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本拠地突入編・2

新隊長(仮)、命令を下す

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 162-①

 絶惨大混乱中のフリード達のもとにアルジェがやってきた。

「おおーい!!」
「あっ、アリー」
「クーさま、隊長さんには会えましただか?」
「そ、それがそのぅ……」
「んん? そこに誰か倒れてんでねぇか……って隊長さんでねぇか!! なして!?」

 クレナはアルジェに事情を説明した。

「フリードおめぇ……何やってんだぁ!! こんの……大馬鹿モンが!!」
「大馬鹿者とは何だよ!?」
「こげな大事な作戦の直前に隊長さんを昏倒させちまうなんて……大馬鹿モン以外の何者でもねぇだ、このすっとこどっこい!!」
「ぐ、グムー……」
「そ、それにおめぇ……ミト姫様から直々に任命された特別調査隊の隊長をぶちのめしちまうなんて……発覚したら反逆罪で縛り首だべ!?」
「うぇぇぇぇぇっ!? う、嘘だろぉぉぉぉぉっ!?」
「はぁ……ったく」

 見習いとはいえ、流石に最精鋭部隊の一員である。縛り首と聞いて焦りまくるフリードをよそに、アルジェは倒れている武光に近寄ると冷静に診断した。

「……でぇじょうぶだ、脈はある。心臓もちゃあんと動いているだ。ただ……いつ目覚めるかは分かんね」
「マジかよ……ああもう!! 何でこんな時にねえさんがいねぇんだよ!?」

 ナジミが武光に気絶させられ、手足を縛られて拘束されている事を知るよしもないフリードは、何てこったと頭を抱え、そんなフリードにクレナが話しかけた。

「どうしよう、フー君!!」
「……は?」
「いや、だって隊長を倒しちゃったんだから、今はフー君が隊長でしょ!?」

 クレナの言葉にミナハとキクチナも頷く。

「そうだぞフリード、責任取って、お前が指揮を取れ!!」
「し、指示をお願いします、フリード隊長!!」
「あああああーーーーー!? そっか、俺……隊長じゃねぇかーーーーー!!」

 指示を求められたフリードは、白目を剥いて失神している武光を見た。相変わらず、本当に生きているのか不安になってくるほど気を失っている。

「よ……よーし、まずはアニキを安全な所に移動させるんだ」

 三人娘と一緒に、気を失った武光を物陰に移動させるフリードに、アルジェが心配そうに声をかける。

「フリードおめぇ大丈夫か? 足が震えてるみてぇだけんど……」
「ば、バカヤロウ!! これはその……アレだ、『主に下半身を中心とした武者震い』だってんだ!!」
「でも……」
「退くわけにはいかねえ……!! ここで退いたら……アニキの犠牲が無駄になっちまう!!」
「いや、ソレおめぇのせいだかんな!? つうか、隊長さん死んでねぇかんな!?」

 武光を安全な物陰に移動させたフリードはクレナ達を見回した。

「皆、アニキの代わりに、門をブチ破って敵の本拠地に突入する……力を貸してくれ!!」
「もちろん!! 行こう、フー君隊長!!」
「ああ、行こう新隊長!!」
「お、お供しますフリード隊長!!」
「しょうがねぇ、おめぇみてぇなすっとこどっこいが隊長だとクーさまやミーナさまやキクさまが心配だから、おらも一緒に行ってやんべ!!」
「すまんアルジェ……!!」
「なんのなんの、おら達の後にはロイ将軍が……王国軍最強の軍団が続くんだ。なーんも心配する事なんて無ぇだ!!」
「……ああ、そうだよな!!」

 フリード達は互いに顔を見合わせ、力強く頷きあった。フリードが差し出した手の上に、三人娘とアルジェの手が重なる。 

「行ってくるよ、アニキ……皆、本番行くぞぉぉぉぉぉーーーっ!!」
「「「「おーーーっ!!」」」」

 フリード達は、雄叫びを上げて駆け出した。

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