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イザベラの妹
孤児の右眼【アテニナside】
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イザベラと孤児とかいう1年生の2人がランチを取りに行って離れると一転、冷たかったお姉さまが表情を緩めて、
「イザベラの故郷の村には一度足を運ばないとダメっぽいわね。イザベラだけじゃなくて、あんなのまで居たなんて。それよりも、ミリアリリー女学園の入学から今まで私があの子に気付けなかった方が問題かしら? 1年生を全員、自分の目でチェックした方が良さそうね」
何やら御機嫌だった。
「お姉さまは認めるんですか、あの2人の姉妹を?」
私が問うと、
「あら、アテニナは魔眼使いなのに気付かなかったのね、あの子の右眼に」
「? もしかして、あの子、魔眼持ちなんですか?」
「多分ね、封印されてたけど。今日の放課後にでも封印を解いて確認しようかしら」
と言ってから、私を見て、
「あの子とは仲良くしておきなさいね。同格扱いで」
「同格? あの子が、私と、ですか?」
「お姉さま命令だから」
「ええっと・・・」
「お姉さま命令だから」
御機嫌なお姉さまが2回言ってきて、機嫌を損ねるのは拙いと感じた私は、
「はい」
と答えておいたわ。
因みに、どうしてお姉さまがあの孤児を見て、冷たい顔をしてたのかというと、
「前にマルチールさんやコリーユさんをお姉さまに紹介した時、そんな顔をされてたからね」
それが理由だった。
そのお姉さまの言葉でランチに同席してるマルチールとコリーユ(私が年上ってだけで心の中でまでさま付けで呼ぶ訳がないでしょうが)が苦笑してたけど、多分、お姉さまの認識は間違ってると思うわよ。
今度、マルチールかコリーユにこっそりと聞き質そうっと。
この日のランチはナルシーンとかいう孤児への質問が主な会話となった。
「孤児って言ってたけど、それは設定とかじゃなくて、本当に孤児院育ちなのね?」
「設定って。エニスさんじゃあるまいし」
自分も平民設定のセーラ(私がたかが騎士団長の、それも下位の侯爵の令嬢を、以下同文)が呟き、
「あら、酷いわね、セーラさんったら。ってか、セーラさん、まだ私は許してないわよ、平民牢の嘘の事」
とお姉さまが釘を刺してた。
そこに居るコリーユに毒を飲ませたルーンサード侯爵家の未来の王妃様の妹の話らしいけど・・・
私は毒を飲んだこのコリーユの方にムカついてるけどね。
せっかく私に敬意を払ってたから見逃してあげたのに、毒なんか飲んで。
お陰で色々とバレちゃったし。
「はいはい、後でちゃんと謝るわよ」
セーラとの話は置いておいて・・・・・・
その後も、お姉さまが好意的に、根掘り葉掘り孤児に聞いて、
「そう、お父様もお母様も誰か分からないのね」
「あの、やっぱり、イザちゃんの妹に相応しくありませんか?」
「いいえ、逆よ。最高だわぁ~」
笑顔で答えた。
どこが最高なのかまったく分からないけど。
「そうだわ。ちゃんとランチが終わったら姉妹手続きの書類をミリアリリー女学園の事務局に提出しておくのよ?」
お姉さまは終始ご機嫌だった。
そして放課後に約束を取り付け・・・・・・
騎士団の蜥蜴車に乗った私、お姉さま、イザベラ、孤児の4人が向かった先は私の実家であるバスラ公爵家の本邸のお屋敷だった。
騎士団長宅じゃないのはセーラがお姉さまに嘘をついたから、らしい。
そんな訳で、お姉さまのバスラ公爵家の本邸の登場に、私のお母様が玄関ホールで臨戦態勢で出迎えて、報告を受けたお父様とお兄様が10分以内に屋敷に帰ってきたわ。
お姉さまを押し込めた応接室に入室して来て、
「これはエニス嬢、本日はどうされましたかな? と言うか、アテちゃんのお尻をまた叩いたと聞いたが?」
えっ? その話、ここでするの、お父様?
