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臨時一族会、青龍の勾玉、法子の霊魂の消滅
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藤名の屋敷では東条院の一族会が招集されていた。
とは言え、東条院の宗家当主の緑子は4歳なのでおネムの時間で別室だ。
よって、
副宗家、田中青夜。
藤名代表、藤名金城。
綾波代表、綾波サキ。
それにモニター参加の、
仁王代表、仁王景隆。
その他に今年の端午の節句で『青龍穴の儀』を終えて分家の家名を得て一族衆入りした、
藤名一族、藤名月弥、藤名国雄。
綾波一族、綾波源五郎。
仁王一族、仁王倫子。
小巻園代表、小巻園望。
これらも参加していた。
そしてようやく正式釈放となった、
東条院青刃。
東条院青花。
が部外者の席に座らされて参加していた。
藤名金城が、
「これはまた随分と寂しい一族会ですなぁ~」
『ゼェゼェ・・・・・・『当主生誕の儀』で軒並み倒れて、半数が死に、残る半数も呪詛汚染で動けぬからな』
「今回の議題は先代の葬儀で青夜様の命を狙った四乃森の処罰でしたな」
景隆やサキが口を開く中、副宗家席の青夜が、
「はいはい、意地悪はその辺にしてチャッチャと決めるよ。『ヤマタノオロチ・伍ノ首』討伐に噛んだ褒美で青刃と青花の白赦が本決まりとなった。でも『東条院は名乗らせるな』との白鳳院からのお達しだ。そんな訳で青刃、青花、どの家に養子に入りたい?」
陽気に質問した。
「四乃森」
青刃は弁えてるので、そう言ったが、
「私は久遠寺」
青花がそうさらりと言ったので、青刃が慌てて、
「バカ、青花っ! 久遠寺なんてダメに決まってるだろ。暗部部門担当なのに。そもそも久遠寺は兄貴が継ぐんだぞ?」
「継がないぞ、青刃。東条院の分家なんて恐ろし過ぎるわ」
青夜が言い、
「って、お兄ちゃんも言ってるじゃないの」
「ともかくダメだ」
「じゃあ、鵜殿」
「鵜殿も東条院宗家の野心を見せて裏切ったところだろうがっ! それに地方統括なんて面倒なだけなのに」
青刃と青花の問答を見ていた青夜が苦笑する中、金城が、
「副宗家の意見は?」
「青刃は空席の鵜殿家当主、青花は小巻園家預かり」
「その狙いは?」
「東条院潰しの神輿に青刃は打ってつけだからな。内紛になるし。地方を飛び回らせたら馬鹿どもが面白いように釣れるだろうから、それをプチプチと潰して――」
青夜が嘘臭い笑顔で持論を展開したが、金城がつまらなそうに、
「御冗談はいいですから本音をどうぞ」
と邪魔したので、仕方なく青夜が、
「四乃森は論外だ。もし四乃森に預けて『東条院に対して謀反を企んでる』との悪意のある流言を立てられたら致命的だからな。そんな事実が無くても『前例』があるんだから東条院の一党が飛び跳ねて全面戦争になるのは目に見えてる。よって青刃と青花は見えるところに置く必要がある。藤名が望ましいがジイは古狸だからな。何をするか分からん。サキさんや景ジイに心労を掛けたくはないし、暗部統括の久遠寺も論外。鵜殿と小巻園しか残っていないから、そう言ったまでだけど?」
理路整然と文句の付けようのない理由を述べた事で、あっという間に青刃と青花の養子先は決まったのだった。
◇
藤名屋敷で青夜は母親の違う弟と妹、青刃や青花と久々に再会した。
東条院宗家の青蓮殺害の三族連座で幽閉中だったので(青刃とはチラチラ会ってたが)青花とは一切会っておらず青夜が東条院の宗家屋敷を出た3月中旬以来の再会となった。
