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本拠地突入編・2
死神、策を伝える
しおりを挟む156-①
「はぁぁぁぁぁっ!?」
武光は素っ頓狂な叫びを上げた。
暗黒教団の聖女シルエッタ=シャードの記憶と人格の一部を引き継いで生み出された影魔獣・シスターズ02、そして彼女の操る黄影聖獣・リクシンオウを撃退した武光達のもとに、王国軍最強、白銀の死神ロイ=デストがやって来た。
そして、現れたロイ=デストが武光が耳打ちした策というのが……
「お前……ちょっとソウザン城に行って、城門をブチ破って来い」
という、もはや策と呼べるかどうかも怪しい内容だったのだ。武光が叫びを上げるのも無理も無いというものだ。
「アホかお前!? どこにそんなヤバイ事するアホがおんねん!!」
「だろう? だからこそ、敵の意表を突けるというものだ」
ロイの言葉を聞いて武光は笑った。
「ははは……おいおい冗談や……ないんかー!?」
「お前と……お前の持つ聖剣イットー・リョーダンであれば、ソウザン城の分厚い城門も破れるはずだ」
今度は……冗談ではないらしい。ロイにムチャぶりをされた武光は、腰のイットー・リョーダンを見た。
「いや……そりゃあ、まぁ……俺とイットーの最強タッグやったら……」
〔門を破るのは、余裕のよっちゃんの朝飯前だろうけど……〕
「お前達が門を破って城内に突入した後は、間髪入れずに我々が『ヴアン大公のお命を狙う狼藉者を捕らえる』という名目で城内に突入し、城内を捜索する。暗黒教団の首魁がヴアン大公である事とリヴァルが城内に捕らえられているという事は、先程捕らえた信徒が吐いたからな」
「ホンマかソレ!?」
「ああ……事態は急を要する。敵は我らに差し向けた攻撃部隊が壊滅させられて動揺しているはず、連中が防備を固める前に突入して…………って、おい」
「な、何や……?」
「足が震えているようだが……?」
「あ、アホ抜かせ!! こ、これは『主に下半身を中心とした武者震い』や!! 親友がピンチなんや……『行かへん』なんて選択肢があるわけないやろが!! で……その脳筋丸出しのアホみたいな策はいつ決行するんや?」
「……今からだ」
「は……?」
「今からやる。兵は……神速を尊ぶ」
「マジか……」
「マジだ」
「チッ……しゃーないな。おおーい!! 皆、ちょっと来てくれ!!」
武光は、少し離れた場所でアルジェと談笑していたナジミとフリード、そして三人娘に呼びかけた。
武光は呼びかけに応じて集まった隊員達の顔をぐるりと見回し、言った。
「シュワルツェネッ太の部隊と協力して、ソウザン城に乗り込む事になった。せやから皆で手分けして、戦闘に必要な物資を大至急調達してほしい」
武光の言葉に隊員達は息を呑んだ。
「いよいよなんですね、武光様」
「ブッ潰してやろうぜ、アニキ!!」
「暗黒教団を倒して、苦しむ人達を救いましょう、隊長!!」
「隊長殿……この国に平和と安寧を取り戻しましょう!!」
「わ、私も頑張ります!!」
隊員達の、緊張しつつも強い決意に満ちた顔を見て、武光は頷いた。
「皆、頼んだ!! 作戦の決行は…………明日の朝や」
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