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利根川強歩、その7、夜の小白虎宮山白安寺防衛戦
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ビジネスホテルから深夜の走行車の居ない道路を、法定速度を無視して飛ばせば20分の距離に小白虎宮山はあった。
小白虎宮山は現在、北側の裾野では火災が発生しており、南側は多数の車両のライトで照らされていた。
「うわ、ウジャウジャ居るなぁ~」
移動中の車内で頭の後ろでいつものオシャレなお団子の髪型に整えた三宝兎が笑う中、普段の髪型に整える時間がなくて仕方なくポニーテールにしてる春菜が、
「全部、お願いね」
「ええぇ~、人使い粗くないか、春菜ちゃん?」
「サッカースタジアムの建造費用を思えば安い物よ」
「あれっぽっちの事で器が狭いねぇ~、春菜ちゃんは(三宝兎個人の感想です)」
「あれっぽっちですってぇ? 関、アナタ、分かってないでしょ? 本当は逮捕されてる事案なのよ、あれはっ! それを心優しい私が揉み消して上げてるのにっ!」
「はいはい、感謝してるって、春菜ちゃん」
「なら、もっとちゃんと感謝しなさい」
「ってか、あの中に青夜は居ないぞ、多分」
「分かるの?」
「私よりも強い奴だけね、何となくだけど」
「まあ、いいわ。とりあえずやってちょうだい」
「了解」
こうして三宝兎が白安寺の防衛戦に投入されたのだった。
三宝兎が最初に到着したのは南西側だった。
南西側は雑魚のバビロンばかり。
桃の香りを全開に放出して30人分身で青龍偃月刀を振り三宝兎が問答無用で無双していく。
水神市の安堂音須令や備前4兄弟、水切一族も居たが三宝兎には関係ない。簡単に無双していった。
その後、西側と南側の二者択一で三宝兎は南側に向かった。
無論、南側の方に強い奴が居たからである。
つまりはバビロン1300人を指揮してる老田陣と闇瀬剛がだ。
「おまえら2人がこいつらのボスだよな?」
取り巻きの雑魚20人を簡単に撃破して、三宝兎は2人の前に躍り出た。
『桃太郎』の異能力を持つ三宝兎に睨まれて『勝てない』と瞬時に悟った陣が、
「・・・な、何だ、この女は?」
「この女ですよ、河川敷で700人を撃破した東京番長連合の番長の女の部下ってのは」
やる気はなくても情報収集だけはやっていた剛が教え、
「ってか、無理だろ。こんなの」
「どうします、陣さん? 降伏が最善だと思いますけど」
「頭なんか下げられるか、やれっ!」
との陣の合図で、ドドドドッと銃撃された。
桃の香りの感知能力で三宝兎がギリギリ閃光を躱す。
狙撃地点を睨めば、15メートル離れた場所で並列の2列で前列が膝付きの5人、後列が直立の5人、その計10人のライフル隊が三宝兎に銃口を向けていた。
異能力バトルの真っ最中だ。
それに弾丸が閃光だった事からも分かるように、普通のライフルでもない。
通称、ASシリーズ(本当はドイツ語でEGだったが、英語に取って代わられて)。
天使の歌声を光の弾丸にして放てる異能ライフルだった。
威力は天使の格によって決まる。
天使には9段階の階級があり、
上位三隊の『父』の階層には熾天使、智天使、座天使。
中位三隊の『子』の階層には主天使、力天使、能天使。
下位三隊の『聖霊』の階層には権天使、大天使、天使。
こうなっている。
高レベルは全部、各国の軍仕様だった。
今の銃撃も明らかに威力が高くて厄介そうだった。
そして、このASシリーズの最大の特徴は誰にでも使用出来る事だった。
例え、『邪』属性のゴブリンのタトゥー持ちでも。