よって青刃と青花の名字が決まって臨時一族会が終了するも『じゃあ』とはならない。
青夜はヤラカシ系だが、青花は空気を読まない系なのだ。
東条院の宗家屋敷でも実母の法子が内心で嫌い、青夜が『落ちこぼれ』を頑張って演じてるのに、空気を読まずに懐いてきた。
今も空気も読まずに終了と同時に古参と新参の一族が居る中で、
「お兄ちゃん、どうしてすぐに私を助けてくれなかったの?」
青花は青夜に詰め寄っていた。
青花は小6なのだが、まだまだ子供だ。
正確には青夜の前でだけ『構って欲しくてわがままを通した』だが。
「あのなぁ~、青花。これでも最速だったんだぞ? 最初から『ヤマタノオロチ討伐の功績』でしか解放は無理だったんだから」
「本当にぃ~? 嘘ついてなぁ~い?」
「本当だって。現に何もされなかったろ? 『ヤマタノオロチ・伍ノ首』の覚醒前だから白鳳院に守られてたんだぞ、実際は」
「じゃあ、どうして私に会いに来てくれなかったの?」
「親父殿殺しに噛んでたからだよ」
「噛んでないもん、私」
「でも知ってたんだろ、親父殿が死ぬの?」
「ううん、青刃お兄様(青刃をそう呼ぶよう母親に厳しく躾けられた)がもうすぐ『宗家当主になる』ってのを教えられてただけだから」
空気を読まずに爆弾発言をするのを見て、青夜の方が躊躇する程だったが、空気を読まない青花が更に空気を読まない行動をした。
「オエッ」
口から何かを手の中に出して、青夜に向かって、
「そうだ、これ、お兄ちゃんに上げる。お母様(そう呼ぶように母親に厳しく躾けられた。青刃は公私を使い分けママもOKなのに)が『ずっと持ってろ』って言ってて、枢サマがお兄ちゃんに渡したら喜ぶだろうから『直接渡すように』って言ってたから価値があると思うよ」
そう渡してきたのは胃液塗れで汚い龍の黄金装飾が施された翡翠の勾玉だった。
正確には汚いのは胃液塗れだからで、勾玉自体は見事な物だった。
綺麗な翡翠で、黄金細工の龍も気品があって美しく。
更に言えば、青色の可視化出来る程の凄い霊力をその勾玉は保持していた。
というか、東条院の秘宝『青龍の勾玉』、その物だった。
青花の胃液塗れだったが。
青花が妙な力を放ってたからどうしてかと疑問に思ってた青夜も、まさか東条院の秘宝『青龍の勾玉』がここでさらっと出てくるとは思わず、
「ぶふふっ!」
お坊ちゃんキャラに似つかわしくないマヌケな息の吹き方をしてしまった。
つまらなそうに兄妹の再会を眺めていた藤名金城が口を大きく開いて指差しながら、
「な、な、な、な、なっ!」
「・・・本物ですじゃ」
綾波サキも眼を見開いていた。従う霊獣のゴローも『ワン』と鳴いて同意している。
仁王景隆のモニターは既に消えていたが。
青夜が素手で受け取ってからハンカチで『青龍の勾玉』を綺麗に拭きながら、
「青花、これ、いつ、法子さんから貰ったの?」
「軽井沢の別荘に居た時。変な人達がやってきて私達を捕まえる2分くらい前」
と青花が言うと、青夜が金城を見て、
「ジイ、東条院の宗家屋敷の宝物庫の中を確認しろ、今すぐだ」
「あの邪気汚染ではまだ当分は・・・下手に扉を開けると他の宝物がダメになってしまいますから」
「ああ、もうっ!」
青夜はそう呻いてから、
「ええっと、青刃と青花の2人に質問するんだが、東条院の宗家屋敷から軽井沢の別荘に行く時、法子さん、他に何を持ってた?」
そう質問すると、質問の意図を理解した青刃が、