「当然ですわ。私の友人達をミリアリリー女学園から追い出そうとしたのですから」
お姉さまは微笑し、怒ったお父様が何か言う前に、
「それよりもお願いがあるの、お父様。この子の右眼の封印を解いてちょうだい」
私が口を挟むと、お父様が孤児を見て、
「右眼? ・・・なるほど、確かに何か封印が施されてるな」
と納得した後、
「騎士団じゃなくていいのかね?」
と私を通してお姉さまに質問し、
「ええ、騎士団がルーンサード侯爵家の次女は平民牢に入れられたって嘘をお姉さまに教えたみたいだから」
「ふむ。分かった。専門の者を呼んでやらせてみよう」
という訳で・・・
更に20分後には魔法兵団所属の封印解除専門の団員3人がやってきて・・・・・・
何やら大事になったわ、と見てると、封印の検査をしたり、封印解除の魔法陣をちまちまと描いたりして、10分ほどの作業の後、
「いけます」
とお父様を見て、
「なら頼む」
お父様のゴーサインで、団員3人が同時に、
「【開封】っ!」
と声を揃えて、魔法陣を発動してビキンッと孤児の右眼の封印を解き・・・
孤児の封印が解かれた右眼には綺麗な五芒星が輝いた。
「はぁぁぁぁっ? 【五星眼】だとぉぉぉっ?」
お父様がそう叫んで、それからは大騒ぎになった。
20分後にはルビア様まで飛んできたからね。
「イザベラの故郷の村には一度足を運ばないとダメっぽいわね。イザベラだけじゃなくて、あんなのまで居たなんて。それよりも、ミリアリリー女学園の入学から今まで私があの子に気付けなかった方が問題かしら? 1年生を全員、自分の目でチェックした方が良さそうね」
何やら御機嫌だった。
「お姉さまは認めるんですか、あの2人の姉妹を?」
私が問うと、
「あら、アテニナは魔眼使いなのに気付かなかったのね、あの子の右眼に」
「? もしかして、あの子、魔眼持ちなんですか?」
「多分ね、封印されてたけど。今日の放課後にでも封印を解いて確認しようかしら」
と言ってから、私を見て、
「あの子とは仲良くしておきなさいね。同格扱いで」
「同格? あの子が、私と、ですか?」
「お姉さま命令だから」
「ええっと・・・」
「お姉さま命令だから」
御機嫌なお姉さまが2回言ってきて、機嫌を損ねるのは拙いと感じた私は、
「はい」
と答えておいたわ。
因みに、どうしてお姉さまがあの孤児を見て、冷たい顔をしてたのかというと、
「前にマルチールさんやコリーユさんをお姉さまに紹介した時、そんな顔をされてたからね」
それが理由だった。
そのお姉さまの言葉でランチに同席してるマルチールとコリーユ(私が年上ってだけで心の中でまでさま付けで呼ぶ訳がないでしょうが)が苦笑してたけど、多分、お姉さまの認識は間違ってると思うわよ。
今度、マルチールかコリーユにこっそりと聞き質そうっと。
この日のランチはナルシーンとかいう孤児への質問が主な会話となった。
「孤児って言ってたけど、それは設定とかじゃなくて、本当に孤児院育ちなのね?」
「設定って。エニスさんじゃあるまいし」
自分も平民設定のセーラ(私がたかが騎士団長の、それも下位の侯爵の令嬢を、以下同文)が呟き、
「あら、酷いわね、セーラさんったら。ってか、セーラさん、まだ私は許してないわよ、平民牢の嘘の事」
とお姉さまが釘を刺してた。
そこに居るコリーユに毒を飲ませたルーンサード侯爵家の未来の王妃様の妹の話らしいけど・・・
私は毒を飲んだこのコリーユの方にムカついてるけどね。
せっかく私に敬意を払ってたから見逃してあげたのに、毒なんか飲んで。
お陰で色々とバレちゃったし。
「はいはい、後でちゃんと謝るわよ」
セーラとの話は置いておいて・・・・・・
その後も、お姉さまが好意的に、根掘り葉掘り孤児に聞いて、
「そう、お父様もお母様も誰か分からないのね」
「あの、やっぱり、イザちゃんの妹に相応しくありませんか?」
「いいえ、逆よ。最高だわぁ~」
笑顔で答えた。
どこが最高なのかまったく分からないけど。
「そうだわ。ちゃんとランチが終わったら姉妹手続きの書類をミリアリリー女学園の事務局に提出しておくのよ?」
お姉さまは終始ご機嫌だった。
そして放課後に約束を取り付け・・・・・・
騎士団の蜥蜴車に乗った私、お姉さま、イザベラ、孤児の4人が向かった先は私の実家であるバスラ公爵家の本邸のお屋敷だった。
騎士団長宅じゃないのはセーラがお姉さまに嘘をついたから、らしい。
そんな訳で、お姉さまのバスラ公爵家の本邸の登場に、私のお母様が玄関ホールで臨戦態勢で出迎えて、報告を受けたお父様とお兄様が10分以内に屋敷に帰ってきたわ。
お姉さまを押し込めた応接室に入室して来て、
「これはエニス嬢、本日はどうされましたかな? と言うか、アテちゃんのお尻をまた叩いたと聞いたが?」
えっ? その話、ここでするの、お父様?
「当然ですわ。私の友人達をミリアリリー女学園から追い出そうとしたのですから」
お姉さまは微笑し、怒ったお父様が何か言う前に、
「それよりもお願いがあるの、お父様。この子の右眼の封印を解いてちょうだい」
私が口を挟むと、お父様が孤児を見て、
「右眼? ・・・なるほど、確かに何か封印が施されてるな」
と納得した後、
「騎士団じゃなくていいのかね?」
と私を通してお姉さまに質問し、
「ええ、騎士団がルーンサード侯爵家の次女は平民牢に入れられたって嘘をお姉さまに教えたみたいだから」
「ふむ。分かった。専門の者を呼んでやらせてみよう」
という訳で・・・
更に20分後には魔法兵団所属の封印解除専門の団員3人がやってきて・・・・・・
何やら大事になったわ、と見てると、封印の検査をしたり、封印解除の魔法陣をちまちまと描いたりして、10分ほどの作業の後、
「いけます」
とお父様を見て、
「なら頼む」
お父様のゴーサインで、団員3人が同時に、
「【開封】っ!」
と声を揃えて、魔法陣を発動してビキンッと孤児の右眼の封印を解き・・・
孤児の封印が解かれた右眼には綺麗な五芒星が輝いた。
「はぁぁぁぁっ? 【五星眼】だとぉぉぉっ?」
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