「チッ、ASシリーズ? それもこの高出力・・・大天使以上? それを10丁も? アークエンジェルでも1丁10億円の代物をこんな雑魚連中がどうして?」
三宝兎の分身達がライフル部隊を狙うが、意外に強い。15人の分身を倒されて、こちらが倒したのは3人だけだった。
それもそのはず。このバビロンのライフル隊は元々、カルト教団系の異能力集団『ジャスティス』の水神市支部の連中で、身体強化のゴブリンのタトゥー目当てで所属していたが、既存の老舗宗教を攻撃するというので虎の子のASシリーズまで持ち出してこの決戦に臨んでいた。
なので、まだ7人も居て戦闘にも長けており装備も充実していて、全員が漫画に出てくるようなセンサー機器まで片眼に付け、桃の香りによる目くらましも通用せず、的確に三宝兎の本体を銃撃してくる。
お陰で三宝兎本人は閃光を躱し、桃の香りを具現化した鎧で閃光を弾いて負傷しないのが精一杯で近付けない。
「ああ、もうっ! 鬱陶しいっ! ――っ! そうだ、青夜に今日教わった・・・」
青龍偃月刀を構えた三宝兎は、
「青龍破っ!」
とは名ばかりのサッカースタジアムを斬り裂いた青龍の形に変わらない斬撃を放った。
青龍偃月刀から斬撃が飛び出して、20メートル先に居る7人のライフル隊を吹き飛ばす。
それでは済まず斬撃はそのまま小白虎宮山の裾野まで進み、ズシャァァァッと裾野の木々や山の一部を斬り裂いたのだった。
「うわっ・・・まあ、御愛嬌って事で」
と振り返った時にはライフル隊を潰すのに時間を取られた為、陣と剛の姿はなかった。
「やれやれ、この私から逃げられる訳がないだろうが」
そう笑いながら三宝兎は追い掛けようとしたのだった。
白安寺のある小白虎宮山側ではなく、離れるようにオープンカーで逃げてる陣はスマホを片手に電話していた。
ゴブリンのタトゥーを持つ者の中でも幹部クラスしか知らない特別な番号に掛けてる訳だが、
「クソ、肝心な時に繋がらねえっ! あのキリスト野郎っ!」
との陣の言葉に、車道をスケボーで並走する剛が、
「・・・まさか、捨て駒にされた?」
例えゴブリンでも軍師は軍師だ。知能が高くその可能性を口にした。
陣の方もゴブリンでも将軍なので戦局が読める。
「あり得るぞ。いきなり電話を掛けてきて『寺を襲え』なんだからな」
2人が逃げてるのはゴブリンならではの性質だった。
強者と遭遇したら逃げる。
弱者の基本スタイルだ。
寧ろ、2人からしたら命令1つで強者に突撃してるバビロンの部下連中の方が理解出来なかった。
「どうします? 西井グループに寝返るのもありですが?」
剛が自分のスマホ画面を陣に見せた。
電話帳には水神市で知り合った日本の大企業の西井グループの異能力者の連絡先がずらりと並んでる。
「ダメだな。日本だと西井グループだが、世界だとキリスト野郎の方が美味しいんだから」
と陣が生真面目に答える中、生き残る道を模索中の軍師の剛が、
「えっ、二股しないんですか?」
真顔で尋ね、元々半グレの陣が悪そうな顔でニヤリと笑って、
「その案、いただきっ! 掛けろっ!」
それで電話を掛けたが、
「もしもし、実はそちらに御厄介になろうかなぁ~と・・・・・・ああ、何かやってるらしいですね? はいっ? オレは関係ありませんけど? いやいや、ちょ、待っーー切りやがった。あれだけ下手に出てた癖に」
スマホ画面を睨みながら舌打ちする剛を見て、
「ダメだったんだよな?」
「ええ」
「キリスト野郎といい、何か変だぞ。そう思わないか?」
ゴブリンとはいえ『将軍』と『軍師』なので2人ともそれは感じており、今後の対策を話しながら逃げたのだった。
一方、三宝兎は逃げたボス級の2人を追跡しようと動くコンマ1秒前に、背後から肩をグイッと掴まれて、