「あっ、鏡を持ってたよ。ほら、宝物庫に入って真正面の棚に紫色の布が被せられてた昔の円形の」
「ぶふっ!」
青夜がまたもお坊ちゃんキャラに似つかわしくないマヌケな息の吹き方をし、
「後、何か長いの。布に入ってた」
青花が言って、青夜がその場に居た一族全員を1人1人指差しながら、
「この事は他言無用だからな。ジイ、サキさん、藤名月弥、藤名国雄、綾波源五郎、倫子さん、小巻園望。倫子さんは景ジイの体調の良い時に伝える事だけは許すけど。他は誰にも言っちゃダメだからね。言ったら東条院に対する忠誠を疑うから」
とまで言って口止めしてから、
「やってくれるぜ、法子さん。死んだ白鳳院の前の当主代理様もだ。知っててオレに教えなかったんだから」
掲げた東条院の秘宝『青龍の勾玉』を光で透かして眺めながら呟いたのだった。
◇
藤名金城の計らいで(これ以上ヤバイ情報が分家に漏洩したら拙いので)部屋を変え、3兄妹水入らずでの話し合いは続けられた。
まあ、ケーキなどが出て青花は御満悦でケーキを食べてた訳だが、それでも青花でもツッコまずにはいられなかったのが、
「私が小巻園で、青刃お兄様が鵜殿なのは分かったけど、お兄ちゃんは田中なのよね?」
「まあね」
「田中って東条院の分家じゃないよね?」
「末端の家だよ。オレ、東条院から離れたかったから」
「離れたかったって、どうして?」
「オレのお母様に『16歳までに屋敷を出ないと死ぬ』って言われたから」
「お兄ちゃん、死んじゃ嫌だ」
「死なないよ、ちゃんと屋敷を出たんだから」
「でも私のお母様、死んだんだよね?」
「・・・青花の中に『霊魂』が入っていなければ完全にね」
「何それ?」
「閉じ込められてた時、夢に法子さんが出てきた事はないか、青花?」
「あるよ、何度も」
空気を読まない青花がさらっと答えた。
(・・・・・・オレの青花って馬鹿じゃないよな? 学校の成績だっていいし。う~ん)
と無警戒過ぎる妹の将来を少し心配しながら青夜が、
「普通の夢だった? それとも何か違った?」
「いつも通りガミガミ言ってたよ、お兄ちゃんの悪口を」
「『アイツ、絶対知ってたわ』や『嵌められたわ』や『許さない』とか?」
「うん、最後には『殺せ』って」
『こりゃあ、『法子さんの霊魂』が青花に入ってるな。青花を操られて狙われたら、さすがに敵わんぞ』と青夜は思いながら、
「青刃の夢には?」
「全然出てこなかったけど」
「そっか。青花、ちょっと、手を出して眼を瞑って。青刃も。楽にするんだよ」
との青夜の指示でテーブルの上に手を出した2人の手を重ねるように青夜が手で握ると意識を潜らせたのだった。
結論として意外や青花の方には東条院法子の霊魂は憑いていなかった。
青刃の方には憑いていたが。
青刃の深層意識に潜った青夜は法子のイメージ世界の四乃森の屋敷内に居た。
法子は側室結婚なので、38歳。身長164センチ。長い焦茶髪で睫毛も長い、西洋臭い顔をしている。まあ、今は喪服ドレス姿で喪服帽子から垂れ下がった黒レースでその顔を隠してたが。
「なっ?」
法子が青夜の登場に驚く中、
「どうもぉ~」
「この『気味の悪い子供』がっ! 遂に本性を現したわねっ!」
これそこが法子が生前は隠し続けてた青夜に対する本心だった。
青夜の『落ちこぼれ』の名演技にコロッと騙されつつも、それでも何かを感じて本能で警戒していたのだ。
「『気味が悪い』って酷いなぁ~。何度か法子さんに命を狙われたのを実力を隠して回避してすっとぼけてただけなのに。ってか、『破滅の女』に言われてもねぇ~」
「誰が『破滅の女』よっ!」
