイミング調節もいるぜ!?』
「そんなんあるの!? RPGなのに……」
ふむ……私と博士は話に参加できないか……とおもったら博士は小首をかしげて聞いた。
「おもしろいもんなのか?」
「んー、理不尽でもへこたれなきゃおもしろいかも?」
『どうだろうな? 人によるとしか言えないぜ』
「ふむ?」
そして、妹とご友人は目をきらめかせ、ゲームについて語りだした。
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