「何やってんのよ、このおバカぁぁぁぁぁっ! どうして、小白虎宮山を斬撃で削っちゃったのよぉぉぉぉぉっ! こっちは救援に来てるのよぉぉぉぉぉっ!」
春菜に怒られて追撃どころではなかった。
「いやいや、あれは私は悪くは・・・」
「山側に攻撃を放った時点で悪い以前に敵対行動なのよぉぉぉぉぉっ! 本当はぁぁぁぁぁっ! 関が強いのは分かったからお願いだから手加減してちょうだいぃぃぃぃぃっ!」
「ええっと、今日覚えたての技で手加減がまだ出来なくって・・・・・・」
「なら、どうして使ったのよぉぉぉぉぉぉぉっ!」
戦闘中にモロ10分間もお説教を喰らう破目になり、その所為で東側と北側の小白虎宮山は侵攻されて、北側の裾野の火事は結構な範囲まで燃える事となったのだった。
10分経過の説教中にスマホの音で春菜は我に返り、電話に出て、
「何? えっ? 何やってんのよ。分かったわ、すぐに行くから持ち堪えなさい。そんな訳で関、お願い。この山の東側と北側の雑魚の掃除もーー」
三宝兎にお願いしようとしたが、お説教を受けてテンションがダダ下がりの三宝兎が、
「いや、もういいんじゃねえの、守らなくて?」
「関、お願いだから」
「だって、また怒られるに決まってるし。手加減とか出来ないし」
「空から地面に撃ち下ろせばいいでしょう」
と春菜が異能力の使い方を教えて三宝兎の機嫌を取ったが、その発言の所為で、水道管までが切断されて断水騒ぎになって北側の鎮火が遅れて更に大変な事になるのだが、春菜はその近い未来を知る由もなく、
「ねえ?」
と三宝兎の気持ちを鼓舞したのだった。
「もう怒らない、春菜ちゃん?」
「ええ」
その春菜の言葉に嘘はない。
怒る側ではなく一緒に怒られる側になるのだから。
「じゃあ、やる」
そう言って三宝兎はやる気を取り戻し、ゴブリンのタトゥー持ちのバビロン狩りを再開したのだった。
そして、
「おらぁぁぁぁぁぁぁっ!」
空中ジャンプと空中停止を駆使して夜空から斬撃飛ばしをしまくって、ズシャァァァッと敵と一緒に地面を斬って、地中の水道管も切断したのだった。
小白虎宮山は現在、北側の裾野では火災が発生しており、南側は多数の車両のライトで照らされていた。
「うわ、ウジャウジャ居るなぁ~」
移動中の車内で頭の後ろでいつものオシャレなお団子の髪型に整えた三宝兎が笑う中、普段の髪型に整える時間がなくて仕方なくポニーテールにしてる春菜が、
「全部、お願いね」
「ええぇ~、人使い粗くないか、春菜ちゃん?」
「サッカースタジアムの建造費用を思えば安い物よ」
「あれっぽっちの事で器が狭いねぇ~、春菜ちゃんは(三宝兎個人の感想です)」
「あれっぽっちですってぇ? 関、アナタ、分かってないでしょ? 本当は逮捕されてる事案なのよ、あれはっ! それを心優しい私が揉み消して上げてるのにっ!」
「はいはい、感謝してるって、春菜ちゃん」
「なら、もっとちゃんと感謝しなさい」
「ってか、あの中に青夜は居ないぞ、多分」
「分かるの?」
「私よりも強い奴だけね、何となくだけど」
「まあ、いいわ。とりあえずやってちょうだい」
「了解」
こうして三宝兎が白安寺の防衛戦に投入されたのだった。
三宝兎が最初に到着したのは南西側だった。
南西側は雑魚のバビロンばかり。
桃の香りを全開に放出して30人分身で青龍偃月刀を振り三宝兎が問答無用で無双していく。
水神市の安堂音須令や備前4兄弟、水切一族も居たが三宝兎には関係ない。簡単に無双していった。
その後、西側と南側の二者択一で三宝兎は南側に向かった。
無論、南側の方に強い奴が居たからである。
つまりはバビロン1300人を指揮してる老田陣と闇瀬剛がだ。
「おまえら2人がこいつらのボスだよな?」
取り巻きの雑魚20人を簡単に撃破して、三宝兎は2人の前に躍り出た。
『桃太郎』の異能力を持つ三宝兎に睨まれて『勝てない』と瞬時に悟った陣が、
「・・・な、何だ、この女は?」
「この女ですよ、河川敷で700人を撃破した東京番長連合の番長の女の部下ってのは」
やる気はなくても情報収集だけはやっていた剛が教え、
「ってか、無理だろ。こんなの」
「どうします、陣さん? 降伏が最善だと思いますけど」
「頭なんか下げられるか、やれっ!」
との陣の合図で、ドドドドッと銃撃された。
桃の香りの感知能力で三宝兎がギリギリ閃光を躱す。
狙撃地点を睨めば、15メートル離れた場所で並列の2列で前列が膝付きの5人、後列が直立の5人、その計10人のライフル隊が三宝兎に銃口を向けていた。
異能力バトルの真っ最中だ。
それに弾丸が閃光だった事からも分かるように、普通のライフルでもない。
通称、ASシリーズ(本当はドイツ語でEGだったが、英語に取って代わられて)。
天使の歌声を光の弾丸にして放てる異能ライフルだった。
威力は天使の格によって決まる。
天使には9段階の階級があり、
上位三隊の『父』の階層には熾天使、智天使、座天使。
中位三隊の『子』の階層には主天使、力天使、能天使。
下位三隊の『聖霊』の階層には権天使、大天使、天使。
こうなっている。
高レベルは全部、各国の軍仕様だった。
今の銃撃も明らかに威力が高くて厄介そうだった。
そして、このASシリーズの最大の特徴は誰にでも使用出来る事だった。
例え、『邪』属性のゴブリンのタトゥー持ちでも。
「チッ、ASシリーズ? それもこの高出力・・・大天使以上? それを10丁も? アークエンジェルでも1丁10億円の代物をこんな雑魚連中がどうして?」
三宝兎の分身達がライフル部隊を狙うが、意外に強い。15人の分身を倒されて、こちらが倒したのは3人だけだった。
それもそのはず。このバビロンのライフル隊は元々、カルト教団系の異能力集団『ジャスティス』の水神市支部の連中で、身体強化のゴブリンのタトゥー目当てで所属していたが、既存の老舗宗教を攻撃するというので虎の子のASシリーズまで持ち出してこの決戦に臨んでいた。
なので、まだ7人も居て戦闘にも長けており装備も充実していて、全員が漫画に出てくるようなセンサー機器まで片眼に付け、桃の香りによる目くらましも通用せず、的確に三宝兎の本体を銃撃してくる。
お陰で三宝兎本人は閃光を躱し、桃の香りを具現化した鎧で閃光を弾いて負傷しないのが精一杯で近付けない。
「ああ、もうっ! 鬱陶しいっ! ――っ! そうだ、青夜に今日教わった・・・」
青龍偃月刀を構えた三宝兎は、
「青龍破っ!」
とは名ばかりのサッカースタジアムを斬り裂いた青龍の形に変わらない斬撃を放った。
青龍偃月刀から斬撃が飛び出して、20メートル先に居る7人のライフル隊を吹き飛ばす。
それでは済まず斬撃はそのまま小白虎宮山の裾野まで進み、ズシャァァァッと裾野の木々や山の一部を斬り裂いたのだった。
「うわっ・・・まあ、御愛嬌って事で」
と振り返った時にはライフル隊を潰すのに時間を取られた為、陣と剛の姿はなかった。
「やれやれ、この私から逃げられる訳がないだろうが」
そう笑いながら三宝兎は追い掛けようとしたのだった。
白安寺のある小白虎宮山側ではなく、離れるようにオープンカーで逃げてる陣はスマホを片手に電話していた。
ゴブリンのタトゥーを持つ者の中でも幹部クラスしか知らない特別な番号に掛けてる訳だが、
「クソ、肝心な時に繋がらねえっ! あのキリスト野郎っ!」
との陣の言葉に、車道をスケボーで並走する剛が、
「・・・まさか、捨て駒にされた?」
例えゴブリンでも軍師は軍師だ。知能が高くその可能性を口にした。
陣の方もゴブリンでも将軍なので戦局が読める。