「オレのお母様が陰でそう呼んでたよ、法子さんの事。事実、東条院はあの大惨事だからねぇ~。お母様の予言にも困ったもんだよ。まあ、それはいいや。ちょいと記憶を貰うね」
気軽に言った青夜が触れる事なく離れた場所から手を翳すと、法子の身体から白い煙となった記憶が青夜の手に吸われていき、
「やっぱり自刃は嘘っぱちな訳ね。法子さんを殺したの誰だ? 東条院では見ない顔だけど? 暗部か仁王の隠し玉? それとも小巻園が雇った? うわっ、『青龍の勾玉』と『秦国の鏡』と『桃切国綱』の他に『三夜鈴』まで持ち出したの? それも『桃切国綱』と『三夜鈴』は白鳳院に献上って。とことん舐められてるな、東条院は白鳳院に・・・えっ、宗家屋敷の邪気爆発の水晶の提供元はロシアだった訳ね、へぇ~」
記憶を吸われた法子が、
「この『化け物』がっ!」
「いやいや、だから強過ぎるだけで『化け物』は酷過ぎでしょ。血が繋がってなくても母親なんだからもう少し言葉遣いに気を付け・・・・・・ほえっ? 青花って親父殿の種じゃなくて、白鳳院の・・・嘘、青花は死んだ当主代理とお姫様の妹? 親父殿と司様の間では話が付いて・・・って、まさか、司様の早世って不倫が原因で殺された? 法子さんも東条院の忠臣じゃなくて白鳳院に謀殺されたの? ってか、東条院の宗家落としの本当の目的って親父殿じゃなくて法子さん? 白鳳院がオレに四乃森を潰させたのも法子さんが調子に乗って白鳳院の子供を産んだから? アタタタ、何してくれてるの、法子さん? 親父殿と司様もだ。どいつもこいつも」
青夜が知りたくなかった最高機密を知って頭痛を覚える中、
「・・・そ、そんな。封印されてて当事者の私ですら今の今まで忘れてた秘密をどうやって・・・と、ともかく、こ、ここで死ね、この『化け物』っ!」
秘密を思い出して困惑しながらも法子が無数の動く木の根っこを出して攻撃しようとしたが、
「お母様がオレに伝えなかったって事は取るに足らない事だったって事なんだろうけどさ。これは重大な東条院への裏切り行為だよ、法子さん。封印して『記憶』と『力』だけ青刃に転用しようと思ってたけど・・・・・・副宗家の権限で東条院法子の霊魂をこの場にて除霊するっ!」
青夜がそう宣言して、迫る木の根っこが到達する前に手を翳すと、
「ギャアアアアア」
離れた青夜の掌から放たれた波動によって法子の身体が崩壊を始め、無数の根っこも消えたのだった。
完全に法子の身体が消えるとイメージ世界も崩壊し、真っ白な世界となり・・・
テーブルの上で青刃と青花と手を重ねていた青夜は意識を戻した。
「もういいよ。祓っておいたから」
「祓うってママ(青刃は公私でちゃんと使い分けてる)の『霊魂』を消滅させたの、兄貴?」
「悪霊になりかけてたからな、法子さん」
「なら、それが最善かもね」
と青刃も納得したが、青花はデレデレの顔で、
「えへへへ、お兄ちゃんと手を繋ぐの久しぶりだね」
「そう? なら、もう少し手を繋いでおこうか。ほら、青刃も」
と3兄妹の団欒を藤名屋敷で過ごしたのだが、
(・・・・・・青花が白鳳院の落とし種だなんて知りたくなったぞ。親父殿が白鳳院の乗っ取りなんて大それた事を企む訳だ。青花が親父殿の『切り札』だったとは。宗家屋敷の邪気爆発がなかったら成功率は3割はあったかも。ってか、オレに懐いてるのはお姫様のスペアだからで意識操作されてるからか? それとも素? 死んだ親父殿もだが白鳳院も本当に問題だな。でも今更距離なんて取れないし・・・いや、そもそもお母様がオレに教えなかったんだから現状維持で問題なしって事か? う~ん)
心底青夜は悩んだのだった。
とは言え、東条院の宗家当主の緑子は4歳なのでおネムの時間で別室だ。
よって、
副宗家、田中青夜。
藤名代表、藤名金城。
綾波代表、綾波サキ。
それにモニター参加の、
仁王代表、仁王景隆。
その他に今年の端午の節句で『青龍穴の儀』を終えて分家の家名を得て一族衆入りした、
藤名一族、藤名月弥、藤名国雄。
綾波一族、綾波源五郎。
仁王一族、仁王倫子。
小巻園代表、小巻園望。
これらも参加していた。
そしてようやく正式釈放となった、
東条院青刃。
東条院青花。
が部外者の席に座らされて参加していた。
藤名金城が、
「これはまた随分と寂しい一族会ですなぁ~」
『ゼェゼェ・・・・・・『当主生誕の儀』で軒並み倒れて、半数が死に、残る半数も呪詛汚染で動けぬからな』
「今回の議題は先代の葬儀で青夜様の命を狙った四乃森の処罰でしたな」
景隆やサキが口を開く中、副宗家席の青夜が、
「はいはい、意地悪はその辺にしてチャッチャと決めるよ。『ヤマタノオロチ・伍ノ首』討伐に噛んだ褒美で青刃と青花の白赦が本決まりとなった。でも『東条院は名乗らせるな』との白鳳院からのお達しだ。そんな訳で青刃、青花、どの家に養子に入りたい?」
陽気に質問した。
「四乃森」
青刃は弁えてるので、そう言ったが、
「私は久遠寺」
青花がそうさらりと言ったので、青刃が慌てて、
「バカ、青花っ! 久遠寺なんてダメに決まってるだろ。暗部部門担当なのに。そもそも久遠寺は兄貴が継ぐんだぞ?」
「継がないぞ、青刃。東条院の分家なんて恐ろし過ぎるわ」
青夜が言い、
「って、お兄ちゃんも言ってるじゃないの」
「ともかくダメだ」
「じゃあ、鵜殿」
「鵜殿も東条院宗家の野心を見せて裏切ったところだろうがっ! それに地方統括なんて面倒なだけなのに」
青刃と青花の問答を見ていた青夜が苦笑する中、金城が、
「副宗家の意見は?」
「青刃は空席の鵜殿家当主、青花は小巻園家預かり」
「その狙いは?」
「東条院潰しの神輿に青刃は打ってつけだからな。内紛になるし。地方を飛び回らせたら馬鹿どもが面白いように釣れるだろうから、それをプチプチと潰して――」
青夜が嘘臭い笑顔で持論を展開したが、金城がつまらなそうに、
「御冗談はいいですから本音をどうぞ」
と邪魔したので、仕方なく青夜が、
「四乃森は論外だ。もし四乃森に預けて『東条院に対して謀反を企んでる』との悪意のある流言を立てられたら致命的だからな。そんな事実が無くても『前例』があるんだから東条院の一党が飛び跳ねて全面戦争になるのは目に見えてる。よって青刃と青花は見えるところに置く必要がある。藤名が望ましいがジイは古狸だからな。何をするか分からん。サキさんや景ジイに心労を掛けたくはないし、暗部統括の久遠寺も論外。鵜殿と小巻園しか残っていないから、そう言ったまでだけど?」
理路整然と文句の付けようのない理由を述べた事で、あっという間に青刃と青花の養子先は決まったのだった。
◇
藤名屋敷で青夜は母親の違う弟と妹、青刃や青花と久々に再会した。
東条院宗家の青蓮殺害の三族連座で幽閉中だったので(青刃とはチラチラ会ってたが)青花とは一切会っておらず青夜が東条院の宗家屋敷を出た3月中旬以来の再会となった。
よって青刃と青花の名字が決まって臨時一族会が終了するも『じゃあ』とはならない。
青夜はヤラカシ系だが、青花は空気を読まない系なのだ。
東条院の宗家屋敷でも実母の法子が内心で嫌い、青夜が『落ちこぼれ』を頑張って演じてるのに、空気を読まずに懐いてきた。
今も空気も読まずに終了と同時に古参と新参の一族が居る中で、
「お兄ちゃん、どうしてすぐに私を助けてくれなかったの?」
青花は青夜に詰め寄っていた。
青花は小6なのだが、まだまだ子供だ。
正確には青夜の前でだけ『構って欲しくてわがままを通した』だが。
「あのなぁ~、青花。これでも最速だったんだぞ? 最初から『ヤマタノオロチ討伐の功績』でしか解放は無理だったんだから」
「本当にぃ~? 嘘ついてなぁ~い?」
「本当だって。現に何もされなかったろ? 『ヤマタノオロチ・伍ノ首』の覚醒前だから白鳳院に守られてたんだぞ、実際は」
「じゃあ、どうして私に会いに来てくれなかったの?」
「親父殿殺しに噛んでたからだよ」
「噛んでないもん、私」
「でも知ってたんだろ、親父殿が死ぬの?」
「ううん、青刃お兄様(青刃をそう呼ぶよう母親に厳しく躾けられた)がもうすぐ『宗家当主になる』ってのを教えられてただけだから」
空気を読まずに爆弾発言をするのを見て、青夜の方が躊躇する程だったが、空気を読まない青花が更に空気を読まない行動をした。
「オエッ」
口から何かを手の中に出して、青夜に向かって、
「そうだ、これ、お兄ちゃんに上げる。お母様(そう呼ぶように母親に厳しく躾けられた。青刃は公私を使い分けママもOKなのに)が『ずっと持ってろ』って言ってて、枢サマがお兄ちゃんに渡したら喜ぶだろうから『直接渡すように』って言ってたから価値があると思うよ」
そう渡してきたのは胃液塗れで汚い龍の黄金装飾が施された翡翠の勾玉だった。
正確には汚いのは胃液塗れだからで、勾玉自体は見事な物だった。
綺麗な翡翠で、黄金細工の龍も気品があって美しく。
更に言えば、青色の可視化出来る程の凄い霊力をその勾玉は保持していた。
というか、東条院の秘宝『青龍の勾玉』、その物だった。
青花の胃液塗れだったが。
青花が妙な力を放ってたからどうしてかと疑問に思ってた青夜も、まさか東条院の秘宝『青龍の勾玉』がここでさらっと出てくるとは思わず、
「ぶふふっ!」
お坊ちゃんキャラに似つかわしくないマヌケな息の吹き方をしてしまった。
つまらなそうに兄妹の再会を眺めていた藤名金城が口を大きく開いて指差しながら、
「な、な、な、な、なっ!」
「・・・本物ですじゃ」
綾波サキも眼を見開いていた。従う霊獣のゴローも『ワン』と鳴いて同意している。
仁王景隆のモニターは既に消えていたが。
青夜が素手で受け取ってからハンカチで『青龍の勾玉』を綺麗に拭きながら、
「青花、これ、いつ、法子さんから貰ったの?」
「軽井沢の別荘に居た時。変な人達がやってきて私達を捕まえる2分くらい前」
と青花が言うと、青夜が金城を見て、
「ジイ、東条院の宗家屋敷の宝物庫の中を確認しろ、今すぐだ」
「あの邪気汚染ではまだ当分は・・・下手に扉を開けると他の宝物がダメになってしまいますから」
「ああ、もうっ!」
青夜はそう呻いてから、
「ええっと、青刃と青花の2人に質問するんだが、東条院の宗家屋敷から軽井沢の別荘に行く時、法子さん、他に何を持ってた?」
そう質問すると、質問の意図を理解した青刃が、
「あっ、鏡を持ってたよ。ほら、宝物庫に入って真正面の棚に紫色の布が被せられてた昔の円形の」
「ぶふっ!」
青夜がまたもお坊ちゃんキャラに似つかわしくないマヌケな息の吹き方をし、
「後、何か長いの。布に入ってた」
青花が言って、青夜がその場に居た一族全員を1人1人指差しながら、
「この事は他言無用だからな。ジイ、サキさん、藤名月弥、藤名国雄、綾波源五郎、倫子さん、小巻園望。倫子さんは景ジイの体調の良い時に伝える事だけは許すけど。他は誰にも言っちゃダメだからね。言ったら東条院に対する忠誠を疑うから」
とまで言って口止めしてから、
「やってくれるぜ、法子さん。死んだ白鳳院の前の当主代理様もだ。知っててオレに教えなかったんだから」
掲げた東条院の秘宝『青龍の勾玉』を光で透かして眺めながら呟いたのだった。
◇
藤名金城の計らいで(これ以上ヤバイ情報が分家に漏洩したら拙いので)部屋を変え、3兄妹水入らずでの話し合いは続けられた。
まあ、ケーキなどが出て青花は御満悦でケーキを食べてた訳だが、それでも青花でもツッコまずにはいられなかったのが、
「私が小巻園で、青刃お兄様が鵜殿なのは分かったけど、お兄ちゃんは田中なのよね?」
「まあね」
「田中って東条院の分家じゃないよね?」
「末端の家だよ。オレ、東条院から離れたかったから」
「離れたかったって、どうして?」
「オレのお母様に『16歳までに屋敷を出ないと死ぬ』って言われたから」
「お兄ちゃん、死んじゃ嫌だ」
「死なないよ、ちゃんと屋敷を出たんだから」
「でも私のお母様、死んだんだよね?」
「・・・青花の中に『霊魂』が入っていなければ完全にね」
「何それ?」
「閉じ込められてた時、夢に法子さんが出てきた事はないか、青花?」
「あるよ、何度も」
空気を読まない青花がさらっと答えた。
(・・・・・・オレの青花って馬鹿じゃないよな? 学校の成績だっていいし。う~ん)
と無警戒過ぎる妹の将来を少し心配しながら青夜が、
「普通の夢だった? それとも何か違った?」
「いつも通りガミガミ言ってたよ、お兄ちゃんの悪口を」
「『アイツ、絶対知ってたわ』や『嵌められたわ』や『許さない』とか?」
「うん、最後には『殺せ』って」
『こりゃあ、『法子さんの霊魂』が青花に入ってるな。青花を操られて狙われたら、さすがに敵わんぞ』と青夜は思いながら、
「青刃の夢には?」
「全然出てこなかったけど」
「そっか。青花、ちょっと、手を出して眼を瞑って。青刃も。楽にするんだよ」
との青夜の指示でテーブルの上に手を出した2人の手を重ねるように青夜が手で握ると意識を潜らせたのだった。
結論として意外や青花の方には東条院法子の霊魂は憑いていなかった。
青刃の方には憑いていたが。
青刃の深層意識に潜った青夜は法子のイメージ世界の四乃森の屋敷内に居た。
法子は側室結婚なので、38歳。身長164センチ。長い焦茶髪で睫毛も長い、西洋臭い顔をしている。まあ、今は喪服ドレス姿で喪服帽子から垂れ下がった黒レースでその顔を隠してたが。
「なっ?」
法子が青夜の登場に驚く中、
「どうもぉ~」
「この『気味の悪い子供』がっ! 遂に本性を現したわねっ!」
これそこが法子が生前は隠し続けてた青夜に対する本心だった。
青夜の『落ちこぼれ』の名演技にコロッと騙されつつも、それでも何かを感じて本能で警戒していたのだ。
「『気味が悪い』って酷いなぁ~。何度か法子さんに命を狙われたのを実力を隠して回避してすっとぼけてただけなのに。ってか、『破滅の女』に言われてもねぇ~」
「誰が『破滅の女』よっ!」
「オレのお母様が陰でそう呼んでたよ、法子さんの事。事実、東条院はあの大惨事だからねぇ~。お母様の予言にも困ったもんだよ。まあ、それはいいや。ちょいと記憶を貰うね」
気軽に言った青夜が触れる事なく離れた場所から手を翳すと、法子の身体から白い煙となった記憶が青夜の手に吸われていき、
「やっぱり自刃は嘘っぱちな訳ね。法子さんを殺したの誰だ? 東条院では見ない顔だけど? 暗部か仁王の隠し玉? それとも小巻園が雇った? うわっ、『青龍の勾玉』と『秦国の鏡』と『桃切国綱』の他に『三夜鈴』まで持ち出したの? それも『桃切国綱』と『三夜鈴』は白鳳院に献上って。とことん舐められてるな、東条院は白鳳院に・・・えっ、宗家屋敷の邪気爆発の水晶の提供元はロシアだった訳ね、へぇ~」
記憶を吸われた法子が、
「この『化け物』がっ!」
「いやいや、だから強過ぎるだけで『化け物』は酷過ぎでしょ。血が繋がってなくても母親なんだからもう少し言葉遣いに気を付け・・・・・・ほえっ? 青花って親父殿の種じゃなくて、白鳳院の・・・嘘、青花は死んだ当主代理とお姫様の妹? 親父殿と司様の間では話が付いて・・・って、まさか、司様の早世って不倫が原因で殺された? 法子さんも東条院の忠臣じゃなくて白鳳院に謀殺されたの? ってか、東条院の宗家落としの本当の目的って親父殿じゃなくて法子さん? 白鳳院がオレに四乃森を潰させたのも法子さんが調子に乗って白鳳院の子供を産んだから? アタタタ、何してくれてるの、法子さん? 親父殿と司様もだ。どいつもこいつも」
青夜が知りたくなかった最高機密を知って頭痛を覚える中、
「・・・そ、そんな。封印されてて当事者の私ですら今の今まで忘れてた秘密をどうやって・・・と、ともかく、こ、ここで死ね、この『化け物』っ!」
秘密を思い出して困惑しながらも法子が無数の動く木の根っこを出して攻撃しようとしたが、
「お母様がオレに伝えなかったって事は取るに足らない事だったって事なんだろうけどさ。これは重大な東条院への裏切り行為だよ、法子さん。封印して『記憶』と『力』だけ青刃に転用しようと思ってたけど・・・・・・副宗家の権限で東条院法子の霊魂をこの場にて除霊するっ!」
青夜がそう宣言して、迫る木の根っこが到達する前に手を翳すと、
「ギャアアアアア」
離れた青夜の掌から放たれた波動によって法子の身体が崩壊を始め、無数の根っこも消えたのだった。
完全に法子の身体が消えるとイメージ世界も崩壊し、真っ白な世界となり・・・
テーブルの上で青刃と青花と手を重ねていた青夜は意識を戻した。
「もういいよ。祓っておいたから」
「祓うってママ(青刃は公私でちゃんと使い分けてる)の『霊魂』を消滅させたの、兄貴?」
「悪霊になりかけてたからな、法子さん」
「なら、それが最善かもね」
と青刃も納得したが、青花はデレデレの顔で、
「えへへへ、お兄ちゃんと手を繋ぐの久しぶりだね」
「そう? なら、もう少し手を繋いでおこうか。ほら、青刃も」
と3兄妹の団欒を藤名屋敷で過ごしたのだが、
(・・・・・・青花が白鳳院の落とし種だなんて知りたくなったぞ。親父殿が白鳳院の乗っ取りなんて大それた事を企む訳だ。青花が親父殿の『切り札』だったとは。宗家屋敷の邪気爆発がなかったら成功率は3割はあったかも。ってか、オレに懐いてるのはお姫様のスペアだからで意識操作されてるからか? それとも素? 死んだ親父殿もだが白鳳院も本当に問題だな。でも今更距離なんて取れないし・・・いや、そもそもお母様がオレに教えなかったんだから現状維持で問題なしって事か? う~ん)
心底青夜は悩んだのだった。
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