「あり得るぞ。いきなり電話を掛けてきて『寺を襲え』なんだからな」
2人が逃げてるのはゴブリンならではの性質だった。
強者と遭遇したら逃げる。
弱者の基本スタイルだ。
寧ろ、2人からしたら命令1つで強者に突撃してるバビロンの部下連中の方が理解出来なかった。
「どうします? 西井グループに寝返るのもありですが?」
剛が自分のスマホ画面を陣に見せた。
電話帳には水神市で知り合った日本の大企業の西井グループの異能力者の連絡先がずらりと並んでる。
「ダメだな。日本だと西井グループだが、世界だとキリスト野郎の方が美味しいんだから」
と陣が生真面目に答える中、生き残る道を模索中の軍師の剛が、
「えっ、二股しないんですか?」
真顔で尋ね、元々半グレの陣が悪そうな顔でニヤリと笑って、
「その案、いただきっ! 掛けろっ!」
それで電話を掛けたが、
「もしもし、実はそちらに御厄介になろうかなぁ~と・・・・・・ああ、何かやってるらしいですね? はいっ? オレは関係ありませんけど? いやいや、ちょ、待っーー切りやがった。あれだけ下手に出てた癖に」
スマホ画面を睨みながら舌打ちする剛を見て、
「ダメだったんだよな?」
「ええ」
「キリスト野郎といい、何か変だぞ。そう思わないか?」
ゴブリンとはいえ『将軍』と『軍師』なので2人ともそれは感じており、今後の対策を話しながら逃げたのだった。
一方、三宝兎は逃げたボス級の2人を追跡しようと動くコンマ1秒前に、背後から肩をグイッと掴まれて、
「何やってんのよ、このおバカぁぁぁぁぁっ! どうして、小白虎宮山を斬撃で削っちゃったのよぉぉぉぉぉっ! こっちは救援に来てるのよぉぉぉぉぉっ!」
春菜に怒られて追撃どころではなかった。
「いやいや、あれは私は悪くは・・・」
「山側に攻撃を放った時点で悪い以前に敵対行動なのよぉぉぉぉぉっ! 本当はぁぁぁぁぁっ! 関が強いのは分かったからお願いだから手加減してちょうだいぃぃぃぃぃっ!」
「ええっと、今日覚えたての技で手加減がまだ出来なくって・・・・・・」
「なら、どうして使ったのよぉぉぉぉぉぉぉっ!」
戦闘中にモロ10分間もお説教を喰らう破目になり、その所為で東側と北側の小白虎宮山は侵攻されて、北側の裾野の火事は結構な範囲まで燃える事となったのだった。
10分経過の説教中にスマホの音で春菜は我に返り、電話に出て、
「何? えっ? 何やってんのよ。分かったわ、すぐに行くから持ち堪えなさい。そんな訳で関、お願い。この山の東側と北側の雑魚の掃除もーー」
三宝兎にお願いしようとしたが、お説教を受けてテンションがダダ下がりの三宝兎が、
「いや、もういいんじゃねえの、守らなくて?」
「関、お願いだから」
「だって、また怒られるに決まってるし。手加減とか出来ないし」
「空から地面に撃ち下ろせばいいでしょう」
と春菜が異能力の使い方を教えて三宝兎の機嫌を取ったが、その発言の所為で、水道管までが切断されて断水騒ぎになって北側の鎮火が遅れて更に大変な事になるのだが、春菜はその近い未来を知る由もなく、
「ねえ?」
と三宝兎の気持ちを鼓舞したのだった。
「もう怒らない、春菜ちゃん?」
「ええ」
その春菜の言葉に嘘はない。
怒る側ではなく一緒に怒られる側になるのだから。
「じゃあ、やる」
そう言って三宝兎はやる気を取り戻し、ゴブリンのタトゥー持ちのバビロン狩りを再開したのだった。
そして、
「おらぁぁぁぁぁぁぁっ!」
空中ジャンプと空中停止を駆使して夜空から斬撃飛ばしをしまくって、ズシャァァァッと敵と一緒に地面を斬って、地中の水道管も切断したのだった